顔を上げると、目を疑うほどの美少女が
そこに立っていた。
長い手足に小さな顔、大きな瞳にフワフワした
長い髪・・・・
まさに“美少女”という言葉がぴったりの姿に、
一花は思わず見とれてしまった。
「高橋」
勇人が少女の名を呼ぶ声でハッと我にかえる。
「珍しいね。滝沢が各駅に乗ってるのって」
「ああ、まあ・・・・」
高橋と呼ばれた少女は、勇人から一花へと
視線を移した。
「あれ?うちの学校?」
一花の着ているセーラー服が自分のものと
同じだと気づき、小さく首をかしげる。
「今日から転入することになったんだ」
「あ、遠山一花です」
慌てて自己紹介する一花に向かって、少女は
にっこりと笑顔を見せた。
「高橋史織です。よろしく♪・・・・えっと、タメ?」
「えっ?あ、はい」
「ハハッ。タメだったら敬語じゃなくていいじゃん」
明るく笑う彼女は、最初の“美少女”のイメージ
からはかなりかけ離れていた。
だが、かえって親しみやすさを感じて一花は
ホッとする。
史織は急に意味ありげな表情に変わり、
内緒話をするように一花の耳元に顔を寄せた。
「で、滝沢とはどういう関係?」
「ど、どういうって・・・・。幼なじみ、だけど」
「なーんだ。滝沢が珍しく女の子と2人でいるから、
てっきり彼女かなんかだと思った」
「バカなこと言うんじゃねぇよ」
今まで一花と史織のやり取りを黙って聞いていた
勇人が、不機嫌そうに言った。
「だってさー、中学からのクサレ縁だけど、
今まであんたって誰かと付き合ったことないし」
史織の言葉を聞いて、
「え、そうなの?」
と、驚いて本人に尋ねると、勇人は黙ってただ
眉間に皺を寄せただけだった。
史織が愉快そうに笑う。
「でさ、そこが硬派でいいとか言って、けっこう
女子に人気があったりするんだよね。
私には理解不能だけど・・・・」
「そうなの?」
再び勇人に訊いてみたが、さきほどと同様、
黙って顔をしかめただけだった。
(へぇ・・・・。勇人って、モテるんだ)
一花はなぜか複雑な気持ちになって、
隣にいる仏頂面の勇人を見つめた。