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大人の発達障害「発達障害は遺伝?」「受診するかどうかを迷っている」の悩みを解決!

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現代ビジネス

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 仕事がうまく進まない、対人関係が苦手、自己管理できない……

 

発達障害の人に起こりがちなトラブルについて、解決策を専門医が解説した『大人の発達障害 働き方のコツがわかる本』。

 

 時間管理やミスを防ぐ方法、集中力の持続方法や伝え方など具体的な方法を分かりやすく解説した本書から、大人の発達障害についての疑問を解決!

 

  前編記事<発達障害は「治る」のか――自分、医療、そして職場にできること>

 

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  発達障害は「治る」のか――自分、医療、そして職場にできること

発達障害の原因は遺伝なのか

『大人の発達障害 働き方のコツがわかる本』より

 

 発達障害の原因はまだ解明されていません。

 

脳にあるといわれて研究が進められています。

 

  発達障害の人は、いろいろなことがすべてできないわけではありません。

 

できることとできないことがあるのは、脳の機能にかたよりがあるためと考えられています。

 

  遺伝は発達障害に関わっていそうです。

 

しかし、家族に発達障害の人がいなくても発症する人は多くいます。

 

「なりやすさ」程度の遺伝で、必ず受け継がれるわけではありません。

 

要因のひとつと考えられます。

 

  育て方の問題ではないことは、わかっています。

 

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 関連が想定されている脳の部位 発達障害のある人は、脳の活動の結合パターンが健常者と違うことがわかって きました。

 

自閉スペクトラム症ADHDの特性が、脳の同じ部位に関連していることもみられ、明確に分けることは難しいのですが、脳画像研究では、いくつかの報告があります。

 

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脳の研究は医療に結びつくか?

 発達障害の人の脳の研究が医療に活用できる可能性はありますが、まだ実用段階ではありません。

 

診断法では、光トポグラフィ、視線で調べるアイトラッカー、MRIを人工知能(AI)で解析する方法が研究されていますが、脳の機能は個人差が大きいため、実用には時間がかかります。

 

  治療法では、磁気刺激療法がうつ病には効果が認められていますが、発達障害には不明です。

 

オキシトシン(ホルモン)を薬として用いる研究も、実用化には至っていません。

 

すぐに診断できないこともある

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 発達障害は目に見える障害ではないですし、検査数値に明確に現れることもありません。

 

ですから、診断は難しいと言わざるを得ません。

 

  問診や心理検査などの結果をふまえながら、医療者は、発達障害それぞれの診断基準を満たしているかどうかをみます。

 

  例えば自閉スペクトラム症の場合、特性が2つそろって、はじめて診断されます。

 

コミュニケーションや対人関係の苦手さだけでは診断されません。こだわりの強さや興味のかたよりといった特性もないと、自閉スペクトラム症ではないのです。

 

  また、コミュニケーションの問題のみ存在する場合には、社会的コミュニケーション症という診断になることもあります。

 

  一方、ADHDの場合には、不注意、多動性・衝動性の特性がありますが、そのどちらかがあるだけでも診断されます。

 

  また、発達障害は生来のものなので、現在ある困難が子どものころ、12歳以前からあったかどうか。

 

症状により問題が生じる場所(家庭、職場など)が2ヵ所以上あるか。

 

診断には、こうしたことも考慮します。

症状の「もと」に注目する

 表に現れる症状だけをみて診断するのは、困難です。

 

そのような症状がおこるもと(理由)が違うからです。

 

違いの例を挙げてみましょう。

 

  ■ 場にそぐわない発言をする

 

 ・自閉スペクトラム症─状況を把握する力が欠如している

 

 ・ADHD─状況をわかっていても、衝動的に発言してしまう

 

 ■ 視線を合わせない

 

 ・自閉スペクトラム症─非言語コミュニケーションを理解できない

 

 ・ADHD─注意力散漫で視線が定まらない

 

  ■ 忘れ物が多い

 

 ・自閉スペクトラム症─なにを持っていけばいいのか予測的に考えられない

 

 ・ADHD─不注意による

 

  ■ 動き回る

 

 ・自閉スペクトラム症─状況に応じた行動ができず不安で落ち着かない

 

 ・ADHD─衝動性、多動性のため、じっとしていられない

鑑別が難しい病気がある

 発達障害と症状が似ている精神疾患があります。

 

併存していることもあります。

 

  *双極性障害 気分の上下、気が散りやすい、軽はずみな行動など、ADHDと似ています。

 

  *強迫性障害 手洗いを何度もするような潔癖症が、自閉スペクトラム症のこだわりにみえることがあります。

 

  *境界性パーソナリティ障害 大切な人から見捨てられるのではないかという不安から自傷行為に及びます。

 

  ADHDでは、衝動性に基づく自傷行為がみられることがあります。

 

受診するかどうかを迷うなら

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 自分で「発達障害かもしれない」と思っても、病院に行くほうがいいか迷っている人もいます。

 

  困難をもち、本人が生きづらさをかかえているのなら、なんらかの対策を立てる必要はあるでしょう。

 

本書にあるような工夫や考え方の修正を試してみましょう。

 

  睡眠不足でミスが増えていることもあります。

 

まず、生活リズムや、職場や家庭の環境の見直しから始めるとよいでしょう。

 

職場の環境を変えるには、上司に相談してみましょう。

 

発達障害の診断がなくても、「〇〇が苦手なので」といった相談をするのは、おかしいことではありません。

専門病院でなくてもいい

 受診するのは発達障害の専門病院でなくてもかまいません。

 

精神科クリニックなどの医療機関でも発達障害をみるところが増えています。

 

  発達障害でなくても、うつ病や不安障害などを発症していることがあります。

 

烏山病院の場合には、受診者のうち、発達障害と診断するのは、およそ4割と報告されています。

 

およそ6割の人は、別の精神疾患か、診断名がつかないのです。

 

  心の症状のなかには、薬物療法で改善するものもあります。

 

自分でできることをしても改善しない、困難ばかりでつらいなどの場合は、一度は受診を検討してみましょう。

 

太田 晴久(昭和大学附属烏山病院発達障害医療研究所所長)

 

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