【以下ニュースソース引用】
「意欲」をよみがらせ老化を食い止める、和田流・前頭葉の働かせ方、樋口流・他力本願作戦
配信
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「老いが怖い」と思っている人へ、「老い」の達人が初タッグで、「幸齢者」になる秘訣を語り尽くします!!
大べストセラー『80歳の壁』著者の精神科医・和田秀樹さんと、90代のいばら道を痛快に切り開く評論家・樋口恵子さんが、『うまく老いる 楽しげに90歳の壁を乗り越えるコツ』で伝えたいこととは…!?
前頭葉の衰えで「意欲」が低下する、意欲がすべての老化を一気に進めてしまうと前編で語られました。
その意欲を取り戻す方法を和田さんが伝授。
とともに、樋口さんが日ごろ行っていたことにも、前頭葉を刺激する習慣がありました。
前編記事<「足腰」や「記憶力」より先に衰えるものとは? 40代から要注意な老化を自己チェック> ----------
和田流・意欲がよみがえる頭の使い方や習慣
樋口 今、高齢者も筋肉が衰えないように、筋トレをしましょうって盛んに呼びかけていますね。
筋肉は筋トレすれば衰えを防ぐことができますが、意欲が低下している人は何をしたらいいですか。
私でも意欲を取り戻すことってできますか。
和田 前頭葉は、一度萎縮してしまうと元の状態に戻すことはできません。
けれど、刺激を与えれば前頭葉の働きをよくすることができます。意欲は取り戻せますよ。
樋口 やっぱり計算とかパズルとかがいいんですか。
和田 計算やパズルを解いて鍛えられるのは頭頂葉と言われています。
また、難しい本を読んで鍛えられるのは、言語情報を処理している側頭葉というところです。
今話題にしている前頭葉はおもしろいところで、意外にも知能には関与していないようなのです。
昔、ロボトミーという凶悪な手術がありました。
この手術で前頭葉を切り取られた人は、知能テストの点数は1点も落ちませんでしたが、感情が消失し人間性を奪われてしまいました。
精神の殺人とも言われ、今は禁忌とされている手術です。
ちなみに、そのロボトミー手術を行った医者のモニスは1949年にノーベル生理学・医学賞を受賞しているわけですが、手術によって廃人になった当事者や家族は受賞取り消しの運動を行っています。
この前頭葉を鍛えるには、僕は次のような習慣や頭の使い方をするのがいいと思っています。
■和田流1 ものごとを両面から考える
新聞やテレビ、雑誌などにある誰かの意見を鵜呑みにせず、「そうかもしれないが、別の見方もあるよね」と、いろんな面からものごとを考えることが大切です。
そういう意見も一理あるなと思ったり、いや、ここは違うのではないかと考えると、思考の幅が広がります。
日本人は、物知りな人を頭のいい人と考えがちですが、知識だけなら、スマホがあれば誰でも検索できます。
前頭葉を使い、知識を、自分の経験や自分なりの思考法でとらえ直し、発展させていけるのが、本当の賢さだと思います。
■和田流2 自分の考えを言葉で表現する
長年、東大生、京大生にいちばん読まれた本『思考の整理学』(ちくま文庫)の著者として知られる英文学者の外山滋比古さんは、96歳で亡くなるまで頭を使い続けました。
その外山さんが年をとってからの勉強法としてすすめていたのが、インプット型の勉強ではなく、アウトプット型。
アウトプット、つまり、自分の考えを言葉にすることです。
それには人とのおしゃべりがいいんですね。
本を読んだり、ドラマを見たりしたあと、よかったなと心のなかで思って終わりではなく、どんな内容でどう感じたかを言葉にするのは、かなり頭を使います。
しかも、話す相手が、自分と違う意見を持つ人ならなおのことよし。ああでもないこうでもないと意見を戦わせるのがいいんです。
■和田流3 いつもと違うことにチャレンジする
いつもと同じことをするのは楽ちんですが、前頭葉は鍛えられません。
知らない店に入ってみる。
知らない道を通ってみる。
知らない食材を使って料理を作ってみる。
いつもと違うことをするドキドキハラハラが、前頭葉を刺激します。
先日、世界最高齢プログラマーとして注目されている若宮正子さんと対談しました。
すごく意欲的な方ですばらしいなと思いました。
定年目前に初めてパソコンを購入し、81歳のときには高齢者向けのアプリが少ないとわかり自ら開発します。
新しいことに挑戦する姿勢があるから、いつまでも若々しいんですね。
樋口流・意欲を低下させない他力本願作戦
樋口 あっ若宮さん、よく存じ上げていますよ。
私たちの「高齢社会をよくする女性の会」の会員になってくださっています。
それに比べて、私自身は新しいことに挑戦することがめっきり減ってしまいました。
本当は海外に新しい取材に行きたいところですが、外国へは80代前半でスウェーデンに行ったきり。
それ以後、腰が重くなってしまって……。
ただ、億劫だ~、面倒くさい~とばかり言っていると本当に何もできなくなってしまうので、自分なりに工夫していることはあります。
それは、次のように他人の力や状況をうまく利用すること。
他力本願作戦ですね。
★樋口流1 人に誘われたら、エイヤッと受ける
私は東京育ちで、今も東京に暮らしております。
そうすると小学校、中学校、高校、大学の友人がわりと近くにおりますし、ご近所さんとも馴染みの関係ができています。
人間関係には恵まれているんですね。
おかげで、みなさんからお誘いをよく受けますが、毎回お断りするのも気が引けるので、ついつい受けることに。
その結果、重い腰を上げざるを得なくなる。
自前の意欲は非常に心もとないですが、こういう人間関係があるからこそエイヤッと動けているんです。
★樋口流2 億劫でも予定を入れる
ありがたいことにこの年になっても、仕事の打ち合わせや取材など、「やらなくてはいけないこと」があります。
助手たちは、私が疲れないように仕事を断る係ですが、そのスキを狙って、私は仕事を引き受けたがります。
日常のやらなきゃいけない小さなことでも、予定としてカレンダーや手帳に書き入れると、書いたんだからやらなくちゃという気になります。
そして、遂行できたら、自分にハナマルをあげます。
★樋口流3 おしゃれで心をウキウキさせる
私はあまりお化粧はしませんが、すてきな洋服やスカーフを身にまとうと、気分がウキウキします。
年をとってこぎれいにしていることは大事ですが、特に人と会ったり、外出したりするときには、おしゃれをして自分の心を鼓舞しています。
かつての美人も不美人も、ある程度の年齢になったら関係なし。堂々とおしゃれを楽しんでいきたいと思っています。
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樋口流4 やっぱり人と話すのは楽しい
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秘訣でもなんでもないのですが、私はやっぱり人と話すのが好きなんです。
特に、ジェンダーや介護の問題などいろいろなテーマで議論して、相手にイジワル言って、ギャフンと言わせられたときの快感といったらありません。
その後、おたがいに笑い飛ばせる、こだわりのない関係も、何ものにも代えがたいものです。
こういう人とのつながりの楽しさを知っているからこそ、億劫でもまた人に会いたくなるんですね。
続きは<高齢者は「正常値」至上主義の医者にかかってはいけない。
和田さんが樋口さんに語る医療の非常識>にて公開。
和田 秀樹(精神科医)/和田 秀樹\/樋口 恵子(評論家・東京家政大学名誉教授)
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