【以下ニュースソース引用】
異国の路地裏感に誘われて ディープな本格広東料理店「イーパンツァイ タナカ」
編集者・ライター
東京でインテリア・ライフスタイル系の編集者を経て、2010年京都に移住。京都のガイドブックやWE …
写真家
大学卒業後、1年間映写技師として働き、写真を本格的に始める。2000〜2002年、写真家・平間至 …
古びた建物の隙間にある路地に、見慣れない中国語のネオンサイン。
この奥に、「ミシュランガイド京都・大阪2023」で「ビブグルマン」(「価格以上の満足感が得られる」との評価)を獲得したレストランがあるなんて、信じられますか?
今回訪ねたのは、左京区の路地奥の中華料理店「イーパンツァイ タナカ」。
何やら怪しげな雰囲気が漂う路地の先に、旬の素材と華麗な中華の技が織りなす一品料理が待っていました。
■京都から毎月、季節の便りを出すように。連載「京都ゆるり休日さんぽ」では、いま訪ねたい今昔の人気店、季節の味覚や風景を、さんぽのみやげ話とともにお届けします。
迷い込むようなドキドキ感
「奥でマージャンでも打ってそうな雰囲気で。海外でこの路地を見かけたら、まず入らないですよね」
そう言って笑うのは「イーパンツァイ タナカ」のシェフ、田中晋平さん。
確かに、奥においしい料理店があると知らなければ、足を踏み入れるにはなかなか勇気が必要です。
危うくてちょっと不気味で、けれど濃密に漂う、異国の路地裏のようなムード。
サブカルチャーとヒッピー文化や学生運動の残り香が色濃く混じりあう、左京区独特の雰囲気も手伝って、入ってはいけない路地に迷い込んでいくようなドキドキ感があります。
ホテルの広東料理店で約20年間腕を磨いたのち、心機一転、クルーズ船の料理人へと転身したという田中さん。
しかし、コロナ禍の影響で出航できなくなり、料理をふるまうこともかなわず悶々(もんもん)としていたところに、空き物件の話が舞い込みました。
「上海バンド」という人気の中華料理店があったこの場所は、パートナーの遼子さんがかつてアルバイトしていて「他にはない」と感じていたロケーション。
雑然とした雰囲気から、高級中華ではなく下町の居酒屋のように気軽で、旬の食材とおいしいお酒を組み合わせて楽しめる店のイメージがふくらみました。
「一品料理」を掲げる町酒場のように
「一盘菜(イーパンツァイ)」とは中国語で「一品料理」を意味します。
駅から少し外れた路地にたたずむ、のれんやちょうちんに「一品料理」や「季節料理」と書かれた、町の酒場。
そんな昔ながらの居酒屋のようなスタイルで食す本格広東料理は食通の間で瞬く間に話題に。
「ミシュランガイド京都・大阪2023」では、ビブグルマンを獲得しました。
名物の「カダイフ(龍髭巻)」は、エビとハモのすり身をカダイフ(柔らかく細い麺状の生地)で巻いて揚げた、エビマヨの進化版。
ホテル勤務時代、台湾出身のシェフから教わった料理を、田中さんらしくブラッシュアップしました。
添えられたマヨネーズはしっかりレモンが効いていて、爽やかな後口。
パリパリした繊細な衣の食感が軽快な一品です。
「中華食材は味や食感がおもしろいものが多いのでぜひ食べてみてください」と話す田中さん。
ハスの葉で包まれたおこわは、鶏肉と干ししいたけ、中華ではポピュラーな食材・アヒルの卵の塩漬けを加え、せいろで6時間も蒸し上げたもの。
ハスの香りがほのかに漂うねっちりとしたおこわに、濃厚でうまみたっぷりのアヒルの卵の卵黄がアクセントになり、初めて体験するおいしさです。
季節ごとに変わる、旬の海鮮や野菜を取り入れたお品書きにも心躍ります。
季節を感じながら、未知の食材やサプライズある組み合わせにうなる、路地裏の中華料理店。
ひと皿食べるごとに発見があり、次の料理を頼むのが楽しみになるのは間違いありません。
秘密めいた路地におそるおそる入るところから、魅惑の食体験が始まります。
【取材協力】
イーパンツァイ タナカ
https://www.instagram.com/yi_pan_cai_tanaka
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