【以下ニュースソース引用】

「自分で自分の機嫌を取ろう」は同調圧力!? 圧を感じる“ずるい言葉”、言われたらどうすればいい?

 

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昭和から残る「昔からの価値観」と近年広まった「新しい価値観」、両者の板挟みになり、さらには、現実的に世の中で重視される「市場的な価値観」のプレッシャーも受けることで、つらさを感じる人が増えている今。

 

さまざまな価値観からの圧力により、人を閉じ込めてしまう“ずるい言葉”が世の中には蔓延しています。

 

その言葉に対する考え方や、言い返し方、逃げるための考え方を社会学者・貴戸理恵さんがバッサリ指南!

 

  【画像】同調圧力に抵抗するには?

 

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■ずるい言葉①「自分の機嫌は自分で取ろう」

 

 ──「自分の機嫌は自分で取ろう」「自分の機嫌を自分で取れるのが大人」。

 

SNSでもリアルでも、そんな言葉を耳にすることがありますが、この言葉にプレッシャーを感じる、という人も。

 

 貴戸先生:私もこの言葉は好きではありません。

 

問題を「その人の機嫌」の問題に矮小化し、また、「個人で対処すべき」とさせる点で、ずるい言葉だと思います。

 

 例えば、「お腹がすいて不機嫌になっている」という場合なら、自分で対処すればいい。

 

でも、正当な理由があって怒りを抱えている人、例えば「正社員と同じ仕事内容で長時間働いているのに、給料が安い!」と怒る非正社員に、「自分の機嫌は自分で取れ」というのは、問題の本質から目を逸らす行為です。

 

 また、“ハッピー産業”のようなものに結びつきがちな言葉でもあります。

 

社会構造の矛盾でやりきれない思いを抱えている自分を、「いい香りのする癒しグッズ」などを購入することで何とかしよう、という消費行動の話になると、これは「市場的な価値観」からの圧力です。

 

 自分で自分の機嫌を取ってその場をやり過ごしても、問題は解決しません。

 

「私だって仕事をしているのに、家事育児の負担が夫よりずっと重いのはおかしい!」と怒っている妻は、分担による負担軽減を求めているのであって、癒しが欲しいわけではないでしょう。問題は蓄積し、いつか爆発します。

 

 問題が起きたら、「機嫌」の問題にしてごまかすのではなく、どんな問題なのかを言葉にして、具体的に対処していくことが大切です。

 

社会構造の話はすぐには解決しないかもしれませんが、自分は正当な怒りを抱えているんだ、という意識を持っていれば、仲間とつながる土台になります。

 

 ■ずるい言葉②「(コンプレックスについて)個性として生かすべき」

 

 ──自分が気にしていることについて、「個性として生かすべき」と言われてモヤモヤした、という話もあります。

 

ポジティブな意味で言っているとしても、言われた側はプレッシャーに感じることもあるようです。

 

 貴戸先生:前回プラスサイズモデルの例を出しましたが、例えば「太めの体型だって今は認められているのだから、個性として生かせばいいではないか」ということですね。

 

そうしたくてするならいいけれど、周囲が押し付けることではありません。

 

コンプレックスがあるなら、まずはその本人の思いから出発することが大事ではないでしょうか。

 

 「個性として生かす」といっても、結局は「市場価値のあるものにする」ということ。

 

すべてのコンプレックスがそうできるわけではありません。

 

「一重まぶたやそばかすを生かす」はありえても、しわやしみ、荒れた肌などが「個性」になることはないですよね。

 

 また、「個性として生かすべき」とされると、生まれ持った身体的特徴についてあきらめることが許されず、際限なく努力が求められ、自己責任とされてしまいます。

 

これもまた、ずるい言葉です。

 

 こういうときは、態度を曖昧にしておきましょう。

 

コンプレックスをカバーしようとするときがあっても、「個性として生かそうかな」と思うときがあってもOK。

 

いずれにせよ、他人からどうこう言われる話ではありません。

 

 社会学者 貴戸理恵 1978年生まれ。関西学院大学社会学部教授。専門は社会学、不登校の「その後」研究。。著書に『10代から知っておきたい あなたを丸めこむ「ずるい言葉」』(WAVE出版)、『「生きづらさ」を聴く――不登校・ひきこもりと当事者研究のエスノグラフィ』(日本評論社)等。

 

 イラスト/ふち

 

 取材・文/東美希

 

 画像デザイン・企画・構成/木村美紀(yoi)

 

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