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元気に長生きするには、「無理しない。逃げる!」【養老孟司×和田秀樹】

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PHOTOGRAPH=杉田裕一

 

『80歳の壁』著者・63歳和田秀樹が、“長生きの真意”に迫る対談連載企画「医者ではなく、大先輩に聞け!」。

 

初回ゲストは解剖学者・86歳養老孟司。

 

『バカの壁』と『80歳の壁』。

 

記録的な大ヒット本を生んだ二人に共通する人生哲学とは。話の随所から、楽に生きるためのヒントが飛び出てきます。その第3回。 

 

【写真】元気の秘訣は「自分を省みて、今の状態は居心地がいいのかを問う」【養老孟司×和田秀樹④】

年を取らない秘訣

和田 編集者さんは「養老先生は解剖学の先生だった40代くらいも今もずっと変わらない」って言うけど、それは違うな。

 

若々しかったんですよ。

 

 養老 僕は発育不全なんですよ。

 

発達障害。

 

 和田 解剖学とか基礎医学の先生って変な人が多かったんだけど、養老先生はダントツにおしゃれでした。

 

 養老 僕は現役で大学に入って仲間は年上ばかりでした。

 

卒業してもそういう環境が多くて、若く見られる。東大の教員時代もよく学生と間違われました。

 

教室でプリントを配り始めたら「お前どこからそれ持ってきた」と教授から叱られたりね。

 

 和田 (笑)。

 

 養老 やっぱりちょっと足りないんでしょう。

 

「年相応」って言葉があるでしょ。

 

でも世間の基準と照らして、僕は何かが不足している。

 

たぶん人を気にしていないからです。

 

人に合わせれば自然に年相応になる。

 

でも合わせないから「年不相応」になるんです。

 

(笑) 和田 若くいられる秘訣ですね(笑)。

 

でもそれは今回のテーマの大事なポイントです。

 

つまり周囲に合わせないことで、元気に長生きできるんです。 

 

養老 物は言いようだね(笑)。

 

 和田 僕の母はいい加減な人でしたが、唯一感謝してることがあるんです。

 

それは「人と仲良くしろ」と言わなかったことです。

 

僕は小学校を6回転校していて、どこに行っても仲間外れだし、いじめられっ子だったんです。

 

そんな僕に母は「お前は変わってるから、いじめられるのは当たり前やから。資格でも取って生きてかなあかんで」と。

 

みんなに合わせて窮屈に生きるくらいなら、合わせられなくても生きていける道を探れ、という教育方針でした。

 

だから僕は仲間外れにされても焦りませんでしたね。

 

 養老 僕はそういうことはあんまり意識しなかった。

 

そもそも仲間外れにされてるかどうかさえわからない(笑)。

 

 和田 人間に興味がない?

 

 養老 いや。

 

昆虫や自然に興味を持つとね、人間のことはどうでもよくなるんですよ。

 

それでずいぶん助かったんです。

 

 和田 人間も自然の一部でしかない。

 

そう考えると人間に振り回されずにすむ。

 

養老先生の健康とアクティブさの秘訣に少し迫れた気がします。

 

やっぱり無理しないこと

和田 でも多くの人は養老先生のように振り切った考え方はできません。

 

何かいいアドバイスはありますか?

 

 養老 やっぱりね、無理しないことですね。

 

素直に言えば、これしかない。

 

だけど自分にとって何が無理なのか、なかなかわかんないんですよ。

 

 和田 多くの人は無理して人に合わせようとしているように見えます。

 

 養老 僕が若い時の東大病院の医師たちがみんなそうだった。

 

なんか無理してるなって。

 

僕は若かったけどそれはわかるんですよ。

 

あんなふうになりたくないな、ってね、思いましたよ。

 

 和田 東大医学部の人たちが、そこから外れた人を下に見たりするのは、自分が無理してることの裏返しの気がします。 

 

養老 自分が無理してる人って、人に無理させるんですよ。

 

「俺が苦労したんだから、お前も苦労した方がいい」って。

 

 和田 それはブラック企業の構造そのもだから。

 

そういう人が近くにいたら、養老先生は?

 

 養老 逃げる(笑)。

 

 和田 「かくあるべし思考」の人って、他人にも「かくあるべし」を押し付けますからね。

 

だけど世の中ってのは「かくあるべし」通りにならないことが圧倒的に多い。

 

検査データもそうですよ。

 

正常値から少しはみ出ただけで医師は薬を出して正そうとする。

 

でも本当に数値が正常なら健康で長く生きられるのか、正解はわからないのです。

 

 養老 仰る通りですね。

 

 和田 楽に生きてる方が免疫が上がって長生きできるかもしれない。

 

現に養老先生みたいにタバコをスパスパ吸って元気な人がいるわけだから。

 

しかもこの年でも現役で、外国にまで虫捕りに行っちゃうのだから。

 

 養老 (笑)。

 

 和田 自分の常識が絶対に正しいと信じて疑わないのは、僕からすると気味悪い。

 

正しいかもしれないし、正しくないかもしれない。

 

やってみないとわからない。

 

養老先生は何かお薬は飲まれていますか?

 

 養老 飲まない。

 

 和田 痛み止めなども?

 

 養老 飲まないですね。どこまでが正常か痛みかわからない。

 

 和田 痛みとか不快はない?

 

 養老 ありますよ。

 

不快です(笑)。

 

でも年寄りの「痛い」が始まったらキリがないからね。

 

言わないようにしてる。

 

 和田 体力を保つために運動とかはされますか?

 

 養老 何もしてない。

 

散歩くらいはしますけどね。

 

行きたくなるから。天気のいい日に家の中にいても嫌じゃないですか。

 

とくにこの季節(註:取材は2024年3月中旬)になったら絶対に外に行きますね。

 

もう虫が出てくる季節ですから。

 

 ※4回目に続く 養老孟司/Takeshi Yoro 1937年鎌倉市生まれ。東京大学医学部を卒業後、解剖学教室に入る。東京大学大学院医学系研究科基礎医学専攻博士課程を修了。東京大学医学部教授、北里大学教授を歴任。東京大学名誉教授。『ものがわかるということ』など著書多数。 和田秀樹/Hideki Wada 1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。立命館大学生命科学部特任教授を経て、「和田秀樹こころと体のクリニック」院長に。老年医学の現場に携わるとともに、大学受験のオーソリティとしても知られる。『80歳の壁』『70歳の正解』など著書多数。

 

TEXT=大城稔

 

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