【以下ニュースソース引用】
日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」
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![石井宏子](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2019/02/5ffc0d259e7a6aef8bcf381ee341a8d4.jpg)
温泉ビューティ研究家・トラベルジャーナリスト
日本・世界の温泉や大自然を旅して写真撮影・執筆をする旅行作家。テレビにも出演。温泉・自然・食で美 …
お気に入りの宿だったよろづやの離れ「松籟荘」(しょうらいそう、長野県山ノ内町)が火災で全焼してしまった時はとてもショックでした。
再建プロジェクトが立ち上がり、3年を経て2024年3月、待ちに待った新しい松籟荘がオープンしました。
1日5組、温泉付きの客室が5室だけの静かな湯宿。数寄屋造りの木造建築には、かつての松籟荘を思わせる伝統意匠が取り入れられています。
大浴場は目の前にある本館の「桃山風呂」や庭園露天風呂へ。国の登録有形文化財の空間と極上の温泉が迎えてくれます。
伽藍建築をイメージした「国民的財産」の温泉
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R3.jpg)
よろづやの大浴場「桃山風呂」は、1953(昭和28)年に安土桃山時代の伽藍(がらん)建築をイメージして建てられました。
善光寺納骨堂を手がけた建築家・沖津清氏が設計し、社寺建築の宮大工など職人を集め3年かけて完成したそうです。
2003(平成15)年には、かつての松籟荘とともに国の登録有形文化財に指定されました。
脱衣室には、訪れた旅人が貼っていったという千社札がいっぱいで、湯殿空間も荘厳な神社仏閣にいるかのような雰囲気。大きな楕円(だえん)の湯船の容積は24トンもあり、とてつもなく豊富な自家源泉の温泉で満たされているのです。
ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉、pH8.2の弱アルカリ性で、肌にしっとりと寄り添ってくるような美肌の湯です。
奥には温泉蒸し風呂もあって、全身が温泉ミストに包まれます。
お堂のような内湯の外は驚きの庭園露天風呂、日本庭園全てが岩風呂の温泉という贅沢(ぜいたく)さです。
新しくなった松籟荘のゲストも、以前と変わらずよろづやの大浴場も利用できます。
5室だけのゲストのために 新「松籟荘」
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温泉街の道を隔てて本館の正面に新しい松籟荘が建ちました。
客室は、静かにくつろぐための木造数寄屋造りです。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R5.jpg)
優しい木の香り、新しい畳の感触、杉皮の網代(あじろ)天井や籠目編みの壁板など地元の職人たちの手仕事が光る空間に、アンティークの松本民芸家具やリメイクした照明などが配されて、ほっとくつろぎを感じます。
チェックインは池田三四郎氏作品の椅子で、料理長手作りのぜんざいをいただきます。
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客室は全室にかけ流しの温泉があり、1階の3室は数寄屋造りの純和室スイートで専用のダイニングルーム付き、2階の2室は日本の伝統空間にツインベッドと庭を眺めるリビングがあり、ひとり宿泊も可能です。
写真は今回宿泊した1階の「はぎ」。
庭を眺める書斎机や専用の庭へ出られる土間があります。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R7.jpg)
以前の松籟荘に泊まった時もそうでしたが、この宿は、滞在してみるとじわじわと心に残るおもてなしを感じます。
部屋には女将(おかみ)さんが自ら採取した季節の草花と、地元湯田中温泉の「吉羽(よしば)ろくろや」の小物入れに入った小菓子。
素材の槐(エンジュ)の木は、出世や長寿など人生に福をもたらすといわれています。
そういえば、アメニティーや部屋着も長野県ゆかりの上質なものばかりで心地よく過ごせました。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R8.jpg)
温泉と庭を眺める場所に松本家具の椅子。
湯上がりはここで長野県産のドライフルーツで仕立てるフルーツティーを飲んで過ごしました。
季節を味わう月替わりの会席料理
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松籟荘専任の井上邦彦料理長が作る会席料理は、献立が物語のよう。
「雲海」と名付けられた前菜は春霞(がすみ)に包まれた桜の枝。
白アスパラのすり流し、タケノコの木の芽味噌和え、菜花の辛子浸しなど、春の香り満載。
桜をイメージして信州の「椀子(まりこ)ヴィンヤード・ ロゼ」を食事にあわせてみました。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R10.jpg)
「北信州」と記された椀(わん)は、桜道明寺まんじゅうの桜葉包み。
ハマグリの出汁(だし)の濃厚なうまみを味わいます。
![料理長が目の前で仕上げる「お造り」は、煎り酒ドレッシングでサラダ仕立てに](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/eed8cf2ec46a9f110a1519c5263ed10c.jpg)
井上料理長がテーブルへ登場し、目の前で仕上げる一品は「春の海」。
昆布締めにしたお造りを春の山菜と一緒にサラダ仕立てで楽しみます。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R13.jpg)
料理長の「十八番(おはこ)」手打ち信州そば。
極細で風味豊か、やさしい味わいのそばつゆでツルツルといただけてしまいます。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R14.jpg)
「八重桜」は、桜大根の酢漬けが引き立てる信州サーモン木の芽焼きと、ぷりぷり食感が絶品の信州福味鶏(ふくみどり)の鍬(くわ)焼き、山椒(さんしょう)がよいアクセントです。
「千秋楽」は鯛ごはん。
最後までおいしい晩餐(ばんさん)でした。
庭を眺める温泉と三段重の朝ごはん
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自分だけの庭に、専用の温泉。朝起きて誰にも気兼ねせず、のんびり温泉に浸れるのはこの上ない幸せです。
夜も温泉、朝も温泉、寒くなったら温泉、と、自由きままに温泉を楽しみました。
温泉街の通りと面しているのに、庭のしつらえがあると静かに感じられます。
夜はライトアップされた花木を眺め、朝には小鳥もやってきて心豊かな一夜でした。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R16.jpg)
三段重で運ばれる朝食は、木島平産コシヒカリの釜炊きごはん。
みそ汁が熱々で運ばれてすごくおいしい。
手づくりがんもどき、鮭(サケ)塩焼き、しょうゆ豆、ごぼうきんぴらなど、ごはんの供とゆっくり味わいます。
![日本旅館の美と文化財の湯を楽しむ 長野県・湯田中温泉「松籟荘」](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/04/R17.jpg)
松籟荘のゲスト専用のラウンジは、いつでもフリーフロー。
コーヒーや信州リンゴジュース、夜には地酒やワイン、ウイスキーなども楽しめます。
おつまみに信州銘菓「みすゞ飴(あめ)」があってにんまりしてしまいました。
【取材協力】湯田中温泉 松籟荘 https://shoraiso.com/
■「楽しいひとり温泉」ポイント
1.5室だけの温泉付き客室
2.桃山風呂で極上湯を満喫
3.季節を愛でる美食
フォトギャラリー(写真をクリックすると、詳しくご覧いただけます)
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