「どうしよう・・・・」

庭先にしゃがみ込む亮の口から、思わず

言葉がもれた。

以前父から転校の話が出た時よりも

何十倍も切なくて、どうしていいか分からない。

横浜なんて、言うほど遠くはない。

それでも、今、大きな心の支えである知晴と

簡単に会えなくなることは、亮にとっては

何よりも辛いことだった。

母は亮の気持ちを優先すると言ったが、

本心では横浜行きを強く望んでいるに

違いない。

このまま東京にいても、マスコミや周囲の目を

気にしながら生活しなければいけない。

母と横浜に行って、新しい暮らしを始める方が

自分たちにとっても良い選択だということは

分かっている。

葛藤の渦の中で必死に答えを見つけようと

もがいても、何も結論は出なかった。



月曜日、とうとう週刊誌の発売日が訪れた。

亮も雪子も朝からそわそわと落ち着かず、

わけもなく家の中を行ったりきたりしていた。

そのうち母が仕事の打ち合わせで少し出かける

ことになり、亮は1人きりになってしまった。

幸いというべきか、久弥の前の家にはテレビが

なく、世間にどんなニュースが流れているのか

知るすべはない。

(そろそろテストが始まる時間だ・・・・)

と時計に目をやったその時、携帯電話の着信音が

鳴った。

思わず身体が飛び上がる。

携帯電話を開いて相手の名前を目にした亮は、

さらに驚いた。

(・・・・昂生?)