拳が真堀に当たる寸前、知晴が2人の間に
飛び込み、それをまともに喰らった。
「知晴!」
見かねた亮が、血相を変えて知晴に
かけ寄る。
「いてて・・・・」
「知晴、大丈夫か?」
彼の顔をのぞきこむと、口の中から血が
流れ落ちた。
それを見た亮の顔が、さらに青くなる。
「知晴っ!」
殴った生徒やその周りにいる生徒たちは
呆然と立ち尽くしたまま、動けずにいた。
真堀もまた、驚愕の表情を浮かべて
知晴を見つめていた。
「な、永瀬!悪い!」
手を挙げてしまった生徒は、我に返って
知晴に謝罪する。
「いいって。たいしたことねぇし・・・・」
知晴はそう言って口元の血をぬぐって笑った。
「あんまり大げさに騒いで先生に見つかったら
面倒くさいことになるし、気にすんなよ」
(知晴・・・・)
常秀学園は、勉強以外のことに関しては
他の学校よりも規則がゆるい。
服装も髪型も、優秀な成績さえおさめていれば
ある程度の自由が許されている。
だが、暴力は別だった。
髪型や服装はどんな風にしていても他人に
迷惑をかけることはないが、暴力は必ず
被害者が出る。
だから、暴力をふるった場合はただちに厳しい
罰を与えられることになっていた。
多分、知晴はそうなることを懸念して止めに
入ったのだろう。
亮は、あらためて知晴のそんな正義感に
感心していた。
が、すぐにそんな場合ではないと気付く。
「知晴。とにかく保健室で手当てしてもらおう」
知晴は大丈夫だと言い張ったが、亮がしつこく
保健室へ行くようにうながすと、観念して
大人しく付いてきた。