【以下ニュースソース引用】
新潟のパンシーンに新風を吹き込む絶景ベーカリーカフェ/COBO BAKERY SHOP
「パンラボ」主宰
ライター、パンの研究所「パンラボ」主宰。日本中のパンを食べまくり、パンについて書きまくるブレッド …
古巣で学んだ基本を元に生まれる大胆なパン、新企画
イートイン席の窓から見えるのは日本海。
潮騒が聞こえてきそうなほど間近に。
昨年11月30日、新潟市にオープンした「COBO BAKERY SHOP」。
絶景のベーカリーカフェが新潟のパンシーンに新風を吹き込んでいる。
ペンダントライトに照らされた古材のテーブルに並んだパンの中から思わず手に取った「ぬれパン ガナッシュ」。
チョコレート版薄皮まんじゅう。
表面はつるりとして、くしゃりとあっけなく沈む、ココア味のぬれパン生地。
その中に、エクアドルとミルクチョコ2種の計チョコレート3種を使ったガナッシュがぱんぱんに包まれている。
どろり。
チョコが泉のように噴き出し、こぼれ落ちないか焦る。
そこへキルシュ漬けダークチェリーの酸味がきゅいーんときて悦楽は頂点へ。
ガナッシュのあふれがこんなにも効果を生んでいるのは、しっとりとしたぬれパン生地ゆえ。
あまりにやわらかく成形困難な高加水生地は一風変わった方法で扱うと田原宏紀シェフは語る。
「(1個分に)切った生地を、(くっつかないよう)手を水で濡(ぬ)らしてすくい取ります。
そのため“濡らしたパン”と呼ばれるようになったのがドイツ語の語源です」
ぬれパン=ナスブロートといえば、大行列で知られる「Zopf(ツオップ)」(千葉・松戸)伊原靖友シェフのスペシャリテ。
田原シェフは、古巣Zopfで学んだ基本を元に、大胆な組み合わせのパンを作りだす。
パンの世界大会「モンディアル・デュ・パン」予選のコミ(アシスタント)部門で2位と、日本代表に肉薄した実力。
リゾートにきたかのような海辺のベーカリーカフェをシェフとして担う。
既存のパン屋にない新企画を打ち出す。
そのひとつがパンの量り売り。でっかく焼いたパンを並べ、客は希望の量だけ買うことができる。
「でっかく焼くと水分が飛びにくく、長持ちしやすい場合が多いです。
ゲズンドブロート(穀物を練り込んだパン)は、もっちりするし、穀物も味わいよくなります」
ゲズンドブロート以外にも、玉ねぎを練り込んだツヴィーベルブロートや、これもZopfの看板商品「ヨーグルトライ」など、約5種類を量り売りする。
その中のひとつカレンツブロート。
小麦とライ麦の生地に、ワイン漬けカレンツが粉と同量とたっぷり気前よく。みしっとした食感。
あたたかなライ麦の香りを、カレンツの甘酸っぱさが突き抜ける。
そこへケシの実の香ばしさ。
しっとりして、ほどけがよいのは、大きく焼いて水分がパンの内側に籠もっているからだろう。
Zopfの新しき“伝統”に、パンの流行もプラスする。
Zopf卒業後、田原さんが研修した東京・世田谷「33 San jū san」。
高加水の生地に奇想天外な食材を組み合わせた“映える”パンで、飛ぶ鳥を落とす勢い。
シェフの網代ミレイさんは新潟を訪れ、ここCOBO BAKERY SHOPでコラボ販売イベントも行った。
そのとき、レシピを置いていった商品をいまも販売しているのが「玉ねぎ きのこ チーズ&アンチョビバター」。
オニオンブレッドならではのよだれが出る旨味。
だけでなく、マッシュルームの旨味、さらにアンチョビの旨味と三つが重なり激流となる。
サンドされたバタークリームがさわやかにリセット。
表面はぼりぼり、噛み締めるとぎゅっとする食感も快楽的だ。
形の創造にもセンスを見せる。
三日月のようにカーブを描くクロワッサン。
両端を、尖らせるのではなく、四角く広げている。
最大のお楽しみ部分といえる端っこぼりぼりエリアが大きく拡大しているではないか。
ぼりっぼりを思う存分。のみならず、香ばしさの中からじゅるっとするほどフレッシュにバターが染み出してくる。
ぼりぼりだけでなく、中心では繊細に薄皮がぱりぱりと軽やかに。
いくつものよろこびを内包したクロワッサンなのだ。
海面に反射した光が差し込んでいるからだけではない。
売り場に明るい雰囲気が満ちているのは、オーナーの山崎繁人さんを先頭にスタッフさんが元気だからだろう。
いつ来ても新商品があるのも、活気を出すのに一役買う。
「毎日1種類は新商品を出しています。
常連さんと話をするときに『今日はこれが新しく出ました』と言えたらいいなと思って」
パンの光が雪国を明るく照らすようだ。
今度は夏にこの海辺を訪れてみたいと思った。
新潟市中央区西船見町浜浦5932-300
025-378-2056
7:00~17:00
月曜定休
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「このパンがすごい!」紹介店舗マップ(店舗情報は記事公開時のものです)