【以下ニュースソース引用】

「うつ病」か「更年期障害」か 50歳代の男性管理職 体の不調の原因を見極めるポイント…女性に比べて気づきにくいのはなぜ?

配信

 

読売新聞(ヨミドクター)

 

 精神科産業医として45年以上のキャリアを持つ夏目誠さんが、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。 

 

男性更年期障害のチェック表

 

イラスト:あかださきこ

 

 精神科産業医として、企業で実施するストレスチェック検査で「高ストレス」となった人の面談をしていると、40代後半になると不定愁訴が増えてきます。

 

イラつき、発汗、のぼせ、意欲低下などです。

 

女性なら一番に更年期障害を考えますが、実は男性でも更年期障害に苦労する人がいます。

 

いずれも性ホルモンの減少から生じますが、男女の違いも含めて事例と対処法を紹介します。

更年期の不調、会社では言いにくい

 産業医面談に訪れた51歳の女性、中宮春子さん(仮名)の事例を私(産業医)と中宮さんとのやり取りで再現します。

 

 産業医 : 高ストレスの判定ですが、心身症状が多いですね。

 

疲れやすい、集中出来ない、意欲がわかない、眠れない。

 

また、職場では、上司のサポートが低いと出ています。 

 

中宮さん: 実は……話しにくいのですが、更年期障害ではないかと思っていました。

 

  産業医 : それで?

 

 中宮さん: のぼせ、ほてりが半年くらい前からあって、これがつらいですね。

 

でも、生理や女性ホルモンなどの話で、更年期のイメージに抵抗があって、やはり男性の上司や家族に話しにくいです。 

 

産業医 : のぼせやほてりがある。

 

 中宮さん: 汗がドッと出て、イライラする。

 

我慢をしてきました。

ホルモン補充療法で落ち着く

産業医 : のぼせやほてり、発汗をホットフラッシュと言うのはご存じだと思いますが、更年期障害に特有の症状ですね。

 

 中宮さん: どうすれば、いいのでしょうか?

 

 産業医 : 更年期は症状発生の個人差が大きいのですが、あなたの場合、症状が強いので婦人科受診をお勧めします。 中宮さん: 婦人科ですね。

 

 産業医 : 紹介状を書きます。

 

治療すればイライラや集中できないなどのメンタル症状も軽快し、仕事に打ち込みやすくなりますよ。

 

  中宮さんは婦人科を受診し、減少した女性ホルモン、エストロゲンを飲み薬や貼り薬で補うホルモン補充療法を受け、症状は落ち着きました。

 

  婦人科受診の2か月後に中宮さんが相談室を訪れました。

 

 産業医 : 中宮さん、見違えるようです。

 

明るく表情も豊かになってね。

 

 中宮さん: 症状が軽くなって楽になりましたね。

 

更年期の症状は治療で和らげることができるんですね。

 

  ストレスチェック検査で判定された「高ストレス」は、更年期障害の治療で落ち着いたわけです。

気力が衰え、意欲がわかない54歳の男性

 男性の場合も、男性ホルモン、テストステロンの減少で、意欲がわかないなど更年期症状が出ることがあります。

 

しかし女性ホルモンが急減する女性と異なり、男性ホルモンの減少には個人差も大きいので、更年期障害とはなかなか思い至りません。

 

販売会社経理部次長の岡田太郎さん(仮名、54歳)が相談に来ました。

 

 産業医 : 精神科産業医の夏目です、よろしく。

 

 岡田さん: 経理部勤務の岡田です。病気というほど調子が悪いわけではないの で、相談に来るのはためらいがあって……。 

 

産業医 : メンタルの不調ではよくありますよ。

 

なにがつらいのですか。

 

 岡田さん: 気力が衰えてきたというか。

 

 産業医 : いつ頃からでしょうか?

 

 岡田さん: 1か月くらい前からです。意欲が出ない。

趣味は今まで通り

産業医 : 好きなことは、どうでしょうか?

 

 岡田さん: 趣味は今まで通りできます。

 

 産業医 : 気分は落ち込みますか?

 

 岡田さん: 少し落ち込んでいるかもしれません。

 

夜中に目覚めることが多いですね。

 

 産業医 : 性欲はどうですか?

 

 岡田さん: 年齢もあるでしょうが、落ちています。

 

 産業医 : かなりですか。

 

 岡田さん: 異性への興味はないです。考えたこともないから。

男性の場合、うつ病か更年期障害か

産業医 : お話を聞いていると、考えられる病名は「うつ病」と「更年期障害」の二つです。

 

 岡田さん: (驚いた表情で)えっ、男なのに更年期障害ですか。

 

  産業医 : あまり知られていないからね。

 

でも、ありますよ。

 

 岡田さん: 私の場合、可能性があるのですね。

 

 産業医 : そうですね。

 

全体に意欲が低下しているようですが、疲弊しているというほどではなく、好きなことは楽しめるわけですね。

 

うつ病だと楽しめなくなりますよ。

 

 岡田さん: どうすればい良いのでしょうか?

男性ホルモンの数値を検査

産業医 : 泌尿器科や男性の更年期外来があるクリニックを受診してみませんか。

 

 岡田さん: どこがいいでしょうか?

 

 産業医 : クリニック宛てに、紹介状を書きます。

 

採血して、テストステロンという男性ホルモン値を測定します。

 

 岡田さん: その値でわかるんですか?

 

 産業医 : そうです。数値も参考にしながら、総合的に判断します。

 

 岡田さん: わかりました。

男性もホルモン補充療法で改善

泌尿器科を受診してから、面談に来てくれました。

 

 産業医 : いかがでした?

 

 岡田さん: 男性の更年期障害と診断されました。

 

原因が分かってほっとしました。

 

 産業医 : 治療を受けているのですか。

 

 岡田さん: はい、男性ホルモン補充療法を受けています。

 

 産業医 : 症状は、どうかな?

 

 岡田さん: 意欲が出てきました。

 

 産業医 : 良かったですね。

 

 岡田さん: まさかと思っていましたが。

 

 産業医 : 主治医のOKが出るまで通院を続けてください。

 

  更年期障害に悩む男女の事例を紹介しました。

 

男性は気づきにくく、うつ病などメンタルの病気と似た症状が出ることがあります。

 

40歳代後半以降の男性にうつ的な状態が続いた時は、更年期障害も疑って専門医受診をお勧めすることがあります。

 

男性ホルモンの問題でないと分かれば、メンタル系の医師が対応します。

 

(夏目誠 精神科医)

 

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