【以下ニュースソース引用】
もう一つの東京 永瀬正敏が撮った東京(255)
![永瀬正敏](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2021/04/048aebdec2ecc8919fc00c0dd50a8d38.jpg)
俳優・写真家
1966年生まれ、宮崎県出身。1983年、映画「ションベン・ライダー」でデビュー。「息子」(91 …
国際的俳優で、写真家としても活躍する永瀬正敏さんが、世界各地でカメラに収めた写真の数々を、エピソードとともに紹介する連載です。
つづる思いに光る感性は、二つの顔を持ったアーティストならでは。今回も東京での一枚。偶然目にした光景とは。
![もう一つの東京 永瀬正敏が撮った東京(255)](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2024/02/a047d8f769b01e189d9cb52b40f8d529.jpg)
前回のパノラマ風写真を撮り終え、ふと視線を横に移すと、
そこにはもう一つの東京の街があった。
偶然目にしたもう一つの東京。
ガラスに反射して映り込むその姿は、
見る角度によってまた違う味わいのある姿を見せていた。
とある高層ビルの屋上から許可を得て撮影した前回の写真。
屋上に出て、目の前に広がる壮大な景色を目の当たりにすると、
そちらの迫力に全て持っていかれて、
違う角度から見ることを全く忘れていた。
「よし、撮れた、帰るぞ」
撮影に満足し、帰りかけた時、
一つの方向、見方に囚(とら)われ、思わず見過ごしそうになっていた自分に、
そのガラス窓は新たなものの見方を示してくれていた。
再び僕はカメラをガラス窓に向け撮影し始めた。
「何事もそうなのかもしれないな……」
自分一人の考え、視線が全てだと思うと、
他の大切なものを見過ごすことになるかもしれない。
それはとても残念でもったいないこと。
なんの変哲もないガラス窓に、
大切なことを改めて教えられた気がした。