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「境界性パーソナリティ障害」の“特徴的な症状9つ”を精神科医が解説

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「境界性パーソナリティ障害」の“特徴的な症状9つ”を精神科医が解説

 

「境界性パーソナリティ障害」という疾患をご存知でしょうか。

 

境界性パーソナリティ障害の方は、自分自身のことや気持ち、考え方が頻繁に変化し、人との関わり方にもとても敏感で、人付き合いが不安定になることがあります。

 

人との関わり方で困ることが多いですが、時に自分を傷つけたり、悲しくなったりするような症状が見られることもあるようです。

 

今回は、人との関わり方に敏感な境界性パーソナリティ障害について、筑波大学精神神経科の松崎朝樹先生に詳しく伺いました。 

 

[この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]

境界性パーソナリティ障害とは?

編集部: 境界性パーソナリティ障害の原因にはどのようなものがありますか?

 

 松崎先生: 境界性パーソナリティ障害は「境界性人格障害」という名称で呼ばれることもあります。

 

最新の診断基準DSM-5-TRでは「ボーダーラインパーソナリティ症」と呼ばれることになり、これからはその名称を耳にすることも増えてくると予想されます。

 

発症する原因は、幼少期の家庭環境や生活習慣、先天的な問題など様々です。

 

幼い頃から不安を抱えやすい傾向があり、精神的に脆く、集団生活になじめないなどの結果、いつの間にか発症している場合もあります。

 

遺伝的な要因の可能性も報告されており、明確な原因は定まっていません。

 

 編集部: 境界性パーソナリティ障害はどのような方法で診断されるのですか?

 

 松崎先生: 診断には、DSM-5という、米国精神医学会が発行している方法を用いて、具体的な症状の経過に基づき診断をします。

 

症状を正確に把握する必要があるため、診断には医師による問診が必要です。

 

また、心理検査が補助的に用いられることもあります。 

 

編集部: MRI検査やレントゲンなど、その他の検査は必要ではないのでしょうか?

 

 松崎先生: 頭部MRIやCT、レントゲン、脳波、血液検査、尿検査、心電図、いずれも診断には用いません。

 

症状の背景に何か隠れた病気が無いかの確認や、薬剤を使ったときに副作用が出ないかの確認のために検査をすることはあります。

境界性パーソナリティ障害の対人関係について知る

編集部: 境界性パーソナリティ障害ではどのような症状が見られますか?

 

 松崎先生: 主な症状の一つに「感情の不安定性」があります。

 

不安定性とは、時間・日にち単位で気分が変わる傾向にあることです。

 

楽しいと思っていたら急にイライラして怒り出したり、落ち込んだり不安になったりする場合があります。

 

その多くは対人関係でのストレスで現れます。

 

また、対人関係においてはある人と仲良くなったと思っていたら、別のあるときにはけなしたり罵倒したりするような場合があります。

 

その間を揺れ動く「不安定な対人関係」が特徴の一つです。

 

 編集部: その他、対人関係で見られる症状は何かありますか?

 

 松崎先生: 「見捨てられ不安」「見捨てられ抑うつ」というものがあります。

 

これは、なりふり構わず相手に見捨てられないようにしてしまう症状です。

 

贈り物を送る、望まない性交渉に応じる、頻繁にメールを送るなどの行動をする場合もあります。

 

その他、相手の気を引くために、自傷や自殺をほのめかすということもあるかもしれません。

 

 編集部: 自傷や自殺は実際におこなわれるのでしょうか?

 

 松崎先生: 「自殺関連・自傷行動」は、行動する振りをしたり脅しで終わったりすることもありますが、実際にリストカットを繰り返す人もおり、中には、自殺未遂に及ぶ人もいます。

 

このうち、8~10%は実際に自殺に至るので周囲の人は注意が必要です。

 

距離をおかれる、拒絶される、責任の増大など、心理社会的なストレスが生じ、それが予期された時に自殺関連行為に至りやすいとはされていますが、様々なタイミングで現れます。

 

中には記憶が無い状態でおこなわれるような場合もあります。

境界性パーソナリティ障害の心の問題と関わり方

編集部: 考え方や心の問題では、どのような症状が現れますか?

 

 松崎先生: 「同一性の障害」というものがあります。

 

これは、なりたい職業が頻繁に変わったり、目標や価値基準が絶えず変動して一貫性がなかったりするような症状で、境界性パーソナリティ障害の特徴の一つでもあります。

 

さらに、「慢性的な空虚感」と言って、虚しさを感じる状態が継続するような症状があります。

 

この症状は比較的目立たないものの、本人は長い間苦しんでおり、うつ病を疑って受診する場合もあります。

 

 編集部: その他、自分自身の感情や気分で見られる症状はありますか? 

 

松崎先生: 「怒りの制御困難」という症状が見られる場合があります。

 

一般的には怒ることではない些細なことでも、自分の感情を抑えきれずに怒ってしまうような症状です。

 

この症状に、本人自身が苦しんでいることもしばしばあります。

 

また、「自分を傷つけうる衝動」が見られることもあります。

 

薬物依存やギャンブル依存、過食など、自分に害があると分かっているにも関わらず、自分を大切にしないような行動を衝動的にしてしまう人もいます。

 

 編集部: 境界性パーソナリティ障害の人との接し方について教えてください。

 

 松崎先生: 境界性パーソナリティ障害の人は対人関係でストレスを感じやすいため、関わる人は上から目線で物事を言わない、正確な情報を伝えることが重要です。

 

また、何かトラブルが発生した際には、叱ったり拒絶したりせずに、まずは受け入れることが重要です。

 

叱って反省させるだけでは解決しづらい場合が多いため、拒絶するのではなく、問題を解決する方法を本人と一緒に考えることが大切です。

 

一方で、起こった問題については本人も責任を取る必要があります。

 

精神障害による問題だからといって責任を免れるのではなく、責任能力を考慮して適切に対処することが必要です。

編集部まとめ

境界性パーソナリティ障害では、感情や考え方が頻繁に変化し対人関係で様々な問題が生じる特徴があると教えていただきました。

 

中には自傷行為やうつ病に似た症状が現れる人もおり、本人自身も悩んでいる場合があるとのことでした。

 

境界性パーソナリティ障害の人と関わる際には、拒絶せず受け止めるような関わり方が重要になるとのことです。

 

本稿が、読者の皆様に境界性パーソナリティ障害の「症状にまつわる知識や理解」を深めるきっかけとなりましたら幸いです。

【この記事の監修医師】

松崎 朝樹 医師(筑波大学精神神経科)

 

松崎 朝樹 医師(筑波大学精神神経科) 1998年筑波大学卒業。埼玉県立精神医療センター、筑波大学附属病院、国立精神・神経医療研究センターなどの勤務を経て、2014年より筑波大学精神神経科講師。医学生への講義ではベストティーチャー賞を多数受賞。著書:『精神科診療プラチナマニュアル』(MEDSi)、『教養としての精神医学』(KADOKAWA)ほか多数。

 

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