【以下ニュースソース引用】

うつが招く「貧困妄想」の正体と恐怖 所得と逆相関関係、日本の「失われた30年」で急増 ほかの病気も誘発、自殺者まで

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夕刊フジ

残高は減り、不安はつのる…

 

【増税が蝕む 日本人のメンタル】

 

 「いくら稼いでも生活が楽にならない。不安で不安でたまらない」

 

  【表】「4人家族で1カ月に必要な金額」京都総評の試算と内訳 

 

こう話す、うつの患者さんが増えています。

 

いま、日本の庶民は空前の円安インフレと増税で苦しんでいます。

 

こうした世相を反映してうつになる人が多い、と感じます。

 

「貧乏ジャパン」「増税ジャパン」がうつ病患者を数多くつくり出しているのです。

 

 うつ病と所得は逆相関関係にあり、貧困がうつ病を招くことがあります。

 

一方、実際には貧困ではないのに貧困と思い込む「貧困妄想」(貧困恐怖症)があります。

 

 60歳で完全リタイアして悠々自適の生活が経済的に可能であるAさん(55歳、個人事業主)の口ぐせは「おカネがない。どうしよう」「この先、貧乏になったらと思うと、もっと働かなければダメだ」です。

 

あんまり「おカネがない」と言うので、たまりかねた妻から相談を受けました。

 

 「主人はああ言いますが、うちには資産が十分あります。

 

老後に2000万円必要と言いますが、その5、6倍はあります。

 

なのに主人は夜も眠れないと言い、必死で働いているのです」

 

 ぜいたくな悩みと言えばそれまでですが、実際、こういう方は多く、Aさんの場合はうつ病の症状である「貧困妄想」と言えます。

 

うつ病の妄想の中には「誇大妄想」とは逆の「微小妄想」があります。

 

自分を実際より低く評価し、劣っていると思い込む妄想です。

 

 たとえば、軽いのに重病と思い込む「心気妄想」、犯罪でもないのに罪を犯したと思い込む「罪業妄想」、そして、自分は貧乏だと思い込む「貧困妄想」です。

 

 タレントの高島忠夫さんは、晩年にうつ病を発症し、貧困妄想で家族は大変だったと言います。

 

本当におカネがないと思い込んだご子息は節約に励んだと聞きました。

 

 うつ病による妄想は、軽ければ精神的なサポート療法で改善に向かいます。

 

患者さんの話を聞き、共感し、生活のリズムを整えるようにガイダンスを行うのです。

 

中等症以上になると、抗うつ薬を用いて治療します。

 

抗うつ薬1種類を、少量から始め、効果を見ながら量を増やし、改善が見られるのを待ちます。

 

 貧困妄想は、うつ病自体から発症することもあれば、「全般性不安障害」によって発症することもあります。

 

全般性不安障害というのは、毎日の生活で些細なことに過敏に反応し、不安を募らせる病気です。

 

うつ病なら薬の効果がありますが、全般性不安障害は薬を飲んでもなかなか回復には向かいません。

 

うつ病による貧困妄想が怖いのは、放っておくと徐々に悪化し、働く意欲や元気をなくして、本当におカネに不自由することです。

 

貧困妄想患者が増える背景には、やはり、日本の「失われた30年」と最近の急速な貧困化があると考えます。

 

なぜなら、本当に貧困が原因となって、うつ病を含む「気分障害」になる人が増えているからです。

 

最近は、年金受給額が低い高齢者に、不眠症患者やうつ病患者が増えています。

 

また、長時間労働を強いられている若い非正規労働者のうつ病患者も増えています。

 

コロナ禍で貧困化が進み、そこに物価上昇による実質賃金の低下が続き、今や庶民生活は青息吐息です。

 

この6月に一次的な定額減税が実施されますが、その額はわずか。

 

今後は社会保険料も含め、増税一直線です。

 

高齢者の場合、うつ状態が長引くと、認知機能が低下し働くことができなくなります。

 

また、全世代を通じて、うつがほかの病気を誘発し、最終的に自殺者まで出してしまいます。

 

貴重な労働力を守らなければなりません。

 

 (精神科医・吉竹弘行)

 

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