見てみると、久弥からメールが届いていた。
『今から家にお邪魔していいかな?』
いつもはもっと丁寧な文章を送ってくる久弥が、
今日は少しだけ慌てているように感じた。
直感的に何か大事な用があると悟った亮は、
「知晴、ごめん!ちょっと急用ができて帰らなきゃ
いけないんだ」
そう言って手を合わす。
「そっか、分かった。小田桐さん呼ぶか?」
「うん。連絡してみる」
亮は持っていた携帯で小田桐を呼び出した。
いつもより長めのコールの後、
「はい」
いつもどおりの彼の低い声が応える。
今いる場所を知らせると、彼はすぐに向かいますと
言って電話を切った。
そうして、本当にすぐにやって来た。
「じゃあ、また明日!」
知晴に手を振ると、知晴もにっこり笑って
手を振り返す。
家路へと走る車の中で、亮は久弥に返事を
送った。
『まだ帰宅していませんが、すぐに戻ります』
久弥はすでに野神家に向かっているのだろう。
いつもの彼なら“了解”のひと言ぐらいは送ってくる
はずだが、今回はそれすらなかった。
よほど急いでいるのか。
亮の身体が、緊張で硬くなってきた。
小田桐の運転する車が屋敷に着いた時、
ちょうど久弥の四駆が姿を見せた。
小田桐が開けたドアから亮が降りると、
「亮ちゃん!」
そう言って久弥が亮にかけ寄る。
そして車を車庫に入れようと再び運転席に
乗り込もうとする小田桐に、久弥は信じられない
言葉を投げかけた。
「あなたにも聞いてもらいたいことがあります。
小田桐さん・・・・いえ、月村さん」