【以下ニュースソース引用】

健康な人はみんな歩いている。ちょっと待った、じゃあ、歩いていない人は一体どうすればいい?(専門家が監修)

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Tarzan Web

(イラストレーション/世戸ヒロアキ)

 

健康な人はみんな歩いている。

 

ちょっと待った、じゃあ、歩いていない人は一体どうすれば?

 

 そう思った方は心配ご無用。歩きは何歳から始めても効果あり。10年スパンで考察しよう。

 

[取材協力/能勢 博(信州大学特任教授)]

BEFORE: 歩いていない人たちも始めるチャンスです!

信州大学発のインターバル速歩は松本市との共同事業で多くの市民に実施された。

 

その結果、全国でも珍しい信頼できる大規模データが得られている。

 

 インターバル速歩を5か月継続したことで筋力や持久力が向上したという事実以外にも、インターバル速歩をさらに10年続けたらどうなったか?というデータがある。

 

 スタートは2005年。平均年齢が男性69歳、女性63歳の585人が10年継続計画に挑戦した。

 

2016年まで実践し続けたのはこのうち109人。

 

約2割の人がやり遂げた。

 

これはかなり高い継続率といえるだろう。

 

 5か月インターバル速歩を続けただけでも心身ともに目に見える変化が起こるのだ。

 

いわんや10年継続者をや。

 

でも、成功した人の成功譚をいきなり聞かされても我が事として共感するのは難しい。

 

 そこで、10年歩き続けた先に待っているご褒美を語る前に、訳あって脱落してしまった残り8割の人、あるいは未だ歩き出していない人の今の話から始めよう。

 

この中に現在のあなたに似た人がいるかもしれない。

運動嫌いのガリガリ体型。貧相なイメージを脱却したい

当たり前の話だがカラダを動かさなければエネルギー消費量は落ちる。

 

体重60kgの人が通勤ペースで1時間歩いたら約250kcalを消費することになる。

 

これ、ごはん約1杯分。

 

 1回の食事で摂るタンパク質の量は、総カロリーの約3割。

 

600kcalの食事なら180 kcal程度はおかずの領分。

 

でも、動かなければお腹が空かず総摂取カロリーが減るのでタンパク質補給量も減る。

 

言うまでもなくタンパク質は筋肉の材料。

 

しかも炭水化物と一緒に摂ることでその吸収率が上がる。

 

というわけで、動かない→食べない→筋肉つかない→ガリガリ体型の悪循環。

 

歩けばタンパク質の摂取量が増えてお尻の筋肉もつくはず。

 

20代当時より体重が10kg増。食後高血糖に怯える日々

10年歩くとどうなるの?

 

 ウォーキング 生きていくために最低限必要なエネルギー消費量、基礎代謝は加齢とともに減っていく。

 

男性のピークは15~17歳で1610kcal(参照体重は59.7kg)。

 

これが30~40代になると1530kcal(参照体重68.5kg)に。

 

 基礎代謝は各臓器や脳が黙っていても消費するエネルギーだが、なかでも最も多くの比率を占めているのが骨格筋。

 

つまり、基礎代謝低下の原因の多くは筋肉の減少にある。

 

一方、基礎代謝は減っているのにその年齢の平均的な参照体重は増えているのは筋肉が減り脂肪が増えているから。

 

糖尿病の症状が発現する目安は20代のベスト体重より10kg以上増えること。

 

歩かずに深夜のバーガーにパクついていると生活習慣病一直線だ。

最近、些細なことでキレがちだ。このままでは暴走老人?

ある哲学者の話によれば、怒りには2種類あるのだそう。

 

ひとつは戦争や子どもの虐待などに対する義憤に駆られた怒り。

 

もうひとつは自分の存在が脅かされたときの怒り。

 

同じ怒りでも前者はある意味、人類共通のまっとうな怒りで、後者は個人のココロのありようが問われる怒りだ。

 

 自分を差し置いて後輩の企画が採用された、同僚が自分より先に昇格した、上司に学歴に関する嫌みを言われた…。

 

そんな状況下で馬鹿にされたり自分の存在を否定されたと感じると、怒りを収めることができない。

 

裏返すとそれは自分に自信がない証拠。歩けば脳が刺激されて根拠のない自信が湧いてくる。

 

何を言われても怒りをコントロールできるようになるはずだ。

これまでは順風満帆エリート人生。40代でハシゴを外され惑いまくり

幼い頃は神童と呼ばれ、中学受験で有名進学校に入学し、高校までは学年順位で10番から下に落ちたことがない。

 

