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【体が重い】疲労を放置する人に起きる怖い現象、自己チェックで確認、疲れをためない過ごし方

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東洋経済オンライン

体が重い、脱力感がある…。疲労が蓄積されるとどうなるのでしょうか(写真:プラナ/ PIXTA)

 

何かとストレスの多い現代社会。そのストレスが原因で、頭が重い、気力がわかない、脱力感があるなど、慢性的な疲労を感じている人は少なくないだろう。

 

ここ数年では、コロナ禍のストレスによる疲労を訴える人が増えているという報告も数々ある。

 

疲労とどう付き合い対処していけばいいのか。

 

疲労や慢性疲労症候群の診療に詳しい、ナカトミファティーグケアクリニック院長の中富康仁さんに聞いた。

 

  「なんだか体が重く感じる……」。

 

日々生活しているうえで、“疲労”を感じる人も多いのではないだろうか。

 

疲労は主に精神疲労と肉体疲労がある。

 

肉体疲労は、体を動かすことで生じる一方、精神疲労は過度なストレスが原因となり生じる。

 

  【図表】疲労度チェック

 

■疲れを放置すると「過労」の状態に

 

  多くの人は休むことでこれらの疲労が回復するが、疲れがなかなかとれない場合もある。

 

日々の疲労に何も対策をとらずに放置していると、それがどんどん蓄積していき、病的な疲労である“過労”の状態になる。QOL(生活の質)を著しく落とし、さまざまな病気につながることもあると中富さんは警鐘を鳴らす。

 

  「オーバーワークやさまざまなストレスが過度にかかったときに過労に陥りやすい人は、往々にして日ごろから睡眠や休養を削っていることが多く、回復力が追いつかなくなっています。

 

その結果、抑うつ状態のようなメンタル面の低下も含めて、体の弱いところに症状が出てくるのです」

 

 以下は疲労度チェックだ。

 

もし疲れを感じる場合は参考にしてみてほしい。

 

(外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください) 

 

 点数の結果は次ページを参照してほしい。

 

  【点数結果】

 

1~5点 注意

 

 6~10点 要注意(早めの対処、相談をオススメします) 

 

11点以上 危険(続く場合にはすぐに相談を) 

 

(※ナカトミファティーグケアクリニックHPより) 

 

 ではなぜ疲労はたまるのか。

 

 疲労の原因となっているのが「活性酸素」だ。

 

人は呼吸をするときに酸素を取り込む。

 

このとき、体内で酸素の一部が活性化され、活性酸素が作られる。

 

この活性酸素を除去するのがいわゆる抗酸化物質と呼ばれるものだ。

 

  心身に負担がかかると、この活性酸素が過剰に産出され、活性酸素により酸化された物質である酸化ストレスが生じる。

 

そして、この酸化ストレスによるダメージが、抗酸化物質による回復力を上回ると、疲労が蓄積した状態が続いてしまい、ひいては“過労”へ陥る。

 

 問題は、過労は日々蓄積されて慢性化するとそれが当たり前になり、気づきにくくなるという点だ。

 

中富さんは、「自分で疲労に気づくセンサーを持っていることが大切」とし、外来では患者によく「自分の体の声を聞いてください」と話している。

 

  「『疲労ぐらいで』と、2~3カ月以上放置する人がいらっしゃいますが、回復にはその分時間がかかります」と中富さんは言う。

 

  疲労も早期発見・早期治療が大事で、早く対処をすればするほど、早く回復する。

 

■明らかに疲れ方が違う場合は医療機関に

 

  「少なくとも、いつもと同じことをしているのに明らかに疲れ方が違うと感じる場合は、過労の疑いがありますし、何らかの病気にかかっている可能性もあります。

 

まずは医療機関を受診したほうがいいでしょう」

 

  疲労が症状として現れる病気は山ほどある。

 

そのため、診療では疲労以外の症状がないかを確かめる。

 

たとえば糖尿病なら頻尿と口の渇き、感染症だったら喉の痛み、胃腸炎だったら下痢や発熱などだ。

 

息切れや階段の上り下りがしんどいといった訴えであれば心不全を考えるそうだ。

 

 同クリニックでは、ほかの病気が除外され、過労を疑われる場合、患者の希望があれば自費診療で疲労ドックを受けることができる。

 

疲労度計(心拍変動で「疲労」を測る)や酸化ストレス検査(採尿・採血により活性酸素の身体への影響を調べる)、睡眠の質を調べる検査、心理検査など疲労の程度をみる検査を行う。

 

  疲労ドックおよび、通常診療の結果をもとに、疲労がこれ以上ひどくなるのを防ぐための自己管理について指導する。

 

今回はその内容を一般の人向けに紹介しもらった。

 

 基本は、睡眠と食事と運動。当たり前のことと思う人もいるだろうが、中富さんによると、予防はもちろん体調を崩してからの回復においても、この3つをいかに実践できるかが大事だという。

