【以下ニュースソース引用】
NY2024 今どき本屋さん事情
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![久保純子](https://www.asahicom.jp/and/data/wp-content/uploads/2021/06/2fa9c5f471819caba3271d1824fbf5ad-2.jpg)
フリーアナウンサー
1972年、東京都生まれ。小学校時代をイギリス、高校時代をアメリカで過ごす。大学卒業後、NHKに …
ニューヨーク在住7年目の、久保純子さん。
新型コロナウイルスを経て世界がめまぐるしく変化する中での、ニューヨーク生活。
家族や友人との時間、街で見かけたモノ・コト、感じたことなど、日々の暮らしを通して久保さんが見つめた「いまのニューヨーク」をつづります。
心落ち着く、お気に入りの本屋さんがある喜び
いつ行ってもにぎわいを見せている場所がある。
ユニオンスクエアの学生街にある本屋さん「Strand Book Store」だ。
本屋さんには似つかわしくない表現かもしれないが、とにかく“素敵”なのである。
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店舗に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが、赤、青、黄色など、色別にセンスよく陳列された本たち。
そして、どれも欲しくなる個性的なデザインのオリジナルのエコバッグや筆箱たちがその先に積み上げられている。
さらに奥に進むと、ひきたてコーヒーの香ばしい香りがふわっと漂ってくる。
その瞬間、パブロフの犬のごとく、条件反射的に笑みがこぼれる。
心落ち着く、私のお気にいりのスポットだ。
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しかし、訪れる度に不思議に思っていることがある。
活字離れ、紙から電子本への移行が進んでいると言われて久しい昨今、なぜここはこんなに活気があるのだろう?
現に、1500人のアメリカ人を対象とした2023年に読んだ本の数の調査で、1冊完読した人は全体の5%、1冊も本を読みきらなかった人が実に全体の46%という驚くべきデータをワシントン・ポスト紙が発表したのだ。
さらには、ここ数年のアメリカ国内の本(紙書籍)の売上数を調べてみると、2022年(1~9月)は前年同時期比4.8%、2023年は4.1%ダウンと、減少傾向にある。
それなのにこの人気ぶり。理由はどこにあるのだろう?
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ニューヨークに170以上あるという「街の本屋さん(大型書店ではない小規模な、“Independent Bookstore”)」を巡ってみると、そこに少し答えが見えてきたように思う。
取り扱いは、恋愛小説のみ
「The Ripped Bodice」は昨年8月にオープンしたばかりの恋愛小説のみを扱ったユニークな本屋さん。
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元々、ロサンゼルスで1店舗目を成功させたKoch(コック)姉妹が、古着屋さんやカフェが立ち並び、新しいものを積極的に採り入れる進取の気性に富んだブルックリンのプロスペクトパークに開いたお店だ。
古典的な作品からLGBTQ+を題材にしたものなど、多様性を大切にした恋愛作品が店頭に並ぶ。
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妹のLeahさんは、「みんなの居場所を作りたかった」と言う。
お店は、本屋さんの概念を覆すどこまでもキュートな作りで、どこを切り取っても「絵になる」。
キャンディーストアやスイーツ屋さんに入ったようなワクワク感がある。
休日のこの日は、女性客であふれていた。母娘で訪れていた10代後半の女性にお話を伺うと、「ホラーから同性愛まで幅広いジャンルの恋愛小説があって面白い。
他では見つけられなかった作品もここで出会えた」と4冊の本を抱えて、うれしそうに話す。
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そして、常連だという生粋のニューヨーカーは、「ローカルのこうした小さなお店をサポートしたい。
趣があって気に入ってるの」と。
本の他にも、ろうそくやアクセサリー、お茶など、あらゆるグッズが店頭に並んでいるのも心をくすぐられる。
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ロックフェラーにオープン、映画に出てきそうな本屋さん
そして、冬の風物詩、華やかなクリスマスツリーやアイススケートリンクで話題になるロックフェラーセンターにも、2022年に新たな本屋さん、「McNally Jackson Books」が誕生した。小物屋さんさながらの装いで魅力を放っている。
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回転ドアを通って店内に入ると、「きっと本が大好きなんだろうな〜」という雰囲気の店員さんが「Welcome!」と笑顔で迎えてくれる。気分良くお店を見渡すと、ペンや日記帳、カードにノートなどといった充実した文房具のセレクションが目を引く。差し当たって必要はないけれど、全部欲しくなる。
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そして、2階に上がると、雰囲気が一変する。映画『ハリー・ポッター』シリーズに出てくるホグワーツ魔法魔術学校の図書館を彷彿(ほうふつ)とさせる、天井から床までびっしり本が詰まった立派な本棚が規則正しく配されている。書庫のようだ。いっぺんでこのお店にも通い詰めることになるであろうことを確信する。
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NYは個性的な本屋さんの宝庫
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さらに、「YU & ME BOOKS」は、マンハッタンのチャイナタウンに2021年にできた本屋さんで、こちらの特色は、独特な本のセレクション。
中国系アメリカ人であるオーナーのLucy Yuさん自身が探し求めていたという、アジア系アメリカ人著者の小説や移民を取り上げた本を多く取り扱っている。
ここに来れば、チャイナタウンの歴史に触れ、ルーツをたどることができる。
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他にも、家賃を抑えるために雑貨屋さんの奥に店舗を構える「Burnt Books」や国内外問わず様々なジャンルの本を扱う「Troubled Sleep」、ビンテージ本専門店「Dear Friend books」など、わざわざ足を運びたくなるような、こぢんまりとした本屋さんが街中に点在している。
こうしてNYの本屋さんを巡ってみると、共通するのは、「独自性」「個性」だ。
こんな本屋さんがあったら良いな〜、を具現化している。
本を手にする喜びはもちろん、それ以上の発見、幸福感をもたらしてくれるように感じる。
我が子も本好きで、でも最近は、場所をとるからとやむを得ず電子本を読むようになったが、それでもやっぱり「紙の本が好き」と紙本を手にすると途端に顔がほころぶ。
寒さが増してくるこれからの時期、お気に入りの本屋さんでぬくぬく過ごすのも妙案かもしれない。
フォトギャラリー(写真をクリックすると、詳しくご覧いただけます)
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思い思いのスタイルで、自然と本を楽しめる図書館 続いて、朝の親子図書タイム。朝7時50分 …