【以下ニュースソース引用】
桜にシャクナゲ、ツバキ 三千院、春の花の共演と里山の自然
編集者・ライター
東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWE …
写真家
大学卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至 …
少しずつ日が長くなり、木々の枝に小さな芽やつぼみを見つけることが多くなりました。
待ち遠しい桜の便りは、早咲きの桜からソメイヨシノ、枝垂れ桜とバトンをつなぎ、街なかから山間部へとリレーしていきます。
ここ数年、とりわけ私が心を動かされるのは里山の桜。
今回は、昨春訪ねた、京都市内から車で30分ほどで着く大原「三千院」(左京区)の桜をご紹介します。
市街地より一足遅く、見頃は4月上旬。
暖かくなったころのお出かけの予定に、ぜひ加えてみてください。
■京都から毎月、季節の便りを出すように。連載「京都ゆるり休日さんぽ」では、いま訪ねたい今昔の人気店、季節の味覚や風景を、さんぽのみやげ話とともにお届けします。
限られた時期だけ 桜とシャクナゲの共演
大原を代表する名刹(めいさつ)「三千院」は、延暦年間(782〜806年)、最澄により創建された天台宗の門跡(もんぜき)寺院です。
「門跡」とは皇族や公家などが住職を務める格式高い寺院のこと。
山の中腹に位置する広々とした境内は、桜はもちろん、コケやアジサイ、紅葉と四季折々の風景を描きます。
訪れた人をまず迎えるのが、御殿門(ごてんもん)前の桜。
土産物屋などが立ち並ぶ参道は「桜の馬場」と呼ばれ、桜のトンネルのようにソメイヨシノが咲き誇ったのち、やや遅れて御殿門の枝垂れ桜が開花します。
品種により開花時期が異なりすべてを同時に見ることは難しいですが、境内にさまざまな草花があるということは、いつ訪れても何かが花咲く景色が見られるということ。
取材時はまさに、桜から次の花へとバトンが渡されようとしていた時期でした。
客殿の窓が額縁となって切り取られるのは、薄紅色の枝垂れ桜とのコントラストが鮮やかな、シャクナゲです。
例年、桜のピークをやや過ぎたころに咲き始めるため、桜とシャクナゲの両方が見られる時期は短いのだそう。
けれど、桜の満開時期とシャクナゲの開花が重なるつかの間の光景は、かえがたい美しさだと言います。
二つの庭園「聚碧園(しゅうへきえん)」「有清園(ゆうせいえん)」でも、コケの中にたたずむ「わらべ地蔵」のそばでも、うららかな春の陽気に目を覚ますように、シャクナゲのつぼみが次々と開花します。
地からたわわに咲くシャクナゲと、天から枝を垂れる桜。
ピンクの濃淡が描く春の景色に出会えたら、幸運です。
山の自然とつながる境内の春景色
三千院の最も重要な法要「御懺法講(おせんぼうこう)」を執り行うため建立された宸殿(しんでん)前の「有清園」は、広々とした敷地に杉やヒノキの木立がそよぎ、地面をしっとりと青コケが覆うすがすがしい庭園。
山の傾斜を利用して渓谷式に水を流し、池泉に注ぐよう設計された庭園は、せせらぎの音や鳥の声、木立の光が心地よく五感を満たしてくれます。
有清園から石段を登って金色不動堂や観音堂のある奥の院に進むと、三千院の桜の園が現れます。
あるところでは枝垂れ桜が屋根にかかり、あるところでは凜と咲くツバキが隣り合う。
どこからかうぐいすの声が聞こえる。
山の自然とつながる小さな桜の園に、心が和むはずです。
大原で、バスや車から降り立つと広がる、のどかな里山の風景。
あちこちで黄色い菜の花が揺れ、毎週日曜日に開催される「大原ふれあい朝市」では、山菜が並びます。
山はところどころ若芽や山桜の色で笑っています。
桜のリレーが野山に届いたら、いよいよ本格的な春の到来。
三千院の桜を訪ねながら、京都の里山の春を存分に感じてみてください。
【取材協力】 三千院 http://www.sanzenin.or.jp
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