【以下ニュースソース引用】
強制捜査の夜もパーティー開催…絶対に「政治資金パーティーをやめない」自民党議員たちの“言い分”とは
配信
12月15日に行われた江島潔氏の政治資金パーティーの様子(スタート前)。画像の一部を加工しています
自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる疑惑を受け、岸田文雄首相は派閥によるパーティーや忘年会や新年会を当面自粛する方針を打ち出した。
8日の衆院予算委員会では「国民の政治に対する信頼が揺らぎ、自民党全体にも厳しい目が注がれている」(岸田首相)と危機感をあらわにした。
だが、政治家のパーティーをめぐってこれだけ国民の厳しい視線が注がれる中でも、いまだに自民党議員のパーティーは頻繁に行われている。
この時期にあえて政治資金パーティーを開く理由は何か。議員の事務所を直撃した。
* * *
派閥の“裏金問題”が世間を騒がせている最中の12月15日、東京・千代田区のホテルで政治資金パーティーを開いていたのは、安倍派の江島潔参院議員。
出席した40代の有権者は「お客さんは例年より少なかったですね。ざっと見たところ,150人から200人くらいだったかな」と振り返る。
江島氏は、安倍晋三元首相の地盤だった山口県下関市の市長を4期務め、いわば安倍氏の“弟分”のような存在。2013年4月の参院選で初当選して以来、現在までに3選を果たしている中堅議員だ。
「下関市長を辞めて、倉敷芸術科学大学の客員教授をやっていたところ、安倍元首相から声がかかって立候補したそうです」(同)
パーティーは立食のビュッフェ形式で、宴会場の中央には豪勢な料理が並んでいたという。
「下関にちなみ、ふぐ料理が出ていました。
しかし、出席者が少なかったためか、料理は余ってました。パーティーには江島議員本人も出席していましたよ」(同)
■三原じゅん子氏は強制捜査の夜に開催
江島事務所に岸田首相がパーティー自粛を呼びかけている中で開催した理由を聞くと、秘書からこう回答があった。
「岸田首相は派閥のパーティーに関しての自粛をおっしゃったのであって、個別の議員のパーティーには、特に言及してなかったはずです」
問題になっている安倍派のキックバックについて、江島氏の関与はなかったのかを聞くと、「事件として捜査されているので、捜査が終わった段階で(コメントする)といういことになるかと思います」(同秘書)
12月19日には、東京地検特捜部が安倍派、二階派の事務所に強制捜査に入った。
それにもかかわらず、当日夜に千代田区のホテルで政治資金パーティーを開催したのは、三原じゅん子参院議員。
出席者は「金屏風の前で三原議員があいさつをしていました」と語る。
三原事務所に事実確認をすると、秘書が答えた。
──12月19日、当日朝に安倍派、二階派に強制捜査が入ったが、その夜にパーティーを開催するというのはどういう判断だったのか。
「通常通り、粛々と開催させていただきました。
(強制捜査とは)関係のないことですし、われわれは別に安倍派でも二階派でもないわけですから」
──岸田首相は今月初めに「パーティー自粛」の方針を出している。
「総理がおっしゃったのは、あくまでも派閥のパーティーは当面見合わせるということだと聞いています。
(三原は)無派閥ですし、議員個人のパーティーに関しては、通常通りに開催されている方も大勢いらっしゃいます。
もちろん、中止や延期をなさった方がいらっしゃることも存じあげています」
■パーティーは「中止」となったはずだが…
翌20日には、北村経夫参院議員のパーティーが千代田区のホテルで開かれる予定だったが、前日に“中止”を決めたという。
ただし、当日は会場も開いており、料理も用意されていた。
中止を知らずにパーティーに参加した客もいた。
「中止したとは知りませんでした。受け付けの女性もいたので、普通にパーティー券を渡して、会場に入りました。
そのときも、『中止』などとは説明されませんでした。
客は40人くらいしかいなかったので、えらく人が少ないなとは思いましたが。
知り合いの客がいたので、『北村先生は来ないんですか』と聞いたら、『本人は来ないんだよ』と言っていた。
フルート奏者が演奏していたのを聴いて、あとは料理を食べて帰るだけでした」(会場に行った客)
会場には、高価そうな生ハムなどの料理が並んでいたが「料理は残っていた」(客)という。
北村事務所に経緯を聞くと、秘書はこう答えた。
「こんなご時世で、パーティーは開けないので中止、または延期させていただきました。
開催の前日から、ご案内をした方々全員に『申し訳ございません』とおわびとお知らせをしています」
――だが、当日は知らずにパーティー会場へ行った客もいる。
「周知しきれず、間違っていらっしゃる方がいたかもしれません。
そうした方々に失礼になってはいけないので、説明をさせていただく要員として、スタッフを1人受け付けに待機させました」
■宮城野親方が乾杯の音頭
――フルート奏者がいて、料理が並んでいたのはなぜか。
「もともと、北村のパーティーでは、芸術家の方がご自身の作品を展示したり、楽器を演奏したりする予定でした。
私どもが芸術家の方々に中止をお知らせしたところ、ご自身の知人の方もお呼びしているとのことで、『今回は芸術祭として、私たちの主催という形で引き取らせてもらえないか』という相談があったんです。
ウチは主催できませんが、芸術家の皆さんがそういう趣旨で開催されることであれば引き取ってください、という流れになったのです」
つまり、本来は北村氏の政治資金パーティーだったものが、急きょ、芸術家たちの芸術祭として開催されたのだという。
では、販売したパーティー券の収入はどう処理するのか。
「私どもの主催ではなくなったので、お金は皆さんにお返しします。
なかには、次回以降の北村の後援会の会費などにあててくださいと申し出てくださる方もいます。
今はその(経理の)処理をしているところです」
強制捜査を受けた二階派議員もパーティーを開いた。11日には、二階派の武田良太事務総長が都内で政治資金パーティーを開き、1000人規模の集客力を見せつけた。
「鈴木宗男参院議員や世界各国の大使の人も来ていました。会場には1000人くらい集まっていて、乾杯の音頭を取ったのは、司会が『武田先生が公私にわたり親交のある方』と紹介した大相撲の宮城野親方でした」(参加者)
武田氏は「パーティーは政治家にとって重要な政治活動の一つ」とパーティーの必要性を述べたという。
■「やっぱりうまみがある」
政治家のパーティーによく顔を出すという後援会関係者はこう話す。
「岸田首相の意向を無視してまでパーティーを強行するのは、やっぱりうまみがあるからですよ。
そう簡単にはやめられないでしょう」
パーティーによる政治資金集めがこれだけ疑惑の目で見られている中でも、個人でパーティーを開かずにはいられない自民党議員たち。
問題の“根”は相当深そうだ。
(AERA dot.編集部・上田耕司)
上田耕司
【関連記事】