本日の京都は祇園祭の後祭(あとまつり)の山鉾巡行。酷暑のなか、無事に終わったようでよかったです。
私は京都生まれではないからこそ、大きな祭を連綿と続けて来たこの町の底力を強く感じます。
昨年は期間中病院におりました。
前祭(さきまつり)の巡行の日だったか、宵山だったか、夕食がちらしずしで、煮鱧がのっているのが、京都やなあと思った記憶(笑)。
■セカンドオピニオンへいたるまで。
セカンドオピニオン。実は今回の入院騒動の当初から、周りから言われていました。
「今の病院だけで手術とか決めてええの?」
「自分の体やで。もっともっと、真剣にいろんな病院にあたらんと!」
……そうやね。
いわれるたびにそう答えつつ、本音は少し憂鬱だったのでした。
自分の体だからこそ、責任は自分がもたなければ。
そんな至極もっともな行ないをこれまでも怠ってきた私でしたから、セカンドオピニオンをとるために行動するのがどうにもこうにも億劫だったんです。
(自分の体をないがしろにして、いいわけはないのにね)
何が一番ひっかかっていたかというと、これまたヘタレな話で恐縮ですが、「今入院している病院に申し出るのが気が引けるから」だったのでした。
現在かかっている病院に内緒で受けることも不可能ではないかもしれないけれど、現状出ている検査結果等々、すでに出ているものは提示する方が診察はスムーズだし、どう考えても、黙って受けるのは「なし」だろう。
でも、医師に言うのはどうにもためらわれる……。
「私の見立てが間違っているとおっしゃるのですね?」なんてプライドを傷つけられた医師に冷たくされたりしないだろうか、なんてね。
入院している病院に何らかの不満があれば、しょうもない迷いもなかったと思うのですけれど、特段不満があったわけでもなかったのが余計に私を迷わせました。
入院先は地元の総合病院。主治医がちょっとオモロイ人であったとはいえ、人として苦手と思っていたわけではないし、他の医師や病棟看護師さんも皆親切で、居心地の悪さもない。
「甲状腺未分化癌も疑われる」という状況であることも含め、乳頭癌としてはやや異色(らしい)経緯を経ていた私という患者に、部長先生からも「普通なら手術は秋で十分間に合いますが、OTOMEさんの場合、早い方がいいと思います」といわれており、乳頭癌の診断が下りてすぐ、一番早くに行える手術日を押さえてもいました。
そこまでコトを進めている相手に、セカンドオピニオンをとりたいなんていうたら、気ぃ悪いんとちゃうやろか……。
手術予定も取り消し! とか、ならへんやろか……?
なんていいましょうか、結納をかわした相手に、別のお見合い相手と会います、と宣言するような気まずさ?
それとは全然ちゃうやろ!(笑) と頭では分かっていても、積極的に主治医にセカンドオピニオンを……と言い出すのがどうにもためらわれたのでした。
実のところ、早々に、もしもセカンドオピニオンを受けるならばこの病院、と目星をつけていた病院はあったのです。
セカンドオピニオンなのだから、立ち位置の違う病院で受けないと意味がない。となると、現在総合病院にかかっているわけだから、大学病院よりは甲状腺専門病院がいいだろう。
自分でも調べ、周囲の人にも聞いて、「ここが適当」と全ての意見が一致したのが、神戸にある甲状腺専門病院。関西で甲状腺の病気にかかっている人なら絶対知っていると言っていいほどの有名病院です。
それなのにずーっと踏ん切りがつかないまま日々を送っていた中で、例の「未分化癌かもしれない」爆弾が投下され、ようやくその気になったのでした。
「とりあえず白黒はっきりさせよう!」
それでも。
どこまでもヘタレなわたくし、どうしても主治医に直接いうことができず、結局看護師さんを通して、「けして、こちらの病院の対応に不満があるわけではないのですが」と、くどく前置きまでして(笑)、主治医に伝えてもらう形で打診したのでした。
こんなふうにかくと、主治医がものすごく尊大なタイプのようですが、けしてそう思っていたわけではなく。初対面の「悪いものやと思います」発言含め、言葉のチョイスに難はあれども(笑)、妙なプライドの高さを感じたわけでもなかったのです。
それでも、本当に言い出しづらかった……!
