勇人の口調に拒絶の色がにじんでいるせいで、

早くも気持ちが挫けそうになる。

それでも、一花は必死に自分を奮い立たせた。

「水樹のこと、黙っててごめんね。なぜだか

分からないけど、勇人には言い出せなくて」

『・・・・・・』

相手から返ってきたのは沈黙だけだった。

そのことに落胆はしたものの、一花の決心は

揺らぐことはなかった。

それでもいい、ちゃんと自分の本当の想いを

伝えなければ ― 。

「私、どうして勇人に言い出せないのかずっと

分からなかった。考えても、自分自身の心が

見えなかった。

でも、やっと・・・・やっと分かったんだ。

私、勇人のことが好きなの!」

『・・・・・・』

再び沈黙。

「勇人?」

恐る恐る話しかけると、電話の向こうから

小さく息を吐く声がした。

『・・・・それ、マジで?』

「マジだよ!」

ちょっと怒ったように答えると、今度はさっきとは

違う息遣いが聞こえる。

「?勇人、もしかして泣いてる?」

『な、泣いてねぇよ!』

勇人は慌ててそう言ったが、一花にはそれが

強がりだということが分かっていた。

しばらくの間、すすり泣くような勇人の声が

続くのを聞いているうちに、一花の目にも

涙がにじんできた。

勇人がどれだけ自分のことを想ってくれているか。

それが、今、痛いほど伝わってくる。

やがて、鼻をすすりながら勇人が呟いた。

『・・・・ったく。7年間も待たせやがって』