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発達障害の人の家族に多い「カサンドラ症候群」なりやすい人、なりにくい人チェック

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現代ビジネス

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 「発達障害」は今や、珍しい障害とは言えない。

 

文部科学省が令和4年12月13日に発表した「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果」によると、全国の公立小中学校の通常学級には、発達障害の可能性のある児童生徒が8・8%。つまり、30人学級であれば、1クラスに2~3人は発達障害とみなされる生徒がいるということになる。

 

 さらに現在、大人の発達障害についても関心が高まっている。

 

発達障害の当事者として、職場や家庭の人間関係や社会生活に困難を抱えている人は少なくない。

 

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そして、発達障害の近くにいる人にしばしば見られることが「カサンドラ症候群」と呼ばれている。

 

これは、発達障害(主として自閉スペクトラム症)の人と接する人が、情緒的な交流が持てない、関係性が悪化してしまったなどを原因として体調を崩すことを指す。 

 

 それならば、カサンドラ症候群の人も、相当数増加しているはずだ。 

 

 しかし、だれもがみな「カサンドラさん」になるとは限らない。

 

 「謎義母と私」というタイトルで、義母との軋轢について連載していた上松容子さんは、当時の自分の状態を、「カサンドラ症候群」だったのでは、と考えている。

 

義母は認知症を発症する前から相手の気持ちを考えられず、人間関係のトラブルが絶えなかった。

 

また、夫も長女の言動も、発達障害を思わせるものだった。

 

上松さんは、家族の奇矯な行動に振り回され、気づかいを無碍にされ続けた挙句、怒りで動悸が激しくなったり、徒労感に襲われ放心状態になったりしたという。

 

  世の中には、発達凸凹をそのまま受け止め、自分のペースを乱されることなく、しなやかに生きている人もいる。

 

同じような環境にいても、苦しむ人と、さほどダメージを受けない人がいるのは、なぜか?

 

 実は、「カサンドラ症候群に陥りやすい気質」というものがあるらしい。

 

上松さんも多くの気づきがあったという『パートナーが発達障害かも?

 

 と思ったときに読む本』(神田裕子著 すばる舎刊)から、抜粋する第1回では「カサンドラ症候群とはなにか」をお伝えした。

 

第2回では、人間の気質とカサンドラ症候群の関連をみていきたい。

 

「カサンドラさん」深刻さの度合いは性格で違う?

家族の特性について情報収集することは、自分を守るためにもとても大切 :Photo by iStock

 

 パートナーや家族が発達障害かもしれないと言われたとき、あるいはその診断が下りたとき、「あら、そうなんだ」と平然と受け止められる人はどれくらいいるでしょうか。 

 

ほとんどの人が、まず驚いてオロオロします。

 

将来への不安を訴える人もいるでしょう。

 

 一方で自分の身に起きたことを現実的にとらえ、今後に向けてすぐに情報収集や相談するなど行動し始める人もいます。

 

  それほど深刻にならずに、問題解決のため前向きに動き出す人と、いつまでも状況を変えられず、ネガティブな状態に留まる人の違いは、どこにあるのでしょうか。

 

  カウンセリングやボランティアの支援活動をしているうちに、深刻なカサンドラ症候群に陥りやすい人には、いくつかの性格傾向があることに私は気づきました。

 

つまり、カサンドラさんになりやすい性格があるということです。

遺伝的な「気質」は、なかなか変えられない

写真:現代ビジネス

 

 性格というのは、下の図に示したような四重丸から成り立っています。 

 

 一番内側に「気質」という親から遺伝的に受け継いだ性格があります。 

 

その一つ外側には、「気性」という幼少期のしつけやきょうだい順位を通じて形成された性格があります。

 

 さらにその外側には、「習慣的性格」と呼ばれる小学校から高校くらいまでの集団生活を通してでき上がってきた性格があります。 

 

そして一番外側には、就職先の企業風土や仕事の業務内容などから培ったものや、社会的役割(例えば職業的役割や職位の他、夫・妻や父親・母親など)で形成される「役割的性格」があります。 

 

 この四重丸モデルで外側にあればあるほど、その性格は変えやすいとも言われています。

「カサンドラさん」になりやすいのは、5タイプの性格

「しっかり者」であればあるほど、家庭での努力をを無視されると不快に :Photo by iStock

 

 この前提を踏まえた上で、カサンドラ症候群になりやすい人は、性格的に大きく次の5タイプにまとめられます。 

 

 1.しっかり者の完璧型

 

  長男長女に多いこのタイプは、性格が真面目で几帳面。

 

完璧な状態を好みます。

 

 エネルギーにあふれていて、自分自身が逆境を努力で乗り越えてきたため、相手にも同じように "生きる強さ" を期待する傾向があります。

 

  パートナーがぼ~っとしていると、さぼっているように見えてしまい、なぜ自分と同じようにできないのか、と不満を募らせます。

 

 「絶対に」「どうして~してくれないの?」「許せない!」「こうすべきでしょう?」を口ぐせにし、思ったようにならないイライラに苛まれています。 

 

誰かに頼ること、任せることが苦手で、他人に甘えてはいけないという思いがどこかにあります。

 

いえ、頼る方法を知らないと言ったほうがよいのかもしれません。

 

  2.やさしくて面倒見のよい世話女房型

 

  いつも家族の面倒を見ているこのタイプは、おとなしく目立つ行動を好みません。

 

趣味は料理や裁縫など、自分だけで黙々と作業できるものが得意で、たまにカルチャースクールやクッキング教室で習うことを楽しみにしています。 

 

