幸い、一花たちは始業式にはどうにか
間に合った。
史織と連れ立って体育館へ向かう際、
周りがこちらにチラチラ視線を投げかけるのが
気になった。
もしかしたら、自分の事情が知られているのでは
ないかと心配になる。
叶や花音から聞いた話では、裁判沙汰になった
当時は、やはり一花のことだと勘付く人間も
いたそうだ。
だが、週刊誌やテレビで触れられることは
あったが、そこまで大きな騒ぎにはならなかった
らしい。
だから、今回の高校でも7年も前の出来事など
みな覚えていないとは思うのだが・・・・
ソワソワしている一花に気づいた史織が、
「どうしたの?また気分悪くなった?」
と心配して訊いてくる。
一花は慌てて首を振った。
「ううん。そうじゃなくて・・・・・。なんとなく、
みんなに見られてる気がして」
「なーんだ。それなら多分、見慣れない子が
いるなぁって思ってるだけだよ、きっと」
そう言って史織は笑顔を浮かべる。
一花もそれに納得して、ホッと胸をなで下ろした。
(そうだよね・・・・。気にしすぎ、だよね)
神経が過敏になっているのは、勇人がそばに
いないせいかもしれない。
途中で出会うかもしれないと期待していたが、
体育館に入ってからも勇人の姿を見つけることは
できなかった。
校長の長い挨拶の後、新たに転任してきた教師の
紹介があった。
何人目かの教師が紹介され、最後の1人が
前に出ると、女生徒からざわめきの声が上がった。
「英語を担当する遊佐あおいです。よろしく」