「そうそう。まずは、僕の自己紹介から・・・・。
僕は君の担当医で、叶潤一郎と言います」
医師は人の良さそうな笑顔を浮かべた。
が、すぐに真剣な表情に戻る。
「それで、君の今の状態を簡単に説明すると、
君は今、昏睡状態から目覚めたばかりだと
いうことになる」
「えっ!」
昏睡状態 ― 。
思いもよらない言葉が出てきて、一花はすぐに
信じることができなかった。
そんな一花に、叶は瞳をじっとのぞき込みながら
さらにこう言った。
「君は7年前の4月10日、事故に遭ったんだ」
それを聞き、一花の頭はますます混乱した。
―事故に遭った?
― ううん、その前に・・・・。
― なんて言った?
・・・・・7年前?
「あの、今、7年前って言いました?」
声が震える。
叶はちょっと間を置いたあと、ゆっくりうなずいた。
「ああ」
「そんなの嘘です!!」
そう叫んで立ち上がろうとしたが、膝がかくんと
折れてよろめく。
そばにいた母が慌てて支えてくれた。
「そんなの・・・・嘘・・・・」
母の悲しそうな顔から目をそらし、一花はもう一度
小さくつぶやく。
信じられない、信じたくない。
目の前が真っ暗になった気がした。