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よく効く薬ほど副作用は強い「高齢者には薬を処方しない医師」が理想(和田秀樹)

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日刊ゲンダイDIGITAL

精神科医の和田秀樹氏(C)日刊ゲンダイ

 

和田秀樹 笑う門にボケはなし】

 

  日本人はマジメな方が多く、医療においても医師の指示通りに薬をきちんと服用する患者さんが少なくありません。

 

そんな患者心理のせいか、診察の上、医師が問題ナシと判断して、「様子を見ましょう」と伝えて患者さんを帰すと、患者さんの中には「調子が悪くて受診したのに、何もしてくれず、薬も処方してもらえなかった」とトラブルになることも少なからず耳にします。

 

怒った患者さんがその医師を「ヤブ医者」と悪評を立てることもあるようです。

 

  65歳を過ぎたらラーメン屋に行ったりかつ丼を食べるのも大切

 

 確かに医師が重大な診察結果や症状を見落として「異常ナシ」と診断するのは問題ですが、そういう特別な病気がないとしっかりと診断上での様子を見ましょうなら、決して問題はありません。

 

むしろ不必要な検査や投薬をしないことは、患者さんの肉体的にも経済的にも合理的です。

 

 ■高齢者は不必要な薬を飲まない方がよい

 

  私がこの連載や講演会などで何度となくお伝えしているのは、なるべく高齢者は不必要な薬を飲まない方がよい、ということです。

 

どんな薬にも効果があれば、副作用もあります。

 

よく効く薬ほど、副作用も強い傾向です。

 

  しかも高齢者は、薬の分解や代謝、排泄にかかわる肝臓や腎臓の機能が低下していることもあり、ひとつの薬でも体内に残る影響が強く、副作用が現れやすくなります。

 

複数の薬だと、それらの相互作用によって、副作用もより強くなることをお伝えした通りです。

 

ですから、この点でも、薬を出さない医師は、決してヤブ医者ではなく、患者さんのことを考えての治療と処方といえます。

 

  中日新聞は以前、がんでの闘病について医師と患者にアンケートをしたことがありました。

 

最後まで闘うと回答した患者は9割を超えましたが、医師は2割。

 

「治療をやり切って死にたい」の割合は、患者95%に対し、医師は51%でした。

 

  これだけの差が表れるのはなぜかというと、ひとつは抗がん剤の副作用が影響しています。

 

医師はそのつらさを熟知しながら、患者さんにがんのガイドラインとして明記されている抗がん剤をステージごとに提案するものの、こと自分の治療となると、“自分としてはあんまり”という思いが働いているわけです。

 

  抗がん剤は極端なケースですが、高齢者が5種類以上の薬を服用すると、転倒しやすいなどの副作用が現れやすいことが指摘されています。

 

不必要な薬を使うことなく治療する医師は、多剤併用による副作用の予防という点では、とても大きな意味があります。

 

そんな医師はヤブ医者ではなく、信頼できる医師というふうに見方を変えるべきだと思います。

 

  そうすると、高齢者にとってよい医師の姿が見えてくるでしょう。

 

薬の見直しや減量に応じてくれる医師が、理想といえます。

 

(おわり)

 

 (和田秀樹/精神科医)

 

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