 小さなことにも気を配るため、若いころは総務課や秘書室など、気配りを求められる部署で重宝された経験のある人もいます。 (女性の場合)子どもができると仕事を辞める人が多く、仕事を続ける場合にも家庭優先に行動します。

 

 もともと面倒見がよいので家事は嫌いではありませんが、家族よりも先に「できていないこと」に気づくため、結局家事すべてを任されることになってしまいます。

 

 経済力のなさから、離婚できずに悶々としている人も多いでしょう。 

 

 3.普通を求めるモラル型

 

  両親にとても愛されて育った人によく見かけるタイプです。

 

経済的にも平均的、もしくはそれ以上の生活に慣れています。

 

 基準は、自分が育てられてきた家庭の習慣であり、休日は家族で過ごすのが当然だと思っています。

 

  「普通は~でしょう」が口ぐせで、枠から外れることをよしとしません。

 

世間一般的なモラルや常識、マナーを大切にします。

 

プレゼントをもらった相手や状況をよく覚えていて、相手にしてもらったことはけっして忘れません。

 

返礼をしないと気が済まないところがあるでしょう。 状況に対応して自己判断・自己決定をする「自我」が育っていないことが多く、素直ではあるけれどだまされやすい一面もあります。 

 

想定外の出来事があると不安になりやすい "世間知らず" なお嬢さんタイプです。

 

大事にして欲しいのに、と強い欲求があるタイプ

心に余裕がない場合、苦しみを薬物で忘れようとしてしまうケースも :Photo by iStock

 

 4.自分勝手な自己愛型  いつも愛情飢餓の状態(愛着障害)にいます。

 

自分を大切にして欲しいと願っています。

 

 背景には、虐待やDV、両親との関わりが少ない幼少期があります。

 

 愛してもらいたい・大事にしてもらいたいという思いが言動に表われて、自分勝手なふるまいをすることがありますが、本人はそれに気がついていません。

 

  自分の理想とする愛情をくれないパートナーには支配的な態度を取りがちで、恋愛の情熱期が過ぎると、金銭的・物質的な見返りを求めるようになることもあります。

 

 相手を許すことを好まず、一度でも浮気やギャンブルなどで被害を受けると、即離婚だと騒ぎ立てます。

 

感情のコントロールや論理的に話すことが苦手で、相手を問い詰める激しさが目立ちます。

 

自分のことを客観的だと言うものの、単に自分に有利な論理展開をしているにすぎません。

 

  裏切られたと感じると、リストカットや狂言自殺、オーバードーズ、家出を繰り返すなど、やや演技的な行動が多く、自己愛性パーソナリティ障害と診断される人もいるでしょう。

 

  幼少期から、「変わっている」「何を考えているかわからない」「扱いづらい」と言われ、きょうだい間で比較されることの多かった人によく見受けられます。

 

 他人にどう評価されるかが気になるため、相手の顔色をうかがうところがあります。

 

  5.劣等感の強い内罰型 

 

 何かあると、すぐに自分のせいだととらえる傾向があり、相手から強く要求されるとつい従ってしまいます。 

 

モラルハラスメントの被害者とよく似た特徴を示し、パートナーが黙っていると恐怖に怯え、冷淡で無関心な態度を取られると、「また」自分は何かやらかしたのかとビクビクします。

 

心のどこかで見放されるのが怖いと思っています。 

 

カサンドラ症候群だけでなく、うつ病や不安障害になる可能性も否めません。

一人で悩まず、専門家に相談することが重要

写真:現代ビジネス

 

なお、こうした性格タイプの他に、カサンドラさん自身も定型発達ではない場合や、愛着障害やパーソナリティ障害、アダルトチルドレン、HSP※ 傾向があるかどうかも、パートナーとの関係に影響を及ぼしている要因となることがあります。

 

 このような場合には、改善までに通常よりも時間がかかったり、専門家への相談が必要になることもあります。

 

 この場合、専門家はそれぞれの特性や疾患に精通し、カサンドラ症候群だけではなくトータルに夫婦関係や家族の問題を解決に導くことのできるエキスパートを選ぶことが重要です。

 

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 ※HSP(Highly Sensitive Person)は、「とても感受性が強く、敏感な気質傾向のある人」と訳されます。環境や性格など後天的に形成されるものではなく、先天的に生まれもつとされる特性です。統計的には人口の15~20%(五人に一人)が該当すると言われています。 HSPもカサンドラ症候群同様、医学用語ではありません。アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士が1996年に提唱した概念で、その著書『HSP in LOVE』(『ひといちばい敏感なあなたが人を愛するとき―HSP気質と恋愛―』青春出版社)は世界5か国で販売され、全米でベストセラーになりました。

 

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 神田 裕子(かんだ・ゆうこ) 発達障害・カサンドラ症候群専門カウンセラー

 

  オフィスレアリーゼ代表。カウンセラー歴35年。 一般企業の秘書を経て、1989年から札幌市内の専門学校・短期大学において教鞭をとる。同時に学生相談室のカウンセリング業務に従事する。1996年「ゆうカウンセリングオフィス」を設立。1998年より北海道庁のメンタルヘルスを担当し、その後、全国の官公庁や一般企業を対象に講演・研修の活動を開始した。 2014年「オフィスレアリーゼ」を設立。2023年4月から、発達障害とカサンドラがともに学ぶ異文化交流&学びの会員制サロン『つばらつばら』運営。

 

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神田裕子

 

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