【以下ニュースソース引用】

「いつもの店」ばかりで食事する人は記憶力が上がらない…その「驚きの理由」

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写真提供: 現代ビジネス

 

 人間は人生に起こったほとんどのことを忘れてしまう生き物で、特に「マンネリ」に陥ると忘れやすくなってしまいます。

 

脳の仕組みを研究した精神科医の樺沢紫苑さんが、「記憶」と「学び」について20年以上の試行錯誤をわかりやすくノウハウとしてまとめた『記憶脳』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けします。

 

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記憶はマンネリを嫌う

 あなたは昼休みに外食する場合、「いつもの店で、いつもの定食を食べる」のと「新しい店ができていたら、とりあえず入ってみる」のどちらのパターンでしょうか?

 

   新しい店を見つけたら入ってみるチャレンジ精神を持った人のほうが、記憶力がいいといえます。

 

  私は自分の行動範囲内に新しい店を見つけたら、すぐに行かないと気がすまないタイプです。

 

家の近くに新店ができたという情報を得たなら、だいたい1週間以内には行きます。

 

「なぜ?」と言われても困りますが、好奇心が私を動かすのでしょう。

 

  実は「好奇心」は記憶力増強、「マンネリ」は記憶力低下につながります。

 

記憶力と密接に結びついている感情が「好奇心」なのです。

 

  ではなぜ、「好奇心」は記憶力増強効果をもたらすのでしょうか?

 

   例えば、ランチを食べるときに、今まで行ったことのない店に入る。

 

あるいは、いつもの店でも一度も食べたことのないメニューに挑戦する。

 

そんなときには、海馬からシータ波という波が出ています。

 

海馬からシータ波が出ると、記憶力が亢進こうしんします。

 

記憶について、海馬がベストのパフォーマンスを発揮してくれる、そんな周波数がシータ波です。

 

  普段から好奇心、探求心のある生活をしていると、海馬からシータ波が出やすくなり、記憶力が高まるというわけです。

 

  生物が自分の縄張りから出てはじめての場所に行ってしまった場合、あるいは、はじめて見る外敵と遭遇した場合、今後同様の危険を避けるために、その新しい場所や状況を明瞭に記憶しておかなくてはいけません。

 

人間に限らず、生物は全て「新しい場面は普段以上に明瞭に記憶する」ことをしないと、敵に殺されてしまいます。

 

  つまり進化上の特性として、私たちの脳は、「新しい場面」は、より記憶しやすいという特性を持っているのです。

 

  普段から新しいことにチャレンジしていく。自分の好奇心を信じて、好奇心のままに活動してみる。

 

それが、記憶力を高める重要な生活習慣といえるのです。

場所を移動するだけで、海馬は活性化する

photo by gettyimages

 

 午前中はずっと執筆。14時頃にランチに出て、そのまま2時間ほど執筆。

 

さらに、別のカフェに移動して数時間執筆……。これが私の執筆スタイルです。

 

  普通なら3時間も集中すれば疲れて書けなくなってしまう「執筆」仕事も、場所を変えながら仕事をすることで、集中力をリセットして、結果として何時間も続けて執筆することが可能になります。 

 

 あるいはカフェに行くと、学生が教科書や問題集を開いて勉強している姿を必ず見かけますが、実はカフェで勉強するだけで、記憶力を高めることができるのです。

 

  カフェに行くと仕事がはかどる。

 

カフェに行くと記憶力が高まる。

 

それは、場所の移動が、海馬を活性化するからです。 

 

 海馬とは、脳の中で、「記憶」「学習」「情報処理」と深く関わりのある部分です。

 

海馬には、「場所細胞」というものがあって、場所を移動するだけで、この「場所細胞」が刺激され、シータ波を発生させるのです。

 

シータ波は、先ほどご説明した通り、記憶力が亢進する周波数です。 

 

 つまり、場所を移動するだけで、海馬を活性化し、記憶力をアップさせ、学習効率、仕事効率を高めることができるということです。

 

  この素晴らしい発見は非常に画期的で、「場所細胞」を発見したジョン・オキーフ博士とその共同研究者は、2014年度のノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

缶コーヒーを買いに行くだけで記憶力は高まる!?

photo by gettyimages

 

 私のように、カフェなどをはしごして「仕事する場所を変える」というのが「場所細胞」の刺激には一番いいのですが、会社で机に向かって仕事をしているビジネスパーソンはなかなかそうはいきません。

 

  そんなときは、自分の机を離れて、休憩室の自動販売機まで行って缶コーヒーを買って帰ってくるだけでも「場所細胞」が刺激されます。

 

  空いている会議室に移動してデスクワークをする。

 

移動するときにエレベーターではなく階段を使ってみる。部屋の中をぐるぐる歩き回るということでも効果があります。

 

トイレに行く、というのでもいいでしょう。

 

  こんな、ちょっとした場所の移動だけでも、海馬を活性化することができます。

 

  ただし、「場所細胞」は、場所を変えるだけでも刺激されますが、入力される情報量が多ければ多いほどより刺激が強まります。

 

したがって、「屋内」よりは「屋外」を歩いたほうがいいとされています。さらに、行ったことのない場所、はじめての場所に行くとより効果的でしょう。

 

  先に述べた、新しくオープンしたレストランでランチをするというのは、「好奇心」という視点に加えて、「場所細胞」の観点から見ても、海馬を活性化するとっておきの方法といえます。

 

  あるいは、「旅行」は、物凄い刺激になります。

 

見たことのない風景を連続して目にすることができるからです。  海馬が嫌うのは「マンネリ」です。 

 

 同じ場所で、同じような仕事を長時間こなすのは、記憶効率、学習効率、仕事効率を大きく低下させるので、注意が必要です。 

 

 【つづきを読む】『「勉強ができない人」の最大の原因は感情だった…記憶力を低下させる「意外な感情」の種類』

 

樺沢 紫苑(精神科医)

 

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