音楽大学を卒業後は、ピアノ講師として音楽教室に勤めていて🎹



同時に自宅でもピアノを教え始め、幼児から大人までの生徒さんが少しずつ増えていき、30才になるのを機に独立して自宅のレッスンだけで毎日頑張っていた。




ある日、大人の女性からレッスン希望の電話があった。

レッスンの内容やお月謝などをある程度説明して、まず一度体験レッスンに来てください、と話すと、



「ピアノを習うのは主人なんです。」



自分で電話してこないのかーい😯

って当時は思ったけど、今うちの旦那さんを見ていると、なんか分かる気がする。

男性って、こういう時恥ずかしがるみたいね。




そしてレッスンに現れた男性Aさんは、50過ぎくらいの見た目とてもダンディーな雰囲気のある、気さくで感じのいい人でした。




よくよく話を聞いてみると地元の建築関係の社長さん。

自宅に娘さんが昔使っていたピアノがあり、今度は自分が弾けるようになりたい、そして、いつか娘さんの結婚式でピアノを演奏するのが目標だと。



素敵な目標だな~と話を伺うと、今娘さんはまだ大学生。彼氏もいないらしい。

「まあそう簡単に結婚させないけどね!」

って😅




そんな感じでレッスンが始まった。

Aさんは若い頃にギターの経験があるので、コードネームで和音をなんとなく弾けちゃうんだけど、楽譜は全く読めない。

先ず楽譜の読み方から教えて、少しずつピアノを覚えていくことに。




お仕事柄、毎週同じ時間にレッスンに来るのが難しく、特に夕方は仕事現場から戻る時間がよめないとの事で、朝のレッスンに来ることになった。



現場に行く前の、朝7時30分からのレッスン。早起きが苦手な私は母親の協力を得てなんとか支度を間に合わせる。



時には予定より15分くらい早く玄関のチャイムが鳴る時があって💦😬



私も寝ぼけ眼でレッスンしたこもあったけど、Aさんは10分くらい弾くと、


「わかった!あとは家で練習するから大丈夫!」


と慌ててお仕事に向かうことも。



Aさんは上下作業服で、社名の入った軽トラックでレッスンにやって来る。

さすがにヘルメットは被ってなかったけど。




毎回家でとても熱心に練習をしているのがよく分かって、私はいつも感心していた。



肉厚な大きな手で、暖かく包み込むような優しい音をピアノから引き出せる人だった。



私がお手本で弾いてみると、


「なるほどねー、先生と自分の違いがわかったよ~🎵」


と、耳もとても良かったのだ。




発表会にも何度か出ていただき、12月に行った時には、クリスマスにちなんだ曲を見事な大人の演奏で、会場の皆さんを魅了してくれた✨




それから数年がたち、ピアノも段々と弾けるようになってきた頃、どうやら娘さんに彼氏がいるという話になり、結婚も前提のお付き合いらしいと。




いよいよ近い将来の娘さんの結婚式で演奏するための練習を始めた。



曲はナイショ。Aさんと娘さんとの大切な思い出だと思うので、ここでは言わないことにします。



Aさんは本当に頑張って練習していました。そして少しずつ素敵に弾けるようになってきて。




ついに娘さんの結婚式の日を迎え、Aさんは無事にピアノを演奏することが出来ました👏✨✨✨



私も本当に嬉しかったな~😊



楽譜が全く読めない状態から、何年もかけて、娘さんの結婚式でピアノを弾くという目標を達成する。



なんて素敵なんだろう。

なんとか無事に弾けたよ~🎶

って後から話を聞いた時は、私も涙が出そうなくらい嬉しい気持ちでいっぱいになった。




その後もレッスンは数年間続いたけれど、途中私が結婚してレッスンの曜日や形態が変わったことや、Aさんのお仕事が忙しくなったこともあって、ピアノレッスンは終了となった。




先生と生徒としての関係はなくなったけど、今でも私が実家に行く途中にAさんの会社の側を車で通ると、お元気そうな姿を見かけることがある。


そしてAさんも私に気づいて、

先生~🎵って手を振ってくれることもある。

それだけで嬉しい😊




ピアノを教えることは、その生徒さんの人生の忘れられないような素敵な体験のお手伝いをしているのかもしれない、

と考えてみると、

すごく幸せなことだな~と思う今日このごろです🍀



わが家にはリトルミイもいます🎵