【以下ニュースソース引用】

71歳団地ひとり暮らし、がんを経験して以来切実に感じていること「意に沿わないことをやめる勇気も必要」

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婦人公論.jp

(写真:川瀬典子)

 

内閣府が公開している「令和4年版高齢社会白書」によると、65歳以上の一人暮らし世帯数は年々増加傾向にあるようです。

 

そのようななか、数々の人生の逆境を持ち前のバイタリティーで乗り越え、歳を重ねてもなお生きることの楽しさを体現しているのは、『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」 がんを乗り越えてわかった本当の幸せ』を著した、ソネ ジュンコさん。

 

ソネさんいわく、「ストレスの原因が人間関係だったと気づいた」そうで――。 

 

【書影】「ひとりで楽しむノウハウ」満載!『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」 がんを乗り越えてわかった本当の幸せ』 

 

* * * * * * *

 

 ◆人間関係が知らず知らずのうちにストレスに

 

 抗がん剤の副作用でまんじりともしない中、食生活以上にがん発病の大きな引き金となったのが、ストレスをため続けてきたことではないかと思い当たりました。

 

 そのストレスの原因となったのが人間関係だったと気づいたとき、自分自身の心にずっとウソをつき続けてきたことを悟ったのです。

 

 当時、私はストレッチや筋トレを中心としたオリジナルボディーワークの教室を新大阪の駅前で開いていました。

 

 70平米ほどもある大きなスタジオで、長年通っていた生徒さんの中には、すでにインストラクターになれるくらい実力のある人たちが何人も出てきていました。

 

 彼女らがレッスンに励んでいる姿を見ているうちに、私は「この人たちにもインストラクターとして活躍の場を与えてあげたい」と思うようになりました。 

 

彼女たちも自分に十分な実力や指導力が身についてきていることを自覚しており、「私もいつか、先生のように健康に役立つようなレッスンができるようになりたいです」という声が上がってくるのは、ごく自然なことだったと思います。

 

◆「人の上に立つ」という柄にもないことをしてしまいました

 

 ちょうどそのころ、「起業コンサルタント」を名乗る複数の人たちから、連絡が来るようになっていました。

 

 「もっと教室の規模を拡大しましょう」「インストラクター制度を導入することで生徒さんのやる気が上がりますよ」「先生ご自身にもライセンス料が入ってきます」など、心をくすぐるような話を聞くうちに、「やってもいいかな」と思ってしまったのです。

 

 そこで一定以上のスキルがあり、人間的にもほかの生徒さんから慕われている数人にインストラクターになってもらい、業務をまわすようにしました。

 

 もちろんトップに立って指示を出したり、意見をとりまとめたりするのは私です。

 

 ところが、そもそも一匹狼タイプで、自分の好きなようにしていたい私には、「組織のトップに立つ」とか「人をまとめる」というのは、まったく向かないことだと思い知らされるまで、さほど時間はかかりませんでした。

 

 本来の私は一匹狼の気質なのに、勘違いして組織のトップとして人を束ねようとしたのが、無理の始まりだったのです。

 

 今のように一斉に業務連絡のできるLINEのような便利なツールのない時代です。

 

「**さんに××が伝わったと聞いたけれども、私は聞いていない」などといった事態も生じました。 インストラクターそれぞれに事情があり、要望があります。

 

 トップに立つ器の人なら、小さな組織ですから、そのすべてに耳を傾けて、スタッフ全員にとってメリットがあるよう、公平に組織を運営していくことができるのでしょう。

 

しかし私には、それがどうしてもできませんでした。

 

 本来、自己犠牲とは無縁の私ですが、このときばかりは「自分さえ我慢すれば、みんなが満足してくれるのだから」としか思えなくなっていたのです。

 

 「どうしてこんなに向かないことを私は選んでしまったのだろう」と自分を呪ってもあとの祭りです。

 

 新たなシステムは走り出してしまい、インストラクターになった人たちは嬉々(きき)としてレッスンに励んでいます。

 

 どうしてそんな状況で、「私にはトップを務めるのは無理です」などと言えるでしょうか……。

 

 

(写真提供:PhotoAC)

 

◆手紙を書いてすべてを打ち明けて謝りました

 

 がんで闘病していたとき、そんな自分の現状を省みて、病床でつくづく思いました。

 

 「私には荷が重すぎたのだ」と。 それが病気の直接の原因だとはゆめゆめ考えもしなかったのですが、がん発病の誘因の一つにストレスがあるのだとしたら、この「荷の重すぎる役割」は間違いなくストレスだったと思わざるを得ませんでした。

 

 そこで入院中、少し体調が回復したころから、インストラクターとして活動していた人たち一人ひとりに向けて手紙を書きました。

 

 かくかくしかじかで、申し訳ないけれども、みなさんに公平に利益となるように仕事を割り振り、組織として運営していくのは私には難しいと悟ったこと、病気を機に一度すべてゼロに戻させてほしいと、ありのままの気持ちを綴(つづ)ったところ、みんな理解してくれました。

 

 思い切って打ち明けたことで、私にとって重すぎる荷を下ろすことができたのです。

 

◆意に沿わないことをやめる勇気も必要です

 

 私はスタジオ運営というちょっと特殊なことをしていたわけですが、似たようなことはいろいろなところで起こっているのではないかと思います。

 

 たとえば私の知人は、長年続けてきたお稽古ごとをやめたいけれども、先生に申し訳なくてやめられないといいます。

 

 レッスンの内容が同じことの繰り返しで、進歩している感じがしないというのがやめたい理由。

 

その話を聞いて、時間もお金ももったいないなあと思ってしまいました。

 

 がんを経験して以来、切実に感じているのが「時間の大切さ」です。

 

 私はまだまだ生きる気満々ですが、いつか必ず終わるときがきます。

 

人生に「絶対」などということはないといわれますが、人間はいつか絶対に死ぬ生き物。

 

いつか必ず死を迎えるのです。

 

 限りのある時間だからこそ、すべての時間を有意義に使い切っていきたい。

 

 だからこそ私は、必要のない我慢は、できるだけしないようにしています。

 

 「ごめんなさい。やめさせてください」と言うのは、ちょっと勇気がいることですが、ほんの一瞬のことです。 我慢して自分の気持ちにウソをつくよりも、一瞬の勇気を選ぶことで気がかりが一つ減るのなら、そのほうがいいと思います。

 

 ※本稿は、『71歳、団地住まい 毎朝、起きるのが楽しい「ひとり暮らし」 がんを乗り越えてわかった本当の幸せ』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

 

ソネ ジュンコ

 

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