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「やることリスト」をスマホに書いてはいけない…脳メモリを解放し、絶対的集中状態に入る「TO DO」活用法

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プレジデントオンライン

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Pikusisi-Studio

 

やることリスト(TO DOリスト)を有効活用するにはどうすればいいのか。

 

精神科医の樺沢紫苑さんは「スマホやタブレットではなく、紙に書くことが重要だ。

 

紙でなければTO DOリストは有効活用できない」という――。

 

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 ※本稿は、樺沢紫苑『記憶脳』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

 

 ■その使い方、実は間違っているかも?

 

  「10時までに問い合わせに返信」「12時からランチミーティング」「3時から会議」「5時までに見積書を提出」「夜8時から彼女とデート」……。

 

先述したように、こうした複数の予定が頭の中にあるだけで、脳のメモリは予想以上に消耗します。

 

  ですから、そうした「予定」「スケジュール」「懸案事項」は、「TO DOリスト」に書き出してしまえばいいのです。

 

そして、一度忘れてしまう。

 

  たったそれだけで、余計な雑念から解放され、脳メモリも解放することができ、目前の仕事に圧倒的に集中力を発揮できるようになります。

 

  私は、毎日、仕事を始める前に必ず、「TO DOリスト」を書きます。

 

「TO DOリスト」を書くことで、今日すべきこと、そして次にすべきことが明確になり、スムーズに、効率的に、次々と仕事をこなしていくことができるのです。

 

  「TO DOリスト」を書こうといっても、適当に書いても何の効果もありません。

 

  脳メモリを解放し、圧倒的に仕事の効率をアップさせる、正しい「TO DOリスト」活用法をお教えします。

 

 ■TO DOリストはスマホで書いてはいけない

 

  【「TO DOリスト」超活用法①】

 

 「TO DOリスト」は紙に書いて机の上に置いておく

 

  「TO DOリスト」は、紙に書くべきか?

 

 それとも、スマホアプリのような、デジタルツールを使うべきか?

 

 議論する余地などなく、私の結論は決まっています。

 

  「TO DOリスト」は、紙に書く以外ないのです。

 

  なぜならば、紙に書かないと「TO DOリスト」の用をなさないからです。

 

  私の場合、仕事をしている最中は、スケジュール帳に書いた「TO DOリスト」を常に見えるように机の上に広げています。

 

「座右の書」というのがありますが、私の場合は「座右のTO DOリスト」。常に机の上に「TO DOリスト」がある状態です。

 

  そうしておくと「次の仕事は何か?」という考えが脳をよぎった瞬間、視線を少し移動するだけで「TO DOリスト」をチェックすることができます。

 

所要時間は、1秒すらかかりません。

 

高まった集中力を維持したまま、トップスピードで、次の仕事に突入することができます。

 

  「TO DOリスト」をスマホやタブレットのアプリで管理している人も多いと思いますが、スマホやタブレットは何分か操作しないとスリープモード(節電モード)に入ってしまいます。

 

机の上にスマホをのせておいても、そこから「TO DOリスト」を立ち上げるのに、いちいちパスワードを入力して、画面を開かなくてはいけないという手間が生じます。

 

■たかが「5秒」のロスでも、集中力が一気に下がる 

 

 所要時間は5秒か10秒くらいかもしれませんが、パスワードを入力したりすることで、せっかく高まっていた集中力が、一度ゼロにリセットされてしまいます。

 

これはF1のレースで1周回るごとにピットインするようなものです。

 

非常に効率が悪い「TO DOリスト」の使い方といえます。

 

  さらに、スマホをさわるたびに「メッセージをチェックしないと」「ゲームをしたい」という誘惑にもかられます。

 

そんな考えが一瞬でも頭をよぎったなら、集中力がリセットされると同時に、脳メモリも大きくロスをしてしまいます。

 

  よくネット記事などで、「TO DOリストを使っても仕事の効率は良くならない」といった批判の記事を目にしますが、そういう人は「TO DOリスト」を間違ったやり方で使っているのだと思います。

 

  「TO DOリスト」は紙に書く。

 

そして、常に机の上の見えるところに置いておく。

 

  この2つの原則を守る限り、「TO DOリスト」は間違いなく私たちの脳メモリを解放するのに役立ちますし、仕事を効率化する強力な武器となります。

 

