【以下ニュースソース引用】
「うつ病」なのか、それとも…大型連休明け「5月病のリスク」順天堂大学大学院医学研究科・井手久満特任教授に聞く
配信
【徹底解説 男性更年期、薬が効かない病気の陰に】
大型連休明けは「5月病のリスクが上がる」といわれる。
4月の生活環境の変化に伴うストレスや長期休暇に伴う生活リズムの乱れなどにより、心身の不調を起こしやすい。
その不調の裏に、男性ホルモン・テストステロンの低下で、さまざまな心身症状を引き起こす男性更年期障害も潜む。
「生活環境の変化に伴う強いストレスは、テストステロンの分泌量を抑制し、男性更年期障害の引き金になります。
男性更年期障害も、気分の落ち込みや、やる気が出ない、集中力の低下といった5月病のような症状を引き起こします」
こう話すのは、順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座の井手久満特任教授。
日本メンズヘルス医学会の理事などを務め、男性更年期障害の患者を数多く救っている。
「気分が落ち込んでいると抗うつ剤などを処方されるのが一般的です。
しかし、男性更年期障害が原因で、うつ状態を引き起こしているときには、逆効果になることがあるので注意が必要です」
たとえば、これまでバリバリ仕事をこなしてきたのに、ある朝突然、全身の倦怠感に襲われたとする。
「今日は大事な会議があるから休めない」と、やっとの思いで出社しても、仕事への集中力は失われ、会議の内容も理解できない。
このような状態が何日も続けば、さすがに産業医に相談したり、医療機関を受診するだろう。
その際、「うつ」と診断されるのは、よくある話だ。
心の病によるうつ状態は、自宅療養しながら治療薬を服用すれば、症状が徐々に改善する見込みがある。
しかし、全然よくならない場合がある。
薬の量が増えるに連れて、ますます気分が落ち込み、無気力感や全身倦怠感が強まっていく。
このような症状のときは、男性更年期障害を疑ったほうがいい。
「数種類の抗うつ剤を服用するとテストステロンがさらに低下し、男性更年期障害によるうつ状態が回復しにくくなるので注意が必要です。
保険適用のホルモン補充療法(TRT)を行うと症状は改善し、うつ状態もよくなります」
うつに陥ったときには、精神疾患が原因なのか、男性更年期障害の症状なのか、きちんと見極めることが大切になる。
テストステロン値は、医療機関の血液検査などで調べることが可能だ。
「気分の落ち込みは、男性更年期障害でも起こることを多くの人に知っていただきたいです。
適切な治療を受けてください」と井手教授は話している。
(取材・安達純子)
■うつ病の主な症状
□悲しく憂鬱な気分が一日中続く
□これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない
□食欲が減る、あるいは増す
□眠れない、あるいは寝すぎる
□イライラする、怒りっぽくなる
□疲れやすく、何もやる気になれない
□自分に価値がないように思える
□集中力がなくなる、物事が決断できない
□死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う
※厚労省「こころもメンテしよう」より抜粋
◇井手久満(いで・ひさみつ) 順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学デジタルセラピューティクス講座特任教授。医学博士。1991年宮崎大学医学部卒。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校ハワードヒューズ研究所、帝京大学医学部泌尿器科学准教授、獨協医科大学埼玉医療センター教授などを経て、2023年から現職。
【関連記事】