 

なかでもいちばん重要なのは睡眠で、眠りが整っていないと残りの2つの意味もなくなるそうだ。

 

  「睡眠は、時間と質とリズムの3つがカギです。

 

現代人の多くは睡眠を十分にとれていません。

 

実際は7時間から8時間の睡眠が必要ですが、平日は大体6時間半も眠れればいいという方が多いのではないでしょうか」

 

 そうした人のなかには、休日に寝だめして“睡眠負債”を返そうとする人がいるが、それでは十分ではない。

 

睡眠を見直して、平日も休日もコンスタントに7~8時間眠り、起きる時間を揃える。

 

それだけで疲労がとれて、パフォーマンスが上がってくるという。

 

  睡眠の質を保つには、起床したら日光を15~30分程度浴びるのもお勧めだ。

 

日光を浴びることで、脳を覚醒させる働きがあるセロトニンというホルモンが産生される。

 

夜になるとセロトニンの分泌は抑制され、昼間に産生されたセロトニンを材料にメラトニンというホルモンが分泌される。メラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれ、自然な睡眠へと促す働きがある。

 

■スマホのブルーライトには要注意 

 

 ちなみにスマートフォンをいじりながら寝る人も多いだろうが、スマホの画面から発せられるブルーライトには、メラトニンの分泌を抑制する作用がある。

 

  「就寝に向けては、夕方になってだんだん薄暗くなり、夜になって真っ暗になるというように、徐々に光が少なくなっていく、昔の田舎の暮らし方が理想的です。

 

寝る前に光を暖色系のオレンジ色に変えるだけでも違うと思います。

 

蛍光色の光やスマホのブルーライトは脳が刺激を受けてしまうので、避けたほうがいいでしょう」

 

 ほかにも睡眠の質を良好にする方法はいろいろある。

 

入浴に関してはいろいろなデータがあり一概には言えないが、要は睡眠に向けて体をリラックスさせるように持っていくことだ。

 

  たとえば、ヒーリング音楽などを薄くかけたり、好きな香りを枕元にまとわせたり、軽いストレッチや深呼吸など、自分にあったリラックス法を見つけることだ。

 

デスクワークばかりの人は体の緊張がとれずスムーズに入眠できないことがあるので、適度な運動と休憩も大切だ。

 

 アルコールの摂取にも注意したい。

 

アルコールはリラックス作用があり眠気を誘うが、寝る前に飲みすぎると、刺激物質であるアセトアルデヒドに変わってしまう。

 

アセトアルデヒドには覚醒作用があるため、眠りが浅くなってしまう。

 

  また、アルコールを代謝するためにエネルギーも使うので、朝起きると疲労が残りやすい。

 

寝酒は避け、楽しみたいときにだけ飲むようにするのがお勧めだ。

 

 ■食事は新鮮な肉や魚、野菜をバランスよく 

 

 コーヒーなどに含まれるカフェインは人にもよるが、夕方以降は控えたほうがいいという。

 

 食事は、疲労の原因である活性酸素を取り除く抗酸化力のあるものや、エネルギーを補給できるものを摂取したい。

 

具体的には、肉や魚、野菜の新鮮なものをバランスよく摂る。

 

適度な運動と休養も心がけたい。

 

週単位で自分の生活を振り返り、予定を入れ込みすぎず、休養の時間を確保することも大事だ。

 

  以上のように疲労を回復させるライフスタイルを理解していけば、疲労が慢性化することは防げるという。

 

逆に、ライフスタイルを見直してもとれない疲れがあったら、やはり医療機関を受診したほうがいい。

 

 疲労に対する治療はタイミングと時期、症状によって違う。

 

  「ごく初期の人か、疲労が長引いている人に効果があるのが、保険診療でも使える漢方薬の補中益気湯(ほちゅうえっきとう)です。

 

背景に睡眠障害があったら、必要に応じて睡眠導入薬などを処方します。

 

未病レベルで健康を維持するという意味で用いるのであれば、自費診療で、還元型コエンザイムQ10、イミダペプチドやビタミン剤など、抗酸化力とエネルギーを補う薬のほか、睡眠の質を検査して、眠りを良くするメラトニンのサプリメントなどをお出しすることもあります」

 

 (取材・文/伊波達也) ナカトミファティーグケアクリニック院長 中富康仁医師 2002年、京都府立医大卒。同年より同大学病院精神神経科、関連病院に勤務。04年、同大学大学院で脳科学の研究をおこない、09年、大阪市立大学医学部代謝内分泌病態内科学・疲労クリニカルセンターで疲労外来を担当。14年同院を開業。日本精神神経学会精神科専門医。日本疲労学会研究奨励賞受賞。日本疲労学会評議員。日本医師会認定産業医。

 

東洋経済オンライン医療取材チーム :記者・ライター