そして、水樹は史織たちに聞こえないよう

小声で言った。

「ちょっとの間、2人っきりにしてやった方が

いいんじゃないか?」

「そうだね」

お互いの意見がまとまったところで、一花が

様子をさぐりつつ切り出す。

「あの、私と水樹はその辺をブラブラしてくる

から・・・・」

すると、史織の表情はあまり変化がないのに対し、

安曇は明らかに不安をにじませていた。

かすかな不安を感じながらも、一花と水樹は

半ば強制的に砂浜を離れる。

去り際にちらりと振り返ると、2人は黙って

うつむいていた。

「大丈夫かなぁ?」

水樹に問うと、

「うーん。でも、2人の問題は結局2人で解決する

しかないからな」

そんな答えが返ってきて驚いた。

高校生の頃の水樹なら、おそらくあの場に残って

2人が話せるようになるまで付いているだろう。

なんだかんだ言っても困っている人を放って

おけない性格の水樹が、一花は好きだった。

(あの頃から7年も経ってるんだもん。

性格だって、変わるよね)

そう言い聞かせようとするが、心の中には

しこりのようなものが残った。

多分、水樹の言ったことは正しい。

普通の大人なら、今のように答える人が

ほとんどだろう。

そう、大人なら ― 。