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岸田首相が方針転換、本気か? トリガー条項の凍結解除を議論、中国が無断設置したブイ撤去を検討 財務省はさっそく牽制
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岸田首相(右)は、補正予算案の衆院通過後、国民民主党の玉木代表にあいさつした=24日、国会内
岸田文雄首相の方針転換に疑念・懸念が広がっている。
ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」の凍結解除について「議論」を指示したかと思えば、中国が日本の排他的経済水域(EEZ)に無断設置した「海洋ブイ」について撤去の「検討」を明らかにしたのだ。
報道各社の内閣支持率が30%以下の「危険水域」に突入し、「岸田降ろし」の政局がくすぶるなか、岸田政権を支える財務省や、習近平国家主席率いる中国への配慮・弱腰を封印したのか。
それとも、ポーズだけなのか。
リーダーは、他人の意見に耳を傾けることも大切だが、危機を前にジタバタしないことも重要だ。
岸田首相は政権運営の正念場を迎えている。
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「(自公)与党と国民民主の政策責任者で議論、検討を進めたい」 岸田首相は24日、2023年度補正予算案の衆院通過を受け、国会内で国民民主党の玉木雄一郎代表と面会した。
玉木氏が「覚悟を持って(補正予算案に)賛成した。
(トリガー条項)凍結解除はやりきりたい。覚悟を持って取り組んでほしい」と求めたのに対し、こう応じた。
これまで岸田首相は、トリガー条項の解除について、灯油や重油が支援対象外となり、流通を混乱させるとして慎重な考えを示していた。
昨年春に公明党も含めた3党で解除を協議したが結局、見送られた経緯がある。
早速、財務省の牽制(けんせい)が始まった。
鈴木俊一財務相は24日の記者会見で、「(トリガー条項の解除には)国、地方合計で1兆5000億円もの巨額の財源が必要」などとクギをさしたのだ。
自民党内でも、慎重論が大勢を占めるとされる。 経済ジャーナリストの荻原博子氏は「ガソリン価格は下落傾向だ。
厳しい値上がりで庶民の家計が苦しいときには真剣に議論せず、いまさら『議論』『検討』とは国民をバカにしている。そもそも、関係法令の改正に時間がかかる。
本当に国民の苦難を思うなら『消費税減税』が一番効果的だが、その議論に真剣さは感じられない。
結局、政局や選挙を見据えた打算の思惑に見えてならない」と語った。
中国が、沖縄県・尖閣諸島近くの日本のEEZ内に無断設置した海洋ブイについても、岸田首相の方針に変化が見られる。
岸田首相は22日の衆院予算委員会で、日本維新の会の三木圭恵議員から「中国が撤去しないのであれば、日本が回収して(ブイの)中身を調べた方がいい」などと迫られ、「ブイの撤去も含めて、可能、かつ有効な対応を関係省庁で連携して検討していく」と答弁したのだ。
■度重なる右往左往に支持率低迷スパイラル
日本政府はこれまで、国連海洋法条約に規定が明記されていないとして、撤去に後ろ向きの姿勢で、中国への抗議と撤去要請に留めていた。
これに対し、日本と同様、中国の覇権主義的行動と対峙(たいじ)するフィリピンは、中国海警局が勝手に設置した長さ約300メートルの浮遊障壁を撤去している。
国際関係に詳しい福井県立大学の島田洋一名誉教授は「相手国に圧力をかけて反応を瀬踏みするのは、中国の常套(じょうとう)手段だ。
フィリピンの毅然(きぜん)とした対応は、米国でも広く報道された。
日本も海洋ブイを発見後、すぐに『危険物』として撤去すべきだった。
いまさら『検討』では遅きに失しているが、淡々と撤去してブイの構造を調査したうえで『必要ならお返しする』と通達すればいい。
中国が行動をエスカレートさせる局面で試金石になる。
これで撤去できなければ、中国側に『日本は口だけ』という誤ったシグナルを送ることになる」と懸念した。
それにしても、岸田首相が「年内の衆院解散」を見送る意向を示した後で、方針転換が続くのを、どう評価するのか。
ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「あまりにも唐突で、支持率狙いの対応としか受け止められない。
重要な外交案件で熟議もせず、唐突に方向性を示す姿勢は危うささえ感じる。
トリガー解除も、やるべき時に踏み切らなかった。
所得税などの減税策でも、唐突に岸田首相が方針を示し、後々の調整で大混乱した。
度重なる右往左往が国民の疑念を招き、支持率低迷のスパイラルを招いた。
国民は一連の対応を『聞く力』ではなく『場当たり的』だと、厳しく判断している」と突き放した。
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