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仕事力を上げたいなら「締め切り」をつくれ!…脳のパフォーマンスを高める「とっておきの方法」

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現代ビジネス

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 人間は人生に起こったほどんどのことを忘れてしまう生き物ですが、「楽しかった」「辛かった」などの思い出は意外と覚えているものです。

 

逆に意識的に感情のコントロールを行えれば、記憶に残りやすくなります。

 

その感情を呼び起こすきっかけの一つが「火事場の馬鹿力」。

 

脳の仕組みを研究した精神科医の樺沢紫苑さんが、「記憶」と「学び」について20年以上の試行錯誤をわかりやすくノウハウとしてまとめた『記憶脳』(サンマーク出版)から一部抜粋、再構成してお届けします。

 

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追い詰められたときに分泌される脳内物質を活用

 夏休みの最後の1日。ほとんど手つかずの宿題や自由研究を、たった1日で終わらせた。

 

そんな経験は、誰にでもあると思います。

 

もともと1日で終わらせられるのであれば、夏休み最初の1日で終わらせればいいのに、と思うかもしれませんが、最初の1日では、どんなに頑張っても全ての宿題を終わらせることはできないはずです。

 

  追い詰められたときに発揮される、予想を超えた凄い力を「火事場の馬鹿力」といいますが、「火事場の馬鹿力」は脳科学的にも、全く正しいと思います。

 

  人間は、追い詰められるとノルアドレナリンという脳内物質が出るのです。

 

ノルアドレナリンが分泌されると、注意力、集中力が高まり、結果として物事を素早く判断できるようになり、それと同時に記憶力、学習能力、作業遂行能力など、ほとんどの脳機能が高まります。

 

  同時に、追い詰められたときにはアドレナリンという物質も出て、こちらは筋力、瞬発力、心肺能力を高めます。

 

火事のときにおばあさんがタンスを背負って逃げた、という話を聞きますが、まんざら噓うそでもないのです。

 

  いざというときに、ノルアドレナリンは脳の力を高め、アドレナリンは身体能力を高めるということです。

 

  ノルアドレナリンやアドレナリンは、恐怖、不安、緊張と関連して分泌されます。

 

原始人が猛獣と出会ったとき「戦う」のか「逃げる」のかを瞬時に判断し、瞬時に行動しなければ、殺されてしまっていたでしょう。

 

そんな太古の昔から、ピンチのときに分泌されているのがノルアドレナリンやアドレナリンです。

 

  興味深いことに、ノルアドレナリンが分泌されると注意力や集中力だけではなく、記憶力も高まります。

 

ですから、「追い詰められた状態」で記憶するのは、記憶術的には非常に理にかなった効果のある方法といえます。

 

  「火事場の馬鹿力記憶術」を、ビジネスパーソンが仕事に応用するとどうなるのか?

 

 多くの仕事には、「締め切り」や「納期」というものがあるはずです。

 

そうした、「締め切り」や「納期」を必ず守るようにすれば、「火事場の馬鹿力」が自然に発揮されて、仕事力、記憶力が高まります。

 

「締め切りに間に合わなくてもいいや」ではNG

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 私の場合、「原稿の締め切り」というものがありますが、締め切りは必ず守る著者として知られています。

 

著者の中には、締め切り間近になると、毎回必ず「1週間待ってください」と言ってくる方もいるそうです。

 

しかし、「原稿の締め切り」を守らないと、「火事場の馬鹿力」は発揮されません。

 

  「9月1日締め切り」になっていても、「間に合わなければ、1週間くらい締め切りを延ばしてもらえばいいや」と最初から思っていたとするならば、切羽詰まった状態になりませんから、ノルアドレナリンが分泌されないのです。

 

  結果として、締め切りも守らず、効率も上がらず、ダラダラ仕事をすることになってしまいます。

 

「9月1日には必ず提出する。

 

締め切りは必ず守る」と決めていれば、夏休み終了1日前の子供たちと同じように、物凄いパフォーマンスを発揮することができます。

 

  「火事場の馬鹿力記憶術」とはいっても、「締め切りのある仕事」がそうしょっちゅう入るわけではないという人もいるでしょう。

 

そんなときは、普段の仕事でも自分で締め切りを決めて時間を制限するだけで、軽い緊張状態を作り出すことができます。

ほど良いプレッシャーをかける

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 「この書類作成を1時間で終わらせる!」とあえて決めて取り組めば、ノルアドレナリンが分泌して、集中力もアップし、普段以上の仕事効率を発揮することができます。 

 

 また、時間制限をするとゲームのような感覚になり、やっていて楽しくなってきます。

 

このように明確な目標設定をすることでドーパミンも分泌されるので、ドーパミンによる集中力アップ効果、記憶力増強効果も得られます。

 

  残業をする場合も、「この仕事が終わったら帰ろう」ではなく、「この仕事は9時までに終わらせて、9時には必ず帰る」と決めます。

 

それだけでも仕事効率がアップして、ダラダラやれば10時までかかっていたものが9時までには終えることができ、早々に帰ることもできます。 

 

 仕事をするときも、何かを記憶するときも、時間制限をしたほうがいいのです。

 

  時間制限をするとき、私はスマホのタイマー・アプリを使います。

 

「10分で終わらせる!」と決めたら10分のタイマーをセットしてカウントダウンする。たったそれだけで、本当にゲーム感覚になり楽しく仕事をこなすことができます。

 

  また、「TO DOリスト」を書く場合も、それぞれの項目ごとに30分、60分などと制限時間を書き込むか、または「13時まで」のように終了時間を書き込むようにしています。

 

  とにかく、終了時間、制限時間を決めないと、ダラダラと仕事をすることになってしまうのです。

「火事場の馬鹿力」を酷使するとうつ病になる!?

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 ノルアドレナリンが分泌されると、記憶力が高まります。

 

同時に、集中力、注意力も高まり、学習効率や仕事効率もアップします。

 

  「火事場の馬鹿力」の元ともいえるノルアドレナリン。

 

これだけの効果があるとすれば、毎日でもノルアドレナリンのパワーに頼りたくなりますが、注意が必要です。

 

毎日、毎週、締め切りに追われて、のんびりできる暇が全くない。軽度とはいえないストレスが何週間も続いている。

 

そんな状態が続くと、「うつ病」になりかねません。

 

  「うつ病」は脳科学的にいうと、ノルアドレナリンが足りなくなった状態です。

 

私たちにストレスがかかったときに分泌される「緊急援助物質」であるノルアドレナリン。

 

これを毎日使い続けると、ノルアドレナリンが枯渇してしまうのです。これが、「うつ病」の状態です。

 

  私も原稿の締め切り前の1週間などは、缶詰状態にもなります。

 

しかし、原稿を書き終えた後は、1~2週間くらいは休養期間をとり、旅行に行って気分転換をしたりするようにしています。

 

  緩急をつけて仕事をすることで、仕事は最もはかどるのです。

 

  【つづきを読む】

 

『人前で話さない人は「損している」…脳のパフォーマンスと学びの効率をあげる「納得の方法」』

 

樺沢 紫苑(精神科医)

 

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