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岸田総理はプライドだけ高くて、何もできない…元総理大臣補佐官と敏腕政治ジャーナリストが振り返る「2023年の永田町の実態」

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現代ビジネス

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 東京地検特捜部の裏金捜査が大詰めを迎え、岸田政権は大混乱に陥っている。

 

永田町の表も裏も知り尽くすベテランジャーナリストたちはこの状況をどう見ているのか―柿崎明二(元内閣総理大臣補佐官)×青山和弘(元日本テレビ記者)×鮫島浩(元朝日新聞社記者)が'24年の政局を大予測する。

 

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柿崎明二(かきざき・めいじ)/'61年生まれ。毎日新聞社を経て、共同通信社に入社。'20年に退社し、現在、帝京大学教授。『「江戸の選挙」から民主主義を考える』(岩波書店)が発売中

 

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青山和弘(あおやま・かずひろ)/'68年生まれ。日本テレビに入社。ワシントン支局長や政治部次長、解説委員を歴任。'21年からフリー。著書に『恩讐と迷走の日本政治』(文藝春秋)など

 

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 鮫島浩(さめじま・ひろし)/'71年生まれ。朝日新聞社に入社。政治部や特別報道部でデスクを歴任。'21年に退社し、ウェブメディア『SAMEJIMA TIMES』を創刊、無料公開している

 

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検察が官邸へ送ったメッセージ

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 鮫島 「直前まで国会周辺で取材なので、鼎談の会場は永田町で」とお願いしたのは私です。

 

でもこんなところに呼び出されるなんて―安倍派事務所の隣のビルですよ。

 

来るときに、大量の報道陣とすれ違いました。

 

  青山 裏は、二階派事務所が入る砂防会館別館。

 

まさに我々は、疑惑の中心地にいるわけです。

 

  それにしても岸田政権の裏金問題への対応はひどい。

 

官邸が検察の動きをまるで掴めていなかった。危機感が薄く、政治資金収支報告書を書き直せば済むと思っていた。

 

あまりに能天気です。

 

  岸田文雄総理が事の深刻さに気付いたのは、「さすがにこのまま本格捜査に入ったら政治が機能停止する」と考えた検察がメッセージを送ってからです。

 

それが「安倍派五人衆を要職から外したほうがいい。

 

取り調べに協力すれば'24年の通常国会までには捜査を終わらせる」というもの。それを受けて突然、「安倍派一掃」を言い出したんです。

 

  柿崎 かつての自民党ではここまでの対応にはなっていなかったのでは。

 

安倍政権であれば、首相と菅義偉官房長官が連携して先手を打っていたでしょう。

 

あくまで政権維持の観点からの話ですが。

 

  鮫島 今回、検察が安倍派を標的にしているのは、その反動とも言えます。

 

当時の官邸は、自分たちの息のかかった黒川弘務氏を検事総長に据えるために、黒川氏の定年延長を無理やり閣議決定した。

 

人事に手を突っ込まれたことを、検察は恨んでいた。

 

だから安倍派や菅グループの復権を阻むためにはなんでもやるんです。

 

  河井克行や菅原一秀ら菅さんに近い議員を捜査して立件したのもその流れでしょう。

 

  青山 検察内の黒川一派が一掃されたので、官邸と検察のパイプがなくなり、交通整理をする人がいなくなったんですね。 

 裏金問題が発覚するきっかけとなったのは、しんぶん赤旗の報道と上脇博之教授の告発でしたが、検察がただの過少記載だと思って調べたら、それ以上の問題が出てきた。

 

  柿崎 20年前に清和会、経世会の政治資金問題をキャンペーン報道した経験からすると話は単純で、安倍、二階両派の処理が雑です。

 

大々的にパーティをやっている安倍派が、収入が少ないなんて変でしょう。

 

こんな分かりやすいことを捜査しないと、検察がおかしいと言われてしまいます。

 

  今、政治家が自分の首を絞めています。

 

政治資金規正法の主旨は、他者が「制限する」ではなく、自ら「正す」。

 

厳密に制限すると、取り締まる検察、警察が、国民に選ばれた国会議員を恣意的に立件できてしまう。

 

それは危険だから、議員は率先してカネの流れを明らかにすることになっている。

 

それを、政治家はわかっていないのでは?

 

   鮫島 しかも裏金は、子供の教育費や銀座で遊ぶカネに使っていたという。

 

国民は物価高に苦しんでいるというのに……。

 

モラルが崩壊しています。

 

昔は派閥の親分が、派閥を大きくするために裏金を使っていましたが、今はそういうことでもない。

ドン・森喜朗の号令も虚しく…安倍派は「溶解」する

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 柿崎 「派閥を解体しろ」という意見も出ていますが、本来の派閥はすでに存在していないに等しい。

 

そもそも派閥は、総理候補を担いで、総裁選を戦うための集団です。

 

ところが前回の総裁選では、多くの派閥で、推す候補がバラバラでした。

 

これでは「派閥もどき」です。

 

  安倍派が典型的で、安倍さんが亡くなってからトップを決められていない。かといって分裂の兆しもない。

 

かつてなら安倍派は格好の草刈り場ですが、他の派閥も切り崩そうとしない。

 

権力闘争すら起きないわけです。

 

  昔はカネは派閥にとって権力闘争の手段だったのに、今は目的になっている。

 

派閥の実態が失われ、カネのやり取りだけがむき出しになった。

 

それで裏金問題が出てきた。 

 

 今後、安倍派はどうなっていくと思いますか?

