【以下ニュースソース引用】
初海外の彼とのセブ島 宇賀なつみがつづる旅(53)
![](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/03/b1c5fc0e8f5ed4dd0c6af07be34c4d25.jpg)
![宇賀なつみ](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2019/09/c6233db0df0363eddfb2c1a5bfca2085.jpg)
フリーアナウンサー
東京都出身。テレビ朝日「報道ステーション」の気象キャスターとしてデビューし、「グッド!モーニング …
フリーアナウンサーの宇賀なつみさんは、じつは旅が大好き。
見知らぬ街に身を置いて、移ろう心をありのままにつづる連載「わたしには旅をさせよ」をお届けします。
「小さな彼」を連れたセブ島の旅では、宇賀さんにも初めての経験があったそうです。
「初めての旅 セブ」
初めての海外は2歳だった。
叔母の結婚式に参列するため、ハワイに行ったらしい。
もちろん記憶はないけれど、
チューリップ柄のドレスを着て、教会の庭で遊んでいる写真を、
よく両親に見せてもらった。
3月の終わりに、友人とその息子と3人でセブ島に行った。
アジアのリゾート地の中でも割と近いし、
のんびり海を眺めながら、ゆっくりするにはちょうど良いと思った。
今年2歳になる彼にとっては、初めての海外だ。
久しぶりに会った彼は、少し不安そう。
春休みを迎え大にぎわいの空港に、戸惑っているようだった。
卒業旅行らしき集団も多い。
彼らの中にも、初めて海外に行くという人はいるだろう。
大声ではしゃぐ姿を見て、こちらもうれしくなる。
いつだって、若者は元気な方がいい。
飛行機の中では、彼はぐっすり眠ってくれた。
その間は大人同士の会話ができる。
無事に入国審査も終えて、ホテルにチェックインする頃には元気になり、
早速着替えてプールデビューをした。
![初海外の彼とのセブ島 宇賀なつみがつづる旅(53)](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/03/baf36cf41afacfe4009d189cbf2b369e.jpg)
最初は怖がっていたけれど、少しずつ慣れて、
バケツやコップで水遊びを楽しんでいるようだった。
その横で私はいつものように、泳いだり休んだりしながら、
パソコンで細々した仕事を片付ける。
熱すぎず冷たすぎない、心地よい風が抜けていった。
そのうち日本にも夏がやってくる。
今年はどんな夏になるだろうか。
なかなか自分で歩こうとせず、抱っこばかりねだっていた彼も、
夜になる頃にはだいぶ慣れてきたようだ。
色鮮やかに咲く花や、小さな虫たちに、
理解できるようなできないような、彼なりの言葉で、何かを語りかけている。
3人で川の字になって寝た翌朝、
ビュッフェ会場で彼は、驚くほど食べた。
同じくらいの年齢のオトモダチがいると気になるようで、
恥ずかしそうにしながら見つめ合っていた。
子連れだと、いつもと違う旅になる。
無理に予定を詰め込まないし、
ゆっくり時間が流れていくので、一日が長い。
普段は気がつかないようなものが、自然と目に入ってくるから面白い。
私にとっても、初めての経験になった。
![初海外の彼とのセブ島 宇賀なつみがつづる旅(53)](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/03/00b38dc75e69609edbdc1e11436dfeaf.jpg)
毎日、特に何も起きないぜいたくなバカンスも、いよいよ最終日。
海沿いのレストランで、のんびり食事をした。
宿泊客もスタッフも、小さな彼を見つけると手を振ってくれる。
世界中どこにいても、子供は大人を笑顔にする。
レストランの奥で、カラオケを楽しむ若者がいた。
テイラー・スウィフトやジャスティン・ビーバーなど、
誰もが知っている曲を、皆で合唱している。
次はブルーノ・マーズだ。
すると、小さな彼は急に椅子の上に立って、全身を揺らして踊り始めた。
思わず噴き出してしまうくらい、ノリノリ。
誰かに教わったわけでもないのに、
周りの目なんて気にせず、気持ち良さそうに音楽に身を任せていた。
初めてにかなうトキメキは、なかなかない。
彼にとっては、大冒険だった4日間。
きっと忘れてしまうだろうけど、いつか写真を見て思い出してほしい。
今年で38歳。
私もまだまだ、初めてを求めて旅をしよう。