【以下ニュースソース引用】

そもそも厳しすぎないか? メタボ健診で「太りすぎ」と言われるのは「3割以上」という驚きの結果が

配信

 

現代ビジネス

写真提供: 現代ビジネス

 

 毎年4月になると学校や会社で行われる健康診断。

 

しばらくして戻ってきた健診結果を見ると、血圧や血糖値の欄に基準外(異常)を示す「*」マークが付いていてガッカリという中高年も多いだろう。

 

だが、それらの項目の中には健診を受けた人の実に3分の2に「*」が付くようなものがあるのを知っているだろうか。

 

逆に「ALT」や「AST」のように耳慣れないけれど、健診結果に注目したほうがいい項目もある。

 

  【図表】健診結果の読み方 気にしたほうがいい数値、気にしなくていい項目 

 

 長浜バイオ大学・永田宏教授の新刊『健診結果の読み方 気にしたほうがいい数値、気にしなくていい項目』(講談社+α新書)から、あまり知られていない健診の真実をお届けする。

 

  前編記事『いまどきの小学生は誰も知らない 実は意味なかった健康診断の「座高」測定』より続く。

メタボが気になる「BMI」検査、その内実

写真:現代ビジネス

 

 太っているか、痩せているかは、身長と体重のバランスで決まります。

 

しかし主観的に決めるわけにはいかないので、指標となる数字が作られました。

 

それがBMI(Body Mass Index:体格指数)です。

 

  体重(キログラム)を、身長(m)の2乗で割った値として定義されています。

 

  BMI= 体重(キログラム)÷(身長(m)の2乗)  単位は「キログラム /平方メートル」ですが、それ自体に意味はありません。

 

肝心なのは数字だけです。

 

この式は、19世紀のベルギーの科学者が提唱したものですが、なぜ身長の2乗で割ったのか、理由はよく分かっていません。

 

  しかし単純だし、身長によらず太り具合をうまく表しているし、比較しやすいからという理由で、いまでは肥満度を表す指標として、世界中で使われています。

 

  日本肥満学会の肥満度分類は表3のようになっています。

 

  職場健診の基準も同様です。ただし厚生労働省は、40 歳以上のBMIについて、22.0を理想的な数値としています。

 

また25.0以上が「メタボ」と呼ばれるようになりました。

50代男性の約4割が「メタボ」と診断されていた

写真:現代ビジネス

 

 下の表4に、令和2年度(2020年度)の、東京都におけるBMIの平均値と分布を載せました。

 

  平均で見ると、男女とも全年代で普通体重の範囲に入っています。

 

とくに女性の平均値は22前後と、厚生労働省の目指す数値をほぼクリアしています。

 

  男性の平均値は、60代までは24を超えており、50代前半で、中年太りの影響でしょうか、最大になります。

 

そして70代に入ると24 を下回ってきます。

 

  しかし分布を見ると、必ずしも厚生労働省の思惑通りに なっていないことが分かります。

 

 表4のなかで「20.0以上25.0未満」と「18.5以上20.0未 満」のひとが普通体重で、それ以上なら「メタボ」というレッテルが貼られるわけです。

 

ところが男性では全年齢で3割以上、とくに50代では4割近くがメタボに属しているのです。

 

人口の3割以上がメタボになるBMIの基準値

Photo by gettyimages

 

 「肥満(1度)」(25.0以上30.0未満)だけ見ても、40代こそ若干少ないものの、50代以上では3割に達しています。

 

ちなみにこの層は「チョイメタボ」とも呼ばれています。

 

さすがに「肥満(2度)」以上は太りすぎという印象がありますが、チョイメタボなら、まあ普通と思っていいでしょう。

 

人口の3割以上をメタボとしてしまう基準値のほうが、むしろ変なのかもしれません。

 

  そもそも国民全員を、スーパーで売られている野菜よろしく、太さを揃えようとすること自体、無理な相談です。

 

  女性では、チョイメタボ以上の割合はかなり低くなっており、その点ではうまくいっているように見えます。

 

しかし18.5未満の「低体重」が10パーセント以上を占めています。

 

低体重のひとは、つねに栄養不足気味です。若いうちはまだいいのですが、高齢になると筋肉や骨が質量ともに衰えてしまいます。

 

  また女性では、60代後半からBMIが上がる傾向が見られますが、加齢に伴う 身長低下が影響していると考えられます。

 

BMIの定義式から明らかなように、体重が同じなら身長が低いほどBMIは上がります。

65歳以上が気にすべきBMIと死亡率の関係

写真:現代ビジネス

 

 そうした理由から、厚生労働省は65歳以上の高齢者のBMIの下限を21.5以上と、若い人より高めに設定し直しました。

 

これより低いと、栄養不足等により、フレイル (加齢により心身が老い衰えた状態)などのリスクが上がってきます。

 

  さらに中高年は、チョイメタボのほうが長寿であるという研究結果が、世界中で報告されています。

 

日本では、国立がん研究センターの「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」が有名です。 

 

 男性では、BMIが25.0~26.9の死亡リスクが最も低く、BMIが下がると急速に死亡リスクが上昇するというのです。

 

女性では23.0~24.9で死亡リスクが最低になりますが、やはりBMIが低いと死亡リスクが上昇してきます。

 

  ですから健診結果のBMIに「*」が付いていたとしても、「肥満(1度)」の範囲で他に問題がなければ、あまり心配する必要はないでしょう。

 

むしろ痩せている(低体重)ひとは、少し体重を増やしたほうが、丈夫で長生きできるのではないでしょうか。

 

永田 宏(長浜バイオ大学メディカルバイオサイエンス学科教授・学科長)

 

記事に関する報告

 

X(旧Twitter)でシェア

【関連記事】

こんな記事も読まれています

  • いまどきの小学生は誰も知らない 実は意味なかった健康診断の「座高」測定

    現代ビジネス

  • 【女児12人を盗撮した元四谷大塚の講師】下着が見えるよう体育座りさせ…呆れた手口と驚きの法廷証言

    FRIDAY

  • 実は「γ-GTP」はアテにならない…!肝臓を守るために、健康診断でチェックするべき《数値》「え!?酒の飲みすぎが原因じゃないの?」驚愕の最新知識

    現代ビジネス

  • 身体の寿命より先に「腎臓」が死ぬ人が続出中!…現代人が「ただ生活しているだけ」で「必要量の3倍」を摂取している「ヤバすぎる危険物質」

    現代ビジネス

  • じつは「玄米」が危ない…腎臓を早死にさせる「ヤバすぎる物質」がたっぷりの食品一覧

    現代ビジネス

  • 京丹後の研究で見えた「健康で長生きする」ためにやるべきこと…腸内研究の第一人者に聞いた

    日刊ゲンダイDIGITAL

  • ウコンやシジミのサプリはむしろ大ダメージ&肝臓エキスは無意味…「肝臓」を守るために「やってはいけない5つのこと」

    現代ビジネス

  • ダイエットにはキムチが効果的? 韓国の研究チームが学術誌で報告

    日刊ゲンダイDIGITAL