 

   青山 「溶解」していくとみています。トップの5人衆が力を失ってしまうので、分裂すらできない。

 

櫛の歯が欠けるように議員が去っていく。

 

組織的に不正を行っていたということで「清和政策研究会」という名前がなくなる可能性もあります。

 

安倍派のドンである森喜朗さんは今でも「萩生田光一を中心にまとまれ」と言っているようですが。 

 

 鮫島 清和会がなくなってしまうのはある意味、寂しいなあ(笑)。

 

安倍派がバラバラになって一番得をするのは、高市早苗さんでしょう。

 

清和会にはそもそも安倍系と福田系の二系統があって、清和会の残党は福田達夫元総務会長のもとに集まる可能性が高い。

 

でも福田さんは安倍晋三さんと違ってハト派。

 

だから安倍さんに近かった右派の議員たちが高市派結成に動くかもしれません。

 

  柿崎 高市さんは勉強会を立ち上げて、「ポスト岸田」を打ち出しましたが、倒閣に動くわけではなく、積極的に「岸田総理を支える」という政治家もいない。

 

自民党全体に「生体反応」がなくなってしまった。

 

どこがターニングポイントだったとお二人は考えますか?

 

   青山 振り返ると'22年は国葬と旧統一教会の問題が政権を直撃した上に、年末には閣僚辞任ドミノがあり、岸田政権にとって厳しい年の瀬でした。

 

  ところが'23年に入ると、ガーシーこと東谷義和議員の除名処分や、高市大臣の総務省文書問題の話で持ち切りになり、岸田さんに焦点が当たらなかった。

 

それから日韓関係の改善や新型コロナウイルスの5類移行、広島サミットもあって内閣支持率が上昇しました。

 

  鮫島 まさか上がるとは思いませんでしたね。

 

通常国会に入ると普通下がりますから。

 

僕は開成高校だからープライドだけ高い岸田総理

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 青山 岸田さんは、'23年のどこかで解散を打つというのが基本戦略だったと思います。

 

好条件が揃ったので、私は通常国会会期末の「6月解散」があると思っていました。

 

ところが、岸田さんはギリギリで見送ってしまった。

 

あそこが最高の山場で、そこから坂道を転がり落ちるようにここまで来た、という印象です。

 

  鮫島 私は、もともと岸田さんは解散する気がなかったと思っています。

 

総理大臣には2タイプいて、選挙が好きな人と人事が好きな人。

 

岸田さんは後者で、「首相になってやりたいこと」を問われて「人事」と答えたほど。 

 

 でも人事は人の恨みを買います。党内での求心力が下がるので、よほどのことがないかぎりやらないほうがいい。

 

  青山 それを聞くと安倍さんは逆のタイプでしたね。

 

国政選挙で6回勝って力をつけていった。

 

人事についても、菅官房長官、二階俊博幹事長、麻生太郎財務大臣の中核は動かさなかった。

 

  柿崎 安倍さんが選挙で連勝して強くなったと言われていますが、それは50%そこそこの投票率に支えられていた。

 

政権選択の衆院選で自民党の絶対得票率は25%で、実態は少数支配です。

 

  とはいえ、安倍さんには、日本をこういう国にしたいという思いがありました。

 

私は支持しませんでしたが、やりたいことがはっきりしていた。

 

岸田さんは何をしたいのかわからず、判断もしにくかった。

 

  鮫島 特にやりたいことはないんです。それなのにプライドだけ高い。

 

  私の朝日新聞の先輩が、岸田さんに「早稲田大学の後輩です」と挨拶した。

 

すると、岸田さんが「僕は開成高校だから」と答えたそうです。

 

宏池会(岸田派)は、東大と財務官僚出身の議員が集まるエリート集団。だから岸田さんはコンプレックスの塊で、世間の評価より、宏池会内での評価に重きを置いていた。 

 

 岸田さんは総理大臣就任当初から、宏池会出身の歴代総理の在任日数をソラで言えたそうです。

 

先輩たちの在任日数を抜けば、派閥の中で威張っていられる。

 

だから派閥会長の座からもなかなか退かなかった。

 

  在任日数を意識しているので、下手に選挙は打てない。

 

派閥均衡の内閣人事で極力リスクを回避して、'24年の総裁選に備えていたというのが私の見立てです。

 

  青山 私は若干、見方が違います。

 

岸田さんは菅前総理を反面教師にしていて、「あのようなみっともない辞め方は嫌だ」という思いが強かった。

 

だから解散もやれるならやりたかったはずです。

 

でも麻生副総裁の反対や息子の翔太郎秘書官の問題などが浮上し、決断できなかった。

 

  解散風を吹かせるだけ吹かせて、自身の延命のために政局を弄ぶ。

 

それで国民からも「岸田さんは権力の亡者なんだ」と見限られてしまった。

 

  この前編記事では崩れく自民党の現状と、岸田政権について解説してきた。

 

続く後編記事『石破茂か上川陽子か、いや小池百合子もあるぞ…元総理大臣補佐官とベテラン政治ジャーナリストが大胆予測した、「岸田の次の総理大臣」の名前』では、新たな総理の候補など引き続き解説していく。 

 

 「週刊現代」2023年12月30日・1月6日合併号より

 

週刊現代(講談社)

 

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