10月に入ると、空気はすっかり秋の匂いになり、

制服も半袖から長袖へと変わった。

と同時に中間テストが実施され、今日はその

順位が発表されていた。

掲示板に挙げられた上位100名の1番右端に

自分の名前が書かれていることを確認した亮は、

ほっと安堵の吐息をもらす。

これで父から説教されることはない。

父は、亮が1位になることを当然だと

決めつけている。

以前、2位に転落したことがあった時には

4時間正座させられるという罰を受けたこともある。

足の感覚はなくなり、体中に冷や汗をびっしょり

かいたあの苦しみは今でも記憶から消えていない。

それ以来、亮は常にトップを維持し続けてきた。

結果に満足して教室へ戻ろうとした亮は、

目の前に現れた人物に気付いて足を止めた。

「よお。またまた1位、おめでとう」

「真堀・・・・」

真堀は眼鏡の奥に陰湿な光を浮かばせながら、

ゆっくりと亮に近づく。

「どうしたら、そんなに1位ばっかり取れるのかな。

もしかして、教師に金渡してテスト問題を事前に

見せてもらってるとか?」

真堀の侮辱の言葉に、亮はカッとなって彼を

睨みつけた。

「俺は、そんな事なんかしてない!」

必死に勉強して、努力して勝ち取った結果を

そんな風に言って欲しくない。

悔しくて頭に血が昇り、

「自分が万年2位だからって、変な言いがかりは

やめろ