パナヒ監督。

 

いやあ、こりゃすごいねえ。まあ単純に映画としてすごいっつーか、なんつーか。

 

なんかねえ、嘘だろ?!というくらい、飽きないのね。ストーリーや脚本があるだろと言いたくなるくらいなの。それでいてね、なんかしんみりするというか、グッとくるのよ。たまらない一言とかがあるの。たとえばさ、脚本について説明するところとかさ、いややばいな、実際に撮らなくてもここまで世界を想像させるかと感嘆するんだけど、その最後にふと、「脚本を読めばいいのなら映画なんか撮る意味ない」みたいなこと言ったりね。

 

なんだろう、映画を撮るということについて、むっちゃ考えてるというかな。その切なさとな。それでいてなんだろう、全体に軽妙なんだよ。あと、友達がいる。いつも友達がいる。

 

いっぱい不条理で、嫌なんだけど、抵抗しているんだけど、でも友達がいる。こぶしを挙げているんだけれども、大仰にやるというより、しずかでささやかで、めちゃくちゃ根性がある。めちゃくちゃだ。

 

だってラストとか、すごいよ。ゴミ集めしてくれる青年が、「最悪なのは大学院を出ても仕事がないことだ」とか、なにそれ絶対脚本あるだろと言いたくなる言葉で締めて。外では火をつけて。

 

いやあ、なんか全くもって言葉が追いつかない。そういう映画はいい映画だ。