ソラが産まれる前から、
私はそれほど母乳で
育てようとは思っていなかった。
私が出産した病院は
助産士がたくさんいたためか、
熱心な母乳育児へのススメが繰り広げられ、
入院中は母乳を出すために
ひたすら他人の前で上半身裸の日々だった。
・・・ような気がする(笑)
あんまり母乳育児に熱心じゃなかったんで、
助産士が部屋に来ることさえ苦痛。
ミルクを足さずに飲ませろと言われるのも苦痛だった。
ソラを産んで3日目頃、
恐ろしいほどに勝手に胸が張ってきて、
皮膚の下に石が入っているのかと思うほど
カチカチになった自分の胸を
果たしてどうしたらいいものか?
とにかく固く張っているので痛い。
胸全体に洗濯バサミをつけられているような感じだ。
ナースコールで助産士を呼び、
痛いのでなんとかして欲しいと助けを求める。

固くてパンパンに張っている状態だと
赤ちゃんも吸いにくいので
とりあえずほぐしましょう。
と言われ、仰向けにされた後、
助産士は私の胸を前後左右に押した。

ぎぇっ・・・。痛いってば。
石のような塊を、
前後左右に動かしておくことが重要なんだそうだ。

でも、マッサージしてもらうと
とても楽になるので、
痛いのも我慢・・・。
私はMじゃないんですが・・・。

「私の時は、うどんをこねるようだった」
と、後に私の友人はこう言った。
これって、多分出産より痛くない?
こんなこと、妊娠大百科には載っていないぞ!!
母乳って勝手に出るもんじゃないの?
そんなことを思いながら、
胸に冷えピタを貼りまくり、
助産士の指導通り、
赤ちゃんが吸いつきやすくするために
自分で母乳を搾り出して胸を柔らかくしたりした。
乳頭ではなく、乳輪の方を掴まないと
母乳が出てこない。
赤ちゃんは乳輪の方まで口にくわえておっぱいを飲むので、
胸が張っていると、
うまく吸いつけずにおっぱいが飲めない。
どうやったらうまく飲ませられるか
入院中にコツをつかまくては!
と、あせってみたものの、
入院している間は母乳がほとんど出ず、
飲ませて体重を計っても「2CC」とかだった。
調味料にもならない。
助産士に、
「誤差の範囲ですね。」
などと軽く言われて落ち込んだりしていた。
病院には、授乳室という部屋があり、
そこで助産士に指導を受けながら母乳をあげたり、
ミルクをもらって、その部屋で飲ませて体重を計ったりする。
深夜の授乳。
3畳ほどの部屋に、昼も夜もパジャマの女が集い、
みんなで授乳。
部屋はいつも薄暗くて、
赤ちゃんのために部屋の温度は高くて暑くて、
なんか夏合宿みたいだった。
そこで母乳が出ない私は、
先輩ママにたくさんのアドバイスと励ましをもらった。
「出なければミルクでいいのよ。
出かけた時に楽だから!」
心強いアドバイスを胸に退院。
ついでに、授乳指導からも開放(笑)
退院してからは、
とりあえず指導通り、
泣いたらまず母乳を飲ませて様子を見た。
しかし母乳が出ていないらしく、
ソラはすぐにお腹が空いて泣いた。
だから、結局ミルクを足す。
誰の指導もないため、
私はじゃんじゃんミルクを飲ませる。
結果母乳が出なくなる。
結局、私が母乳をあげた期間は
ソラが生まれて1ヶ月半の間だけ。
その間も母乳を飲んだ後ミルクを飲んでいて
ほとんど母乳は出ていなかったし、
その頃、唇に出来た「のう胞」を取るために
麻酔を使う治療をうけることになり、
抗生物質も飲むことになったので
それを機に母乳はやめてしまった。
赤ちゃんに大切な免疫は、
お腹にいた時にお母さんにもらっているし、
出産後、数週間出る黄色い母乳を飲ませることができれば
充分だと聞いたことがある。
その母乳が出るのは10日くらいなんだそう。
一応クリア(笑)
そんなわけで、
断乳はいとも簡単にあっさり成功。
もともとあんまり張らなかったし、
まったく飲ませなくなっても、
カチカチで痛くて眠れないとか
そういうのは全然なかった。
現在ソラは1歳2ヶ月。
今まで風邪もひかずに元気にしている。
これから先どうなのかはわからないけれど、
いまのところは元気。
母乳かミルクかってよく言われることだけれど、
私は今でも
母乳にこだわる必要はないと思っている。
母乳は母親と子供の大切なスキンシップで、
とても大切なものだけど、
子供にとってのおっぱいって、
ママの胸だけじゃなくて
ママ全体なんじゃないかと思うから。

哺乳瓶のおかげで、ダーリンや母にも授乳してもらえたし、
それはそれで楽しそうだった。
退院したばかりの頃、
ソラがちゃんと飲んでいるのか心配だったけれど、
ミルクだったからどれくらい飲んでいるかすぐにわかったし、
私の血液から出来るミルクを飲ませる不安もなかったし、
(自分の子宮も信じていなかったが、血液も疑っている)
出かけても授乳場所の心配もなかったし、
ソラの卒乳は泣くことなくあっさりだったし、
哺乳瓶で授乳するメリットもたくさんあったから、
わたしはこれでよかった。

ソラは母乳が出ていなくても、
かわいらしい小さな口で一生懸命吸い、
哺乳瓶も嫌がることなく飲んでいた。
最後まで一度も、私の出ないおっぱいを拒否することなく
何度も頑張って吸ってくれたことには感謝している。

私は母乳が軌道に乗るまで頑張れなかったけれど、
同じ時期に出産した私の姉は、
完全母乳で甥を育てた。
母乳を体から出し続けるという偉大なる仕事を
1年に渡って続けた姉を、私は心から尊敬している。
姉は母乳の方が、
出かける時に荷物が少ないし、
哺乳瓶洗う手間がないし、
夜中の授乳が楽だと言っていた。
母乳でもミルクでも、
それぞれデメリットとメリットがあって、
どちらで育てるかはママが決めればいいこと。
どっちで育てても、元気に大きくなるのだから。