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発達障害や特性のある子の子育てで、親が心がけたい「5つ」のこととは?

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AERA with Kids+

写真はイメージ/GettyImages

 

 発達に特性のある子を育てるなかで、心配事が多いと、つい親子共々頑張りすぎて疲れてしまいがち。

 

わが子をのびのびと育てるため、親はどんな心がまえでいればいいのでしょうか。

 

児童精神科医の吉川徹先生、埼玉学園大学教授の藤枝静暁先生、臨床発達士の吉野加容子さんにアドバイスを聞きました。

 

子育て・教育情報誌「AERA with Kids」から紹介します。

 

  【図】ADHD、ASD、LDの子の特性はこちら(全3ページ) 

 

■1)できることを増やそうとせず、できなくても大丈夫にする

 

  発達に特性がある子どもの子育てにおいて、親はつい「今できないことを、できるようにする」ことを目標にしてしまいがちです。

 

しかし、すでに日々さまざまな苦労があり、絶え間ない努力をしている子にとって、できないことを全部できるようにするなんて、それはとても難しいことです。

 

  基本的に発達の特性は「治せる」ものではありません。

 

だったら、「どうすれば困りごとを減らせるか」「困ったときに解決できるか」を一緒に考えてあげてはどうでしょう。

 

たとえば「忘れ物をしたら、先生や友だちに借りる練習をする」「授業中、先生の言うことが全部聞けなくても、勉強がわかるようになるにはどんな方法がある?」など、「みんなと同じようにできなくてもOK」になる工夫を考えるのも一つの手です。

 

 「困ることがあっても大丈夫」と親子で日々楽しく工夫しながら、生活の中でリカバリーしていく方法が考えられるといいですね。(吉川先生)

 

 ■2)完成や達成よりも、挑戦を大事にする親の姿勢を見せる

 

  学校という社会の中では「人よりできることが良い」「努力で目標を達成するのが素晴らしい」という空気があるかもしれません。

 

しかし、発達障害があったり、その特性があったりする子にとって、みんなと同じペースで同じことを成し遂げるのは難しい。

 

自信を失わないよう、少なくともお父さんやお母さんなど、身近な大人は「“完成”や“達成”にはあまり興味がない」という雰囲気を演出してあげてほしいですね。

 

  何かに成功したことをほめるよりも、難しい日々に挑戦しつづけていることにこそ注目する。

 

「失敗は挑戦した証拠。かっこいいよ!」と声かけをするなど、その子なりに頑張る姿をほめてあげてください。

 

もちろん時には目標を持つこともいいでしょう。

 

ただし、うまくいかない場合に落ち込みが少なくて済むよう、セーフティーネットは準備しておいてくださいね。(吉川先生)

 

■3)休日に疲れすぎる状況をつくらないようにする

 

  発達に特性のある子は困っている様子が見受けられなかったとしても、学校での勉強や集団生活など人並み以上に頑張っています。

 

感覚が過敏な子なら、チャイムや話し声、バイク、校庭での活動などさまざまな音がストレスになっていることも。

 

いずれにしろ、学校で頑張っている分、脳が疲れやすい状態といえます。

 

  疲れがたまると、過集中になったり困りごとが増えたり、他の生活場面にも影響が出てきます。

 

だから、「疲れさせない」ことを心がけて、休日はゆっくり休ませてあげてください。

 

週末に子どものためにお出かけの計画などをされる場合もあると思いますが、夜遅くまで出かけたり、無理して遠くまで日帰りで行ったりということはなるべく避けてくださいね。

 

土日2日間休みなら、そのうち一日はリラックスデーを作るといいでしょう。(藤枝先生)

 

 ■4)誰でもグレーゾーン 親の対応次第で子どもは変わる

 

  誰にでも発達の特性、凸凹はあるものです。グレーゾーンであっても、親が適切な関わりをしていくことで、今抱えている困りごとや悩みはぐんと軽くできるはず。

 

そのために欠かせないのが親子間の良質なコミュニケーション。

 

日ごろ注意されがちなグレーゾーンの子には、成功体験の記憶を残してあげることが大切です。

 

  具体的には次の4ステップがあります。

 

1.子どもがやっていることに興味を示す、実況中継するなど「今」を肯定する

 

(例:「好きなテレビ番組やってるね」)。

 

2.笑顔で具体的にゆっくりと指示を出す

 

(例:「7時になったらテレビを消そうか」)。

 

3.好ましくない行動は注意せずに静観。

 

好ましい行動を始めたらすぐにほめる

 

(例:「リモコンを持って消す準備できてるね」)。

 

4.途中でこまめにほめ、行為そのものを肯定して会話を終了する

 

(例:「自分でテレビ消せたね」)。

 

できるところから取り組んでみてくださいね。(吉野さん)

 

■5)一人で何でもやるきるより「困ったときは誰かを頼っていい」と伝える

 

  発達障害がある子も、大人になるにつれ親離れをし、困ったことを親に相談しづらくなっていきます。

 

親を困らせたくないという気持ちにもなってくるんです。

 

そもそも、親がずっと面倒を見続けてあげることはできませんよね。

 

だからこそ、「いつだって周囲の誰かに頼っていいんだよ」ということを今から教えてあげてほしいです。

 

  幼いころから「一人でやりきる」「がんばる」ことだけを目標にしていると、大きくなってますます人に頼ることができなくなります。

 

親の手から離れた時にも、自分の苦手なことをちゃんと理解し、困ったことがあったらひどい事態になる前に周囲に助けを求められる人になったほうが、安心ですよね。

 

  いくつもの場所や人、頼れる先を上手に増やしていくのを親は手伝ってあげる。

 

それが発達に特性がある子の子育てにおける、目標の一つといえるのではないでしょうか。(吉川先生)

 

 (取材・文/玉居子泰子、AERA with Kids 編集部)

 

 〇吉川 徹/児童精神科医。

 

愛知県尾張福祉相談センター児童専門監。発達障害がある子どもを中心に診療を行ってきた。現在も親の会などとも連携しながら支援を行っている。子どものこころ専門医。 〇藤枝静暁/埼玉学園大学人間学部心理学科 教授。博士(心理学)、公認心理師臨床心理士、学校心理士。専門は教育心理学、発達心理学。公立小中学校、適応指導教室などの教育現場を経験。幼稚園での子育て相談にものっている。 〇吉野加容子/臨床発達心理士。発達科学コミュニケーション代表。発達支援プログラム「発達科学コミュニケーション」を開発。発達に悩む多くの親子を支援。著書に『発達障害・グレーゾーンの育てにくい子が3ヶ月で変わる 非常識なおうち発達支援』(パステル出版)や『【発達障害とグレーゾーン】子どもの未来を変えるお母さんの教室』(青春出版社)など。

 

玉居子泰子

 

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