【以下ニュースソース引用】

和田秀樹氏「人生を幸せに過ごすには“人に優しく、自分に優しく”が重要」 トップ進学校で実感した「助け合うほうがいい結果をもたらす」体験

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マネーポストWEB

利他的で「優しい人」になるためのコツは?(写真:イメージマート)

 

「優しい人は人生がうまくいきやすい」と説くのは精神科医の和田秀樹氏。

 

なぜ人に優しくすると人生にとってプラスになるのか。人に優しくするためには何が大切なのか──。

 

著書『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』が話題の和田氏が解説する。

大切なのは「人に優しく、自分にも優しく」というマインド

 毎日を明るい気持ちで過ごして、少しでも人生を楽しくしたいと思うのならば、「人に優しく、自分にも優しく」というマインドを持つことが大切です。

 

  自分を厳しく律していると、ストレスが溜まって身体を壊します。

 

人に厳しく接していると、周囲から嫌われます。

 

ムリな我慢をせず、人に対しても優しくすることが、いい人生を送るためには重要なことです。

 

  ムリな我慢をしないというのは、見方を変えれば、上手に「ガス抜き」する方法を見つけるということでもあります。

 

  普通に生活をしているだけでも、腹が立つようなことは起こりますが、その度に目の前の人を怒鳴りつけていたのでは、血圧が急上昇するだけでなく、社会生活に影響が出ます。

 

周囲とトラブルを起こさず、自分の工夫で怒りを鎮めることが、上手なガス抜きといえます。

 

  私は自分で運転してクルマで移動することが多いのですが、私が生まれ育った大阪では、黄色信号は注意ではなく、「行け」の合図という認識があります。

 

目の前をビュンビュン飛ばすようなスポーツカーが走っていれば、黄色信号は行くだろうと思い込んでいますが、そんな予想に反して、信号の手前でピタッと停車したりすることがあります。

 

こんな場面に遭遇すると、関西人にはすぐにムカッとする習性があるのです。

 

  私がどうするかといえば、クラクションを鳴らしたり、怒りに任せてあおり運転をするようなことは絶対になく、密室の車内で暴言を吐くだけです。

 

 「何を考えとるんや、どアホ!」

 

  汚い言葉で恐縮ですが、怒りを抑えるのではなく、許される形で勝手に怒って、誰にも迷惑をかけないで、怒りを収めるようにしています。

 

  黄色信号で停車したからといって、相手が運転マナーを無視しているわけではなく、逆に正しく交通ルールを守っています。

 

理不尽なのは、自分勝手に怒っているこちらですから、相手に迷惑をかけないところでストレス発散をしているのです。

 

  最近では、電車の遅延などが発生すると、駅のホームで駅員さんに罵詈雑言を浴びせて詰め寄る人を多く見かけますが、こうした怒り方は、駅員さんにも、周囲の乗客にも大迷惑です。

 

  意味のない怒りは、トイレの個室など、誰もいないところで勝手に処理するのが賢明な判断といえます。

 

人に優しくなるためには「美学」を持つことが大切

 最近では流行らなくなった言葉に「美学」というものがあります。

 

美学とは、「何を美しいと思うか?」とか、「どんなことを素晴らしいと思うか?」というこだわりや価値観を指します。

 

  自分の美学を持てば、それが「判断軸」や「理想像」となって、日常の言動の基準が生まれます。

 

別の見方をすれば、美学を持つとは、「どんなことをカッコ悪いと感じているか?」ということです。

 

  私がつねに意識しているのは、人に威張らず、偉そうな態度を取らないことです。

 

医者や大学教授をしていると、偉そうに人を見下すような態度を取る同業者を見かけますが、そんな人間にだけはなりたくないと思っています。

 

  尊大な態度の人を目撃すると、「コイツは頭が悪いな」とか、「カッコ悪いヤツだな」と思ってしまうのです。

 

  自分には美学がないと思うならば、次のような行動を意識すると、それが美学になり、行動の基準になります。

 

 【1】約束を守る

 

 【2】言い訳をしない

 

 【3】人の悪口は言わない

 

 【4】お礼や感謝は必ず伝える

 

 【5】嫌いな人にも挨拶する

 

 【6】金の貸し借りはしない

 

  自分の美学を持てば、それに沿って行動している限りは、自分の軽率な振る舞いに気づいて、後で気分が落ち込んだり、自己嫌悪に陥ることもなくなります。

 

  こうした気持ちを手に入れると、自然と利他的な考えができるようになり、人にも優しくできるのです。

道徳の「道」はあるが「徳」がない

 日本人が美学を意識しなくなった背景には、道徳とか道徳教育の在り方が右往左往してきたことも大きく関係しているように思います。

 

  道徳には、「道」と「徳」という二つのパートがあります。

 