そのまま順調に大学の医学部に一発合格、インターンを経て専門医として忙しく働き、そして数十年の時が経ち、世間一般ではもう惑わないとされる40代に突入した。

 

 と、上司に当たる教授から「あとのレールは自分で敷いてね」のひと言。

 

教授の椅子も民間病院の院長の椅子も限られているので、あとは熾烈な椅子取りゲームが待っている。

 

そこで「自分どうすりゃいいの?」と惑いまくる40代。

 

今後誰も課題を与えてくれないなら自分で歩くという課題を設定。

 

たとえば週末ごとに登山計画を立てれば、ココロが安定して雑念が消えるはず。

 

AFTER:10年間歩き続ける人はいいことがいっぱい!

さていよいよ、インターバル速歩を10年継続した結果発表。膝の伸展・屈曲筋力が何もしなかった同年代の人に比べて20~30%高く、さらに持久力は40%も高いという結果が出た。

 

パチパチパチ!!! 40代以降、筋肉の量は放っておけば年に1%のペースで減っていく。

 

つまり、10年間ぐだくだしていたら10%減。

 

その20~30%増ということは、筋肉量が少なくとも10年分、多く見積もって20年分若返ったということ。

 

こうした結果を受けて、インターバル速歩を10年間続けることは加齢による体力低下の防止に大いに有効、と結論づけられたのだ。

 

 これを朗報と呼ばずして何と呼ぶ?

 

 人生100年時代といわれる今、今日からコツコツ歩き続ければ必ずウェルビーイングな未来が待っている。

 

筋肉不足で悩んでいた人も、忍び寄る生活習慣病の影に怯えていた人も、ちょっとしたことでいちいちキレ気味だった人も、40代を迎えて惑い焦っていた人も、10年歩き続ければ、QOL(生活の質)を高めることができるのだ。もう、歩くしかない。

体型も体力も10年前と変わらず若々しさを保っている

日の出とともに愛犬と散歩に出て、3分間シャカシャカ歩き、その後愛犬の道端探索に付き合って3分間ゆっくり歩く。

 

この朝のウォーキングがもう10年来の習慣だ。

 

 朝一発目に太陽の光を浴びるので体内時計が整い、朝食も美味しく食べられるし、夜もぐっすり眠れる。

 

体型もウェストまわりも10年前からまったく変わらず、洋服も無駄に買い替える必要がないのでなかなかのSDGs。

 

同年齢の男性に比べて肥満の兆候もなく、毎年の人間ドックでも異常なしのオールA判定。

 

会社の部下からもご近所さんからも「お若いですね~」と言われると、エヘヘ正直嬉しいデス。

 

おっと、自慢している間にもう3分、シャカシャカ歩きに切り替えなきゃ!

70代を迎えるも健脚を維持、2000m級の山を縦走することも

今月は白馬、来月は五竜、再来月は鹿島槍ヶ岳、と。

 

登山のテレビ番組の予約表?

 

 いやいや、ワシが実際にこの脚で登る予定表じゃ。

 

おっ、今「2000m級の北アルプスの山々をこんなおじいちゃんが登れるの?」と思ったろう。

 

フフフそれが登れるんじゃ。 

 

60代から3分間だけ息切れするくらい頑張って歩いて、3分間はゆっくり歩くというウォーキングを続けていたら、70代になっても太腿の筋肉が衰えるどころかがっしりしてきて、若い者に負けないくらいのペースで登山が楽しめるんじゃ。来年は2泊3日で南アルプスを縦走しようかと思っとる。

 

歳をとると若い時には見えなかったものが見えて楽しいぞ。

 

楽しむためにも体力はマストじゃな。

多趣味かつ好奇心旺盛。若者との会話も小気味よく弾む

速歩きとゆっくり歩きを繰り返すウォーキングをするようになって、はや10年。実はそれまで更年期の症状に悩まされていて、気分が鬱々としていたんだけど、歩くようになってからは気分がどんどん前向きに。

 

 ある程度年齢を重ねたら、「運動をした方がいい」ではなくて「運動しなければならない」ってどこかで聞いたことがあるけど、本当にそう。

 

ちょっと油断して運動不足になると体調が悪くなったりイライラして誰かに当たったりするんですもの。

 

 今は俳句に陶芸、社交ダンスの教室に通っていて若い人と会話することも楽しいです。

 

今度、飲み会に誘われちゃったんだけど、どうしましょ。

 

話のタネに行ってみようかな。

 

取材・文/石飛カノ(初出『Tarzan』No.866・2023年10月5日発売)

 

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