「うちの米田、ご存知ですよね?」

「はい」

先日見た、キャリアウーマンらしい女性の姿を思い浮かべ、

うなずいた。

「実は桃花は、米田がスカウトしたんですよ。

そのせいもあってか、米田にはすごく懐いているんですが、

他の人間にはあまり心を開いてなくて・・・・・・」

白石は心底困っているというように、眉を寄せる。

「とにかくコーディネイトも米田じゃないと嫌だと言って、

スタイリストには近付かせないほどなんですよ」

「米田さんは、スタイリストのお仕事も出来るんですか?」

「ええ。元々、スタイリストを目指していましたから」

アリスは少し考えた後、白石に向かって、

「すみませんが、今から私たちに付き合っていただけますか?」

そう言い出した。

何も聞いていなかったオレは内心驚いたが、なんとなく

こういう状況に慣れ始めている。

白石は当然面食らっていたが、結局了承した。

白石の車に同乗して行くことになり、シルバーのセダンに

乗り込む。

「どこへ向かえばいいですか?」

エンジンをかけてハンドルを握る白石の問いに対し、

アリスは意外な場所を告げた。

「倉田茜さんのアパートに向かってください」

「ええー!?」

これには白石だけでなく、オレも思わずビックリして

隣のアリスの顔を凝視してしまった。

なぜ、そんなところに?

疑問を視線に乗せてみたが、当然アリスはそれに答える

気配などない。

白石はというと、

「ちょっと待ってくださいね」

そう言ってスマートフォンのアドレスらしきもので住所を

確認しているようだった。

ナビに住所を入力し、車を発進させる。

いつものことながら、アリスが何を考えているのか

オレにはさっぱり見当がつかなかった。