 「道」とは、「親孝行をしなさい」とか、「弱い者は助けなさい」、「順番を守りなさい」など、人が守らなければならないルールを指します。

 

 「徳」というのは、そうしたルールを守ることができる状態を指し、どちらかというと、「こうありたい」とか、「こうなりたい」といった人間のあるべき姿を示しています。

 

  天変地異が起こっても略奪行為はしないとか、電車やエレベーターに乗るときは整列して待つなど、日本人は世界に類がないほど「道」を守っていると思いますが、「徳」については圧倒的に勉強が足りていないと感じています。

 

  日本ほど、大金持ちが寄付をしない国は他になく、政治家が平気でウソをつく国も珍しいと思います。

 

「この人のようになりたい」と思えるような政治家や経営者がいないことも、徳のなさの現れといえるのではないでしょうか。

 

  これまでの道徳教育というのは、「道」ばかりに重点を置いてきましたが、これからは自分で意識して「徳」を学んでいく姿勢が大事だと思います。

 

自分の在り方を考えることは、美学を持つことにもつながり、優しい人に一歩近づけることになります。

人と助け合うことで、いい結果が出やすくなる

 出世競争をしているビジネスマンや、大学や高校の受験生には、「ライバルに親切にしたり、優しくしたら自分が負ける」と考えている人がたくさんいますが、たとえ競争関係にある相手でも、人には優しくした方が、目標を達成しやすくなります・

 

  日本人には、「敵に塩を送る」(ライバルの弱みにつけ込まず、その苦境から救おうとする行為)を極端に気嫌いする人がいますが、どんな場合であっても、人に優しくした方が、いい結果が出るものです。

 

  私がそれを学んだのは、大学受験を目前に控えた高校3年のときです。

 

私は兵庫・神戸市にある灘高に通っていたのですが、当時の灘高は東大合格者数で全国トップを走っており、世間から、「灘高生は性格が悪い」などと言われていたような時代です。

 

  性格が悪いかどうかはわかりませんが、同級生の多くは同じ東大を目指すライバルですから、お互いが競争心を持っていたことは間違いありません。

 

  高校の1~2年生の頃は、いじめもケンカも多くありましたが、受験まで1年を切った高校3年生になると、不思議なほど、みんなが仲良くなったのです。

 

  普通であれば、お互いの競争が激化する時期ですが、東大合格者数のトップをみんなで守ろうというムードが一気に高まって、全員で協力して受験に臨むような雰囲気ができあがりました。

 

  いい参考書が見つかったら、みんなで教え合うとか、できないヤツがいたら、できるヤツが教えてあげるなど、団体競技のような雰囲気に包まれながら、受験勉強に取り組むことができたのです。

 

  お互いに助け合った方がパフォーマンスが上がり、足の引っ張り合いはパフォーマンスを下げることになります。

 

  ギスギスした受験競争を一人で勝ち抜いてきた人ほど、人に冷たくする傾向があるようですが、助け合った方がうまくいくことを経験として知っている人は、自然と人に優しくなれます。

 

  私にとっては、受験勉強以上に学びになった貴重な経験だと思っています。

「優しい人」として生きる時間が長い方がいい

 最近では、長生きをするとか、健康になるためには「我慢」をするのが当たり前と考えられていますが、私はそうした考え方も、人に優しくなれない原因だと思っています。

 

  自分にムリをして我慢の生活を続けるよりも、気分が良くなるような生き方をした方が、がんにならずに長生きができるかもしれません。

 

結果的に長生きできなかったとしても、いい人とか、優しい人として過ごす時間が長い方が、人間にとっては幸せなことなのではないでしょうか?

 

  私は高齢者専門の精神科医をしていますが、人に優しくしていないと、最後にそのツケが回ってくるのだな……と思える光景を何度も目にしています。

 

  昔は大臣だったとか、社長だったという人でも、見舞い客がたくさん来る人と、まったく来ない人がいます。

 

社会的地位やお金のあるなしが関係ない状態になったとき、その人の人間的な魅力がリアルに問われることになります。

 

  高齢者の枕元で、見舞いに来た人が容態を心配するのではなく、遺産相続の相談をしているのは、何とも侘しいものです。

 

  昔からの言い伝えに、興味深い話があります。人間は生まれた瞬間は、本人が泣いて、周囲の人が笑っているが、幸せな人の最後は、本人が笑って、周囲の人が泣いている……というのです。

 

  幸せな人とは、人に優しくしてきた人なのではないかと思っています。

 

 ※和田秀樹・著『なぜか人生がうまくいく「優しい人」の科学』(クロスメディア・パブリッシング)より、一部抜粋して再構成 

 

【プロフィール】

 

 和田秀樹(わだ・ひでき)/精神科医。

 

1960年大阪府生まれ。東京大学医学部卒。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって、高齢者医療の現場に携わっている。主な著書にベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社)、『感情的にならない本』(新講社)などがある。

 

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