翌日の精密検査の際には、母とともに
父も様子を見に来てくれた。
花音も来たがったが、大学の授業があるので
渋々あきらめたそうだ。
「よかったな、意識が戻って・・・・」
父はそう言って目を細めたが、一花は曖昧な
笑みを返すのが精一杯だった。
目覚めたことが本当によかったのかどうか、
分からなくなっていた。
もちろん、意識が戻ったことで家族は喜んで
いるし、もしずっと目覚めなかったらと思うと
ゾッとする。
しかし、今の自分の異常な状態については
どうしても受け入れることができない。
朝から受けた検査は昼過ぎまでかかり、
結果は明日以降になるとのことだった。
検査を終えたあと、一花は両親とともに
病院の地下にある喫茶店に来ていた。
事故のことや、自分がどうしてこのような身体に
なってしまったのか、きちんと聞いておきたかった
からだ。
一番奥のあまり目立たない席につき、一花は
ミックスジュースを、両親はホットコーヒーを
注文した。
「新薬実験については、私たちはネクスト製薬に
騙されたようなものなんだ・・・・」
テーブルの上で手を組み、父は固い声で言った。
「絶対に大丈夫だ、向こうがそう言い切ったから
私たちも最終的に承諾した。
それが、こんなことになるなんて・・・・」
悲愴な面持ちの父と母を前に、一花は
うつむいて唇を噛む。
どうしてこんな目に遭ったのが自分でなければ
いけなかったのか。
誰に対するでもない怒りが、ふつふつと湧いてくる
のを感じた。