そんな患者さん、案外いらっしゃるのではないでしょうか。その病院で不当な扱いを受けていると感じていれば、踏み出しやすいかもしれませんが、可もなく不可もなくであれば、なおさら。
基本、病を得ているという時点で気が弱くなってますしね?
(私も未分化癌の疑いが出たあたりからは、かなり気弱になってもいましたし)
ともかく、割と好き放題発言する私をして(笑)、珍しくギリギリまでセカンドオピニオンをお願いするのを逡巡していたわけです。
が、蓋を開けてみれば。
翌日、主治医から言われた言葉。
「なんか気にしてはったみたいやけど、全然そんな必要ないですよ。セカンドオピニオンはどんどんとってくださっていいです」
想像以上にあっさりした返事が返ってきたのでした。
数日「いつ言おう、どう言おう」と思っていた時間が勿体ないくらいのあっさり加減(笑)。
ただ、「私たちから、『この病院で』という指定はできないんですけどね。どこか考えているところはありますか?」とのこと。
すぐに「○○病院と思っています」と答えたら、「ああ、甲状腺ばっかりやってるところですね。では、紹介書を書きますから」
どこまでもあっさりな主治医に、もう一つ気になっていたことも聞いてみました。
「今のところ、こちらで手術日も押さえていただいていますけど……」
これもまた、あっさりした返事が。
「今のところはそのままにしておきましょう。それで、あちらを受診して、手術も向こうで受けると決まったら、その時はキャンセルの電話をください」
手術のキャンセル……。まるで宿をとるくらいの気安さ。いいのか?(笑)
ともかく、私一人がやたら重々しく考えていただけだったのか? と思うほど、セカンドオピニオンをとることも、手術をどの病院で受けてもいいよ! という返事もあっさりいただけたのでした。
おかげで、一気に心が軽くなったのでした。本当に私、うだうだ無駄に考え過ぎてたなー、なんて。
未分化癌へのぐるぐるだーだー状態も、これを契機にすっかり落ち着いたあたり、さすが現金な私です(笑)。
もちろん不安が霧消したわけではないけれど、とりあえず診断が出るまではフラットな状態でいよう、と思い極められたのでした。
セカンドオピニオンをお願いする病院に問い合わせると、初診の場合は当日受付順で診察しますとのこと。
ちょうど退院も決まったので、退院の翌日にすぐに受診することにしたのでした。
(ちなみに、さらにその翌日はPET検査が事前に決まっておりました。PET検査についてはちょうど来月2回目を受けるので、その時にでもまとめて)
つづく
■付記 病院との折衝術(笑)
一応真面目に付け加えておきますと、セカンドオピニオンをとる場合、自分の思いは素直に伝えればいいけれど、伝え方は考えた方がいいとは思っています。
これは、発達障害の診断名をもつ子どもたちの療育先や、保育園、学校等々、10数年にわたって「先生」と名のつく方々と折衝していくなかで得た私なりの処世術でもあります(笑)。
(だてにいろいろ経験してないぜ!)
なんていっても、難しいものではなく。
当たり前のことですが、相手への敬意を忘れない、ということ。
「先生」を偉い人だから、という意味でビビったり、無駄にあがめる必要はないと思っています。
けれども、仮に若干の不信感があったとしても、こちらの意見を伝えるためには、不信感あらわだったり、けんか腰であるのは、よろしくないと思うのです(泣く、というのもお勧めできませぬ)。
だって、逆の立場で考えたら、うっとおしいもの、そんな人(笑)。
その人(患者側)が言っていることは間違っていなくても、そこは人間ですから。お医者だって、マイナスの感情を持って迫ってくる相手の言葉を素直に受け止めがたいのは仕方ないじゃないですか(笑)。
だからこそ、こちらの思いが仮にダークであったとしても、(そして、どうしたってそれがにじみそうになったとしても)、それを抑えて、相手の立場を尊重しながら伝えることが肝要だと思ってます。
(それでもうまくいかなければ、そこであらためて喧嘩も考えてもいいと思う。←(笑))
(でも、基本喧嘩していいことはない、と思ってますが)