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学校が教える「みんなと仲良くしなさい」は大嘘…精神科医「グループに苦手な人がいたらとるべき態度」
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※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mediaphotos
苦手な人とは、どのような距離感で接するべきか。精神科医の藤野智哉さんは「『平等に接する』とか『誰とでも仲良く』と学校で教えられてきたかもしれないが、これらは実は嘘である。
いじめを受けた子はいじめた子と仲良くはできないし、そんなことをしたら、その子がいちばん大切な『自分』と仲良くなれなくなってしまう。
グループの中で一人だけと距離をとるのが難しい場合、グループからはずれるのも1つの手だ」という――。
※本稿は、藤野智哉『「そのままの自分」を生きてみる 精神科医が教える心がラクになるコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■正面から受け止めなくていい言葉
本稿は、つらさや悩みのもとになりがちな「他人とのかかわり」についてのお話です。
しんどさや悩みの要因は、ついつい「他人の目」を気にしていたり、他人と比べてしまっていたりするから、ということも多いのではないでしょうか。
「それでいいの?」などと人から言われて傷ついたり、まわりの行動を見て「みんなできているのに、私はできてない」と悩んだり。
「他人を気にしすぎないこと」について、本稿ではお話しできたらと思います。
たとえば、「机の上がけっこう汚いよね」「最近、太ったんじゃない?」とズケズケ言ってくる同僚がいたとします。
そのとおりだけど、そんなふうにストレートに言わなくても、とモヤモヤが止まらない……なんてことありますよね。
世の中には、正面から受け止めなくていい言葉があります。
これを知っているだけで少し自分の受けるダメージを減らせると思います。
世の中にいるすべての人が、気配りができるとはかぎりません。
なかには相手の気持ちがわからない人もいるし、ひょっとしたら嫉妬で言っているかもしれない。
別のことで機嫌が悪くて、八つ当たりで言いやすい人に言っているだけということだってあります。
そのうえ、「最近、太ったんじゃない?」と言ってくる人の言葉をストレートに受け止めてダイエットしたとしても、「その色の洋服、あんまり似合ってないね」「シミが増えたんじゃない?」なんて、さらなるネガティブな指摘をしてくることも十分ありえます。
こちらのできることは「真に受けないこと」です。
■イヤな相手には少しくらい悪い自分を出したっていい
自分にとってイヤなことを言ってくる人やアドバイスで「よけいなお世話」をしてくる人は、そんなに深い意味で言ってないことも多いものです。
そんな言葉は深読みしてもどうせ空振り。最初からスルーでOKです。
少しイヤな言い方に聞こえるかもしれないですが「その人が自分にとって、どのくらい価値があるか」を考えてみるのもいいかもしれません。
目の前の人が、「昔からの大切な親友」なのか、あるいは「たまに話すくらいの同僚」なのか、「ママ友グループの一人」なのか。
そんなに大切でない人の言うことまで、いちいち気にしていたら大変です。
自分を変えなければいけないところだらけになってしまいます。
どうでもいい人から言われた言葉には「あぁ、見る目がないんですね」で完封しましょう。
「スルーなんて、そんな無視するようなことできない」みたいに思ってしまう人も時々いたりします。
真面目でちゃんとした人だなって思います。
だったら、こんなふうに考えてみてはどうでしょうか。
「イヤなことを言ってくる人には、少しくらい悪い自分を出したっていい」って。
ほんの少しだけ、ね。
■「みんなと仲良くしなさい」は大嘘
「他人が気になってしまう」理由の1つに「人から嫌われたくない」というのがあります。
もちろん好きな人から好かれたらうれしいでしょう。
でも、好きでもない人にまで好かれようとがんばってしまってないですか?
いい人ほど、まわりにいる人全員に好かれようとがんばってしまいがちなところがあります。
それで、好きじゃない人に合わせて自分をつくろったり、無理して笑って見せたり、がんばってランチや飲み会に付き合ってみたり。
でも、そんな自分を好きになれますか?
好きじゃない人のために努力している自分って、なんだか好きになれないですよね。
それを繰り返していくうちに、本格的に自分のことを嫌いになってしまうかもしれません。
だから「みんなに好かれなくていい」と心の底から理解しておくことは、けっこう重要なんじゃないかと思います。
もちろん、「みんなに好かれなくていい」に抵抗があるのもわかります。
小学校で「みんなと仲良くしなさい」と言われながら育ってきた人も多いでしょうから。
でもね、あれは実は嘘なんです。
「平等に接する」とか「誰とでも仲良く」と学校で教えられてきたかもしれませんが、平等に接したり、全員と仲良くする必要って、本当はないんですよ。
いじめを受けた子に対して、「いじめた子とも仲良くしなきゃダメ」なんて強要できるでしょうか。
無理ですよね。
それにそんなことしたら、その子がいちばん大切な「自分」と仲良くなれなくなってしまいます。
「みんなと仲良く」という嘘にとらわれないでくださいね。
■グループから外れるのも1つの手
大事なことは、「好きじゃない人とは距離を置く」「好きじゃない人にまで好かれようと努力しない」だったりします。
世の中には、好きでも嫌いでもない関係の人たちがたくさんいます。
「好きでも嫌いでもない」くらいの距離感で付き合ってみてもいいのではないでしょうか。
また、グループの中で一人だけと距離をとるのが難しい場合もあると思います。
たとえば、ママ友グループの中で一人だけ苦手な人がいるとして、その人とだけ距離をとるのは至難の業だったりします。
そんなときは思いきって、グループからはずれるのも1つの手かもしれません。
新しい環境で新しい仲間が見つかることもあります。
あるいは、ママ友をつくらずに、一人でやれる趣味など何か新しいことをやれる可能性が生まれてくるかもしれません。
「環境を変えること」で変わることもあるものです。
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藤野 智哉(ふじの・ともや) 精神科医 産業医。公認心理師。1991年愛知県生まれ。秋田大学医学部卒業。幼少期に罹患した川崎病が原因で、心臓に冠動脈瘤という障害が残り、現在も治療を続ける。学生時代から激しい運動を制限されるなどの葛藤と闘うなかで、医者の道を志す。精神鑑定などの司法精神医学分野にも興味を持ち、現在は精神神経科勤務のかたわら、医療刑務所の医師としても勤務。障害とともに生きることで学んできた考え方と、精神科医としての知見を発信しており、X(旧ツイッター)フォロワー9万人。「世界一受けたい授業」や「ノンストップサミットコーナー」などメディアへの出演も多数。著書に3.5万部突破の『「誰かのため」に生きすぎない』(ディスカヴァー)『自分を幸せにする「いい加減」の処方せん』(ワニブックス)、『精神科医が教える 生きるのがラクになる脱力レッスン』(三笠書房)などがある。
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精神科医 藤野 智哉
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