【以下ニュースソース引用】

「医者と数値の言いなりにはならなくていい」…精神科医・和田秀樹氏が91歳の樋口恵子氏に語った「生き方上手」のコツ

配信

 

現代ビジネス

photo by gettyimages

 

 「70代、80代、90代で、人はどうやって老いていくのか?

 

 92歳・樋口恵子氏が和田秀樹氏と語り合った「老いのリアル」』から続く。 

 

【写真】グルコサミン、ウコン、マカ、黒酢…「飲んでも効かない」サプリ一覧

「正常値至上主義」の罪

Photo by gettyimages

 

 和田 シニアの方々は老いのプロではない医者の話を聴くよりも、樋口さんのように老いと上手につき合う人の体験を参考にするとよいでしょう。

 

  樋口 年をとると医者にかかる機会が増えていきますが、医者とうまくつき合えるかどうかで生活の充実度が違ってくるように思います。

 

  和田 そうですね。

 

日本の医療は「正常値至上主義」で、高齢者のことをよく理解していません。

 

樋口さんは健康診断の結果をどうお考えですか?

 

   樋口 (大好きな豆大福を頬張りながら)一喜一憂はしません。

 

正常値に近づけば近づくほどしばらくは無事に生きられるかなとホッとしますが……ただ、数値がそれほど良くなくても「まあ、いっか」と受け流しますね。

 

  和田 したたかな患者ですね(笑)。

 

  樋口 私はいい患者ですよ。

 

医者から「塩分は控えめに」などと言われたら、「はい、承りました」と言って、抵抗は一切しません。言うことを聞くかどうかは別として。

 

  和田 80歳を過ぎたら、具合も悪くないのに受ける健診は必要ないと思っています。

 

そこまで元気に生きてきた人は、それ自体が健康であることのエビデンス(科学的証拠)でしょう。

 

数値が異常だからと薬を服用したら、悪い結果を招きかねません。

 

実際、高血圧と診断された高齢者が降圧剤を使ったら、活力が低下してふらふらしたりする。

 

  樋口 90年以上も自分の身体とつき合ってきたわけですから、私も数値よりは調子が良いか悪いかという感覚を一番重視しています。

 

  和田 37年間で6000人の高齢者を診てきた経験から言えば、医者と数値の言いなりにはならなくていい。

 

医者は病気の治療はできるけれど、高齢者が元気になる方法は教えてくれませんから。

 

  樋口 そうでしょうね。

したたかさをチラ見せしたい

Photo by gettyimages

 

 和田 日本人は禁欲的に生活すると長生きできると思っていますが、実はそのために免疫力を下げてしまっています。

 

医者は「あれは食べるな」などと「引き算」の医療を続けているので、患者はタンパク質やコレステロールなどの栄養が不足して、活力や気力が低下する。

 

  高齢になったら食べたいものを好きなだけ食べてもいいんです。

 

病気のリスクを引き算するのではなく、栄養や運動といった元気になるものを足し算する、発想の切り替えが必要です。

 

  樋口 では、高齢者にとっての「いい医者」の定義はなんでしょう?

 

   和田 検査データだけを見るのではなく、患者の希望をよく聞いて対応してくれる医者です。

 

そしてフットワークが軽くてコミュニケーションがとりやすいことも大事。薬が合わなかったら別の薬にすぐ変えてくれるなどですね。

 

  樋口 なるほど。では良い医療を提供してもらうにはどうしたらよい?

 

   和田 医者はきちんと調べてきた患者は無下にはできないんです。

 

質問やメモをしたり録音したりと、「医者に怖がられる患者」になってもらいたいと思います。

 

  樋口 いい意味でのしたたかさをチラ見せしたいところですね。

 

  和田 樋口さんは認知症は怖くないですか?

 

   樋口 もう認知症になっているみたいなものだから怖くないわよ(笑)。

 

  和田 認知症になったら人生おしまいと恐れる人も多いですが、「病」と考えるよりは老化の一つと考えたほうがいい。

 

足を引っ張らず、手を引っ張り合おう

Photo by gettyimages

 

 樋口 私はいよいよ認知症にかかったら公表しようと考えています。

 

「友人や近所の人に隠さず、できるだけ公的援助を受けてほしい」と娘にも言ってありますよ。

 

  和田 認知症を公表することで協力者が増え、暮らしやすくなるので、とても良いと思います。

 

  樋口 本格的にケアされる身になっても、「ありがとう」と感謝を忘れない「ケアされ上手」になりたいですね。

 

  和田 幸せを感じながら充実した日々を送る高齢者を私は「幸齢者」と呼んでいますが、「ケアされ上手」も幸齢者になるひとつのコツでしょう。

 

  樋口 幸せな生活を送るという意味では断捨離には反対です。

 

生きてきた証を捨てられすぎると、人生を否定された気になり、悲しくなりますから。

 

  和田 高齢者には「節約より、浪費すべし」とすすめています。

 

財産は自分で使い切るくらいの気持ちでいたほうが、若々しくいられる。

 

  樋口 私が言ってきたことは、「少年少女よ、大志を抱け。中高年男子よ、妻子を抱け。老年よ、財布を抱け」。

 

ちょっとした買い物をするのにも子供にお伺いを立てるなんて、耐えられません。

 

  和田 「老い方上手」は「生き方上手」。

 

幸せそうな高齢者はわがままと言われても、自分らしく自由に生きています。

 

人とのつながりを大切にし、社会のことも考えている。

 

  樋口 この年まで生きているのは奇跡。

 

長生きの「当たりクジ」を引いた以上、人付き合いや仕事からは引退しません。

 

他人を攻撃したがる高齢者もいますが、お互いに足を引っ張らず、手を引っ張り助け合って幸せな人生を送りたいですね。 

 

 「週刊現代」2024年2月17日号より

 

週刊現代(講談社)

 

記事に関する報告

 

X(旧Twitter)でシェア

【関連記事】

こんな記事も読まれています

  • 和田秀樹 仕事から退けば同僚も部下も消え、妻が亡くなれば…「ひとりが当たり前」と誰もが気づいた現代における<幸福>とは?

    婦人公論.jp

  • 和田秀樹 親の責任をまっとうした後は子どもに依存してはいけない。「首を突っ込んでも解決につながることはまずない」が真理

    婦人公論.jp

  • テレビに映る「スーパー高齢者」は不自然…現役医師が語る「本当に老いを克服した人」の生き方

    プレジデントオンライン

  • 【医者が教える】ヤバい脂肪ワースト2は「植物油」、ではワースト1は?

    ダイヤモンド・オンライン

  • 和田秀樹 人生100年時代において「ストレス」はムダでしかない!「このまま人生を終えていいのか」という疑問に対する私の答えとは

    婦人公論.jp

  • 「うつ」になる確率も低下する…メンタルの不調から私たちを守ってくれる「3つの要素」

    現代ビジネス

  • 70代、80代、90代で、人はどうやって老いていくのか? 91歳・樋口恵子氏が和田秀樹氏と語り合った「老いのリアル」

    現代ビジネス

  • Mr.マリック(75)、69歳が寿命と宣告されて食事改善「お茶漬けが健康のバロメーター」【“Over70” リーダーの「一日3食」】

    SmartFLASH