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定年後「やることがない不安」で落ち込まないために…心理カウンセラーが教える「感情の切り替え方法」

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現代ビジネス

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 定年後、気持ちが不安定になる「リタイアメントブルー」。

 

原因は人によりさまざまだが、その1つに「何もしないことに罪悪感を感じてしまう」ことがあるという。

 

〈「会社に行かないと、1日はこんなに長いのか」60代男性が定年後、一気に気が滅入ったワケ〉では、長年勤務していた大手企業を半年前に定年退職したばかりの60代男性のAさん(仮名=以下同)が時間を持て余し、ふさぎ込んでしまった様子を紹介した。

 

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 このようなリタイアメントブルーに陥った場合、どのように意識を変えていけばよいのか?

 

 『不安専門カウンセラーが教える晴れないココロが軽くなる本』などの著書もある、心理カウンセラーの柳川由美子さんが、引き続き事例をもとに解説する。

毎日予定を立てることがおすすめ

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 カウンセリングでは気持ちを切り替えるためにエビデンスのある方法を伝えています。

 

Aさんには毎日予定を立てることを勧めました。

 

日々の予定、特に社会的な予定を立てて実践することは、生活にリズムや充実感を与えるだけでなく、自己効力感の向上にもつながります。

 

また、活動的になることでドーパミンやセロトニンなどの幸福に関する神経伝達物質を増やし、うつ症状の改善も期待できます。

 

  Aさんにやってみたいことをたずねたところ、家庭菜園を始めたい、玄関周りの植栽をきれいにしたいなど土いじりに関係するものが多かったので「焦らずに1つずつやっていきましょう」と伝えました。

 

  このようにやりたいことを考える時、晴れの日、雨の日、簡単にできること、時間がかかること…など、たくさんの引き出しを持つのがポイントです。

 

持続しやすく、新鮮さが保たれてモチベーションを維持しやすくなるだけでなく、多様な興味や活動は脳の異なる領域を活性化させ、認知機能の衰えを防ぐ効果も期待できます。

 

  その後、2回目のカウンセリングに来たAさんは明らかに元気になっていました。

 

聞けば家庭菜園を作ることにして、まず広い庭一面に生えていた雑草を抜き始めたそうです。

 

「何も考えずに淡々と抜いていると、雑念が消えるような感覚があって、気持ちが楽になっていくのを感じました」とAさん。

 

作業後は「今日はこんなに庭仕事を頑張った」と自分を労うことも忘れませんでした。

 

  次第に庭全体をきれいにしたくなり、庭の木も工夫してカットしたそうです。

 

すると家の前を通りがかった人から「お庭がきれいになりましたね」「素敵な庭ですね」と言われることが増え、とても励みになったそうです。

 

とりあえず思いつくことをやってみよう

 心理学ではネガティブな感情をなくすための「感情の切り替え方法」として、運動、音楽、フローな状態、書くこと、呼吸法や瞑想が有効だと考えられています。

 

フローな状態とは時間を忘れて何かに没頭することで、それがAさんにとっては庭仕事だったということです。

 

自分自身を労い、さらに近所の人からもほめられたことで、自信を取り戻せたことも大きいでしょう。

 

  Aさんの場合は庭仕事でしたが、何をやるのが正解ということはありません。

 

不安を抱えている人にやってみたいことを聞くと、「やりたいことが見つからない」と答える人が意外に多いのです。

 

そういう人には「とりあえず思いつくことをやっていて、合わなければ違うことをやってみましょう」と伝えています。

 

  1つのことが続かないと「飽きっぽい」と自分を責めてしまう人も少なくないのですが、大切なのは行動を起こすことです。

 

「そもそも定年まで仕事を続けられたのだから、続けられることに執着しないで、気楽な感じで探してみてください」と伝えています。

 

  また、Aさんの回復が早かった理由に「素直さ」があります。

 

カウンセリングで「こういうことをやってみたらどうですか」という提案を否定せずに実行する人は、早く元気になることが多いです。

 

逆に「こんなことをやってよくなるんですか?」とおっしゃる人も少なくありません。

 

そういうクライアントさんには「自分の思考が現実を作ること」を伝えます。 

 

 ポジティブな期待がポジティブな結果を生む「プラセボ効果」は医学研究で知られていますが、日常生活やパフォーマンスでも当てはまります。

 

逆に否定的な思考はノセボ効果(プラシボ効果の逆)に当てはまり、意欲やパフォーマンスの低下を引き起こす可能性があるのです。

定年前から習慣にしておきたい思考のレッスン

 会社に勤めていれば、いつか定年を迎えます。

 

それが分かっていてもAさんのように不安になってしまうのは、やはり実際に経験してみなければ分からないことが多いからでしょう。

 

  人はそれまでの経験が通用しない状況で不安になりやすく、これは普段から色々なことをよく考えていて、将来の不安に意識が行きやすい思考中心の人に多い傾向があります。

 

ネガティブな思考は反芻する特徴があるためです。

 

  リタイアメントブルーへの対策として現役時代からできることがあるとすれば、思考や感情に左右されない、ニュートラルな自分でいられるように、自分を客観的に見られるようにしておくこと、色々な角度から物事を見る訓練をしておくことです。

 

心の健康度(心の柔軟性)をつくるのは多角的視点だといわれているので、例えば「憧れのあの人なら、こういう状況の時にどう考えるか?」と想像してみるのもよいでしょう。

 

  その後、Aさんは夜も眠れるようになりました。

 

親しい友人にカウンセリングを受けたことを告白すると、「お前みたいな前向きなやつでも、そんなふうになるのか」と驚かれたそうです。

 

どんな人にも起こりうることだというのは知っておいてほしいですし、実際にそう伝えると「自分だけが特別ではないんですね」と安心されるクライアントさんは多いです。

 

  それでも不安を感じてしまう場合は、「リスト化」をおすすめします。

 

不安を感じる項目と今できる対処法を書いて、不安を「見える化」するのです。目に見える形にすることで、気持ちがスッキリして「何もかも不安だ」という焦燥感も減らし、やるべきことの優先順位をつけることもできます。

 

  すでに定年後の生活に不安を感じているなら、その不安をリスト化をして、準備できることを考えておくのもおすすめです。

 

柳川 由美子(公認心理師)

 

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