 ■人間はなぜ「落ちゲー」にハマるのか

 

  【「TO DOリスト」超活用法②】

 

 「TO DOリスト」は、「書く」よりも「消す」ことが重要

 

  スマホゲームの「パズドラ」が大人気です。

 

ダウンロード数が6100万を突破したといいますから、単純計算で日本人の2人に1人がダウンロードしたことになります。

 

あるいは、「ツムツム」というゲームも人気です。

 

いずれも「落ち物系ゲーム」、略して「落ちゲー」と呼ばれるゲームで、古くは「テトリス」や「ぷよぷよ」までさかのぼります。

 

おもしろくてやめられなくなる。

 

極めて中毒性が高いのが特徴です。

 

  30年以上の間、「落ちゲー」人気は変わらず、圧倒的にプレーされている。

 

その中毒性の秘密はどこにあるのでしょうか。

 

  視覚刺激が「出現したとき」と「消えたとき」の2回、脳は強い神経反応を示すことが明らかになっています。

 

  人間の脳は、ものが現れたときに反応するのは当然として、消えたときにも興奮するのです。

 

したがって、ブロックやタイルを消していく「落ちゲー」は、脳を興奮させ、やみつきにさせるという仕組みです。

 

  「TO DOリスト」もそうです。私は「TO DOリスト」の中で完了したものは、思いっ切り横線を引いて消すようにしています。

 

そうすると、「やったー!」という強烈な達成感を得られます。

 

「消す」ことによる脳の喜び効果です。

 

■TO DOリストで「ゾーン」に入ることも可能

 

  さらに、目標を達成すると、幸福物質ドーパミンが分泌されます。

 

ドーパミンは、モチベーションの源となる物質ですから、ドーパミンが分泌されると、「よし、次も頑張るぞ!」と意欲がアップします。

 

  「TO DOリスト」は、「書く」ことも大切ですが、「書く」こと以上に「消す」ことが重要。

 

モチベーションを高めるツールとして「TO DOリスト」を活用するためには、達成したら、思いっ切り「消す」のがコツです。 

 

 【「TO DOリスト」超活用法③】

 

 「TO DOリスト」で「絶対的集中状態(フロー状態)」に入れる⁉

 

  「フロー」という言葉を聞いたことがありますか?

 

  フローとは、別名「ゾーン」ともいいますが、心理学者のチクセントミハイによって提唱された概念です。

 

  チクセントミハイの著書『フロー体験 喜びの現象学』(今村浩明訳、世界思想社)を引用すると、「一つの活動に深く没入しているので他の何ものも問題とならなくなる状態、その経験それ自体が非常に楽しいので、純粋にそれをするということのために多くの時間や労力を費やすような状態」のことです。

 

 ■気が付くと1日で原稿用紙50枚分以上も書いていた 

 

 一言でいえば、「絶対的な集中状態」でしょうか。

 

時間を忘れて仕事に没入し、気がつくと圧倒的な質で量をこなしている、という状態です。

 

スポーツ選手であれば、ほど良い緊張感に支配されながら、楽しくプレーができる余裕があり、結果として普段以上の結果や記録を出している、そんな状態です。

 

  私は本の執筆をしているときに、しばしばフローを経験します。

 

本書の執筆においても、10回以上はフローの状態で執筆できたと思います。

 

私の場合、フローに入ると、次々と文章が流れるように浮かんできます。

 

自分の考えが次々と文章化されていくのが楽しくてしようがない。気がつくと夕方になっていて、原稿用紙50枚分以上も書いていた、といったこともあります。

 

  疲れ知らずで、時間があっという間にすぎ、苦もなく1日で大量の原稿を書き上げてしまう。

 

それも圧倒的に楽しい気分に支配されながら。

 

  その瞬間が楽しくて、楽しくてしようがないので、「もっと書きたい!」とモチベーションが上がります。

 

  こうした「フロー」に意識的に入ることができれば、圧倒的なパフォーマンスで仕事を片付けることができます。

 

■「次に何をやろう?」という疑問の余地を入れない 

 

 では、どうやれば「フロー」に入れるのでしょうか。

 

  私は「TO DOリスト」の活用をお勧めします。

 

  「次に何をやろうか?」「次に、すべきことは?」ということを、いちいち考えない。

 

「これが終わったら、これ」という流れが、詳しい工程表のように決められている、あるいは無意識に体が全て記憶している……。

 

こんなときは、目の前の仕事にのみ集中することができます。

 

  実は、「次に何をやろう?」という疑問が、一番集中力を妨げるのです。脳の集中力が高まり、作業効率がアップしている状態で「次に何をやろう?」という考えが浮かぶと、集中の糸は切れてしまいます。

 

集中力がリセットされてしまうのです。

 

それでは、フローに入ることは困難でしょう。

 

  「次に何をやろう?」ということをいちいち考えずに流れるように作業に没頭すればフローに入りやすいということですが、そのために活躍するのが「TO DOリスト」です。

 

 「TO DOリスト」を使うことで、集中力を途切れさせないことが可能となります。

 

  一般的にはフローに入るのは難しい、といわれていますが、「TO DOリスト」を上手に活用することで、意識的にフローに入り、圧倒的なパフォーマンスを楽しく実現することができるのです。

 

 ■「夜寝る前」ではなく、「朝一番」に書く

 

  【「TO DOリスト」超活用法④】

 

 「TO DOリスト」は、朝に書く 

 

 あなたは、「TO DOリスト」をいつ書きますか?

 

 私は朝、机に向かって、仕事を始めようというその瞬間に「TO DOリスト」を書きます。

 

  私の友人たちに、「TO DOリストは、いつ書きますか?」と質問してみたところ、「朝書く」派と「夜書く」派に、真っ二つに分かれました。

 

「夜書く」派の人は、「明日の仕事の流れを把握できて、安心して眠れる」と言うのですが、おそらく逆の人もいるでしょう。

 

  私は『精神科医が教えるぐっすり眠れる12の法則 日本で一番わかりやすい睡眠マニュアル』(Kindle電子書籍)という本を出しています。

 

この本だけではなく、他のほとんどの睡眠本にも「寝る前に明日のことを考えるのは、睡眠に悪影響」と書かれています。

 

  睡眠に対して、一番良くないのは、「不安」です。

 

寝る前に不安や心配がよぎると、眠れない原因になります。

 

明日のことを考えると「○○はどうしよう」と不安になりやすいので、考えないほうがいいというわけです。

 

  「いや、明日のことを考えるとワクワクする」という人もいるでしょうが、ワクワクしているときには、ドーパミンという脳内物質が出ています。

 

ドーパミンは、ワクワク、ドキドキの興奮系の幸福物質なので寝る前に分泌されると、睡眠を妨げます。

 

遠足の前の日の晩、「明日の遠足が楽しみで眠れなくなった」というのは、まさにこうした原因によります。

 

■始業と同時に「1日のイメージ」を作り上げておく

 

  寝る前には、不安になってもいけないし、楽しくなってもいけない。

 

ですから、寝る前に「TO DOリスト」を書くことはお勧めできません。

 

  私も寝る前に「TO DOリスト」を書いてみたこともありますが、一晩寝て改めて考え直してみると、新しい仕事が増えたり、優先順位が変わっていたりすることがよくありました。

 

  睡眠中に記憶が整理されるということは、既に説明しました。

 

グッスリ眠って起きてから判断すると、感情に左右されずより正しい判断ができるわけです。

 

つまり、夜に「TO DOリスト」を書くと、翌朝修正しないといけないことになります。

 

そんな二度手間をかけるくらいなら、最初から朝に「TO DOリスト」を書けばいいのです。

 

  朝に「TO DOリスト」を書くと、「今日も1日頑張るぞ!」とモチベーションも上がります。

 

目標設定をすることで、ドーパミンが分泌されるのです。

 

夜のドーパミンと違い、朝のドーパミンは1日の活力になりますから、お勧めです。

 

  その日の朝、始業と同時に、今日1日のイメージを作り上げます。

 

ありありとイメージできると、たいていその通り効率的に仕事をこなせて、充実した1日を過ごせるものです。

 

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 樺沢 紫苑(かばさわ・しおん) 精神科医 作家。米・イリノイ大学への留学を経て樺沢心理学研究所を設立。YouTubeやメルマガで精神医学の情報を発信。著書に『学びを結果に変えるアウトプット大全』『精神科医が教える ストレスフリー超大全』『読書脳』ほか。

 

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精神科医 樺沢 紫苑

 

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