【以下ニュースソース引用】

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」

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こんなモデルがショーを楽しくしてくれると評価が高かった、千葉・成田のNATS日本自動車大学校の出品作はスズキ・エスクードのフレームやエンジンを使いエアサスペンションを組み込んだモデル 写真=東京オートサロン事務局提供
小川フミオ

小川フミオ

 モータージャーナリスト

クルマ雑誌の編集長を経て、フリーランスとして活躍中。新車の試乗記をはじめ、クルマの世界をいろいろ …

 

 

「オートサロンはクルマ好きがクルマを囲んで笑顔に包まれるお祭りです」。

 

2024年1月12日から14日にかけて幕張で開催された「東京オートサロン2024」で、トヨタ自動車の豊田章男会長は、大きな声でそう語った。

 

これまでもこの連載でリポートしてきたオートサロンは、モータースポーツや(クルマを飾り立てる)ドレスアップを中心にしたクルマが集まるイベント。

 

近年はアウトドア志向のクルマも増えてきた。

 

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」
2023年より5万人多い23万人の来場者を集めた東京オートサロン2024の会場風景 写真=東京オートサロン事務局提供

 

自動車ショーのなかで集客力はピカイチで、会場は押すな押すなの大混雑。

 

24年は23万人超の来場者を数えたというからすごい。

 

私は取材のために初日午前中の、いわゆるプレスデイに出かけたが、ふつうのショーよりすいているはずのプレスデイなのに渋谷ハチ公前の交差点にいるような混雑だった。

 

電気自動車や代替燃料車も出展されるが、多くはモータースポーツを核にしているのも、このショーの特徴。

 

たとえば、マツダは水素で走るレーシングモデルを、ヒョンデはサーキット走行を念頭においたEVを、とコンセプトが明確なのだ。

 

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」
モータースポーツでの知見を大々的に採用した「スバルWRX S4 STIスポーツ♯(シャープ)」はショーで初公開され500台限定発売 写真=筆者撮影

 

たいていはエンジン車だが、EVはモータースポーツでのポテンシャルが高いので、「そのうち取って代わられる」と、会場で会った日本メーカーの技術者は言っていた。

 

なにはともあれ、会場を回っていると楽しい。

 

冒頭で紹介した豊田会長の発言もむべなるかなである。

 

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」
ロッキーオートが初出展した「5ナンバー」のよりリアルな2000GT 写真=東京オートサロン事務局提供

 

「このお祭りに普通のクルマ好きおじさんとして参加するのも私の夢でした。

 

6台の愛車も自慢げに並べさせていただきました」

 

これも豊田章男会長が記者を前にカンファレンスで語った言葉。た

 

だしこの“おじさん”の“愛車”にはかなり大がかりなものがあって、ボディー剛性をうんと上げるとともにパワートレインをチューニングしたセンチュリーや、より反応のよい操縦性を追求したレクサスLBXのスペシャルバージョンが含まれる。

 

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」
モリゾウことトヨタの豊田章男会長の好みを採り入れてよりレスポンスがよく、かつ後席の居心地が快適にと作りあげた「センチュリーGRMN」は発売計画もあるとか 写真=筆者撮影

 

トヨタ自動車の開発陣もたいへんだったんじゃないかと想像するけれど、どうせだったら、徹底的に楽しいクルマを作ろうという姿勢は、クルマ好きにとってたいへんうれしいことだ。

 

徹底的に楽しい、っていろんなレベルがある。

 

1リッターでもそんなクルマが作れるのは、今回の豊田会長が愛車の1台として公開したIQ GRMNというモデルが証明している。

 

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」
スズキが軽トラのスーパーキャリイをベースに作った「マウンテントレイル(コンセプト)」 写真=東京オートサロン事務局提供

 

世界的に注目される自動車も関係するショーといえば、毎年1月にラスベガスで開催される「CES」がある。

 

あちらは先端技術のオンパレード。

 

比較してみて私は、ジョージ・オーウェルの小説「1984」を思い出してしまった。

 

ハイテクで国民を管理する国家と、過去を愛する主人公の心情のドラスチックな対比。

 

小説で主人公が耽溺(たんでき)する骨董(こっとう)店の2階にあたるのがオートサロンなんだろうか。なんだかホッとする昔から変わらない世界なのかも。

 

「クルマが大好き」が詰まった「東京オートサロン2024」
日産の「エクストレイル・クローラーコンセプト」はエクストレイルがもともともつオフローダーとしてのキャラクターを強調したモデルでピンクとネオングリーンの色づかいが魅力的に見える 写真=筆者撮影

 

いや、でも、そういう感想は短絡的すぎるかも、と途中で思い直した。

 

見ていて“自分たちはクルマが大好きなんです”というかんじがとてもすばらしい。

 

豊田会長は「クルマを楽しみたい気持ちがあるから色んな技術に挑戦したくなる」と語っていた。

 

たしかに至言かも。

 

クルマへの愛情は、けっして懐古的なものではない。クルマに乗り続けたいという気持ちが新しい技術の進化を促し、クルマ好きにとって望ましい未来を作るという意見には大賛成である。

 

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