久々のわが家はやはり懐かしく、自分の部屋に
入ると色々な思い出が一気に押し寄せた。
病院独特の、どこか無機質で冷たい空気から
解放され、一花は大きく伸びをしてベッドに
身体を投げ出した。
が、ふと机の上に置かれた写真が目に留まり
身体を起こす。
そっと近づいて、写真立てを取り上げてみる。
水樹と並んで満面の笑みを浮かべている
自分がいた。
記憶はまだすべて完全に戻ったわけではないが、
この時のことは覚えている。
確か、2回目のデートでテーマパークに遊びに
行った時に撮ったものだ。
1回目より少し緊張もほぐれ、いつの間にか
2人は自然と手をつないで歩いていた。
とても楽しくて、あっという間に1日が終わって
しまって残念に思った気持ちは、まだ今も
心の中に残っている。
一花はしばらくじっと見つめた後、写真立てを
机の引き出しにしまった。
それから、隣の花音の部屋に向かった。
花音はベッドに寝転んで雑誌をパラパラとめくって
いたが、一花が入ると起き上がってベッドの上で
あぐらをかいた。
「どう?久しぶりに帰ってきて」
「うん。やっぱり落ち着く。病院じゃ、あまりぐっすり
眠れなかったし・・・・」
「そうだよねー」
しばしの沈黙が流れてから、一花は思いきって
口をひらいた。
「あの・・・・、花音が知ってることでいいから、
水樹のこと教えて欲しいの・・・・」
そう言うと、花音は一瞬驚いた顔をしたが、
やがて小さく息を吐いてうなずいた。
おそらく、いつかは訊かれると覚悟していた
のだろう。
「・・・・事故が遭った日、お姉ちゃんは長尾君と
会う約束をしてたらしいんだ」
(やっぱり・・・・)