今から20年以上も前~
確か発表会の生徒さんへの記念品を探しに、かわいい雑貨が数多く置いてあるお店に母と一緒に買い物に行った。
なかなか良い記念品になりそうなかわいらしい商品が見つかり、数が多いので注文を済ませて、さて帰ろうかなと母を探すと、外の園芸コーナーで楽しげにうろうろしている。
母が買おうかどうか迷っていたのは、小さな小さなレモンの鉢植え🍋
わりと大きな立派なレモンがひとつだけ実っている。
このひとつのレモンを楽しむのも良し、お値段もまあまあお手頃だったので購入して帰った。
レモンはすぐにでも収穫できるほど黄色く瑞々しく、それは輪切りにして紅茶に添えたり、ちょっと搾ってみたりして家族で大いに楽しんだ。
そして、母はその鉢植えの小さな木を庭に地植えしてみたのだった。
母は昔から花や植物を育てるのがとても上手な人だった。実家は車一台とめたら残りのスペースはとても小さな庭だけど、ところ狭しと花が植えてあり、道行く人に
「いつもお花が綺麗ですねー♪」と声をかけられることもしばしば。
私は実家でレッスンをしていたので、生徒さんのお母様から
「先生のお母様はお花を上手に育てられますねー。毎週楽しみです!」と褒められることもしばしば。笑
さて、地植えしたレモンは意外にもスクスク育っていき、毎年花をつけてくれていた。
まあ所詮は素人の栽培なので、実がつくこともあれば全く実らない年もある。
でも気がつけばかなり立派なレモンの木に成長していて、ほぼ毎年、数個~十数個以上のレモンを収穫できるほど。
たくさん実った年の次の年はほんの数個しか生らなかったりしてね。
たくさん実った時はご近所の人達に配ったりもした。無農薬だから皆さん喜んでくれる。なかにはそのレモンでジャムを作ってもってきてくれる人もいる。
母が9年前に亡くなった後は、父が頑張ってレモンの木の手入れをしていた。
花が大好きだった母を想ってか、父は庭仕事も頑張っていて、小さな花の苗を買ってきてはせっせと植えていたっけ。
スコップ片手にしゃがみこんで懸命に土いじりをしている父の背中を見ながら、私はちょっと切ない気持ちになったりしたものだった。
そんな父もここ数年で少しずつ体を動かすのが大変になってきた。
昨年の秋~年末に2度の入院をし、退院して今はようやく安定した日々を送ってはいるものの、もう庭の手入れやレモンの木の剪定などの作業は出来ない体になった。
今年のレモンはこの20年以上の間で今までにないくらいの鈴生りの数。大きくて瑞々しいレモンが30個ほども実を結んだ。
ちょうど父が2度目の入院中に収穫時期となり、私はせっせと収穫して入院中の父にいくつか持っていったり、いつもお世話になっているご近所さんに父の状況を話しながら配って歩いた。
これが最後のレモンかな。
父はシルバー人材センターに頼んで、レモンの木を伐ってもらおうと話している。
少し寂しい気もするけど、やはり細やかな手入れをしていくのはもう無理だし、今後また入院生活や施設に入ることになるかもしれないと覚悟している父としては、終活の意味もこめて庭もスッキリさせておきたいとのこと。
最後にたくさんのレモンが実ったのは、今まで頑張ってきた父への神様からの大きなご褒美なのかもしれないね✨
実家の庭の福寿草が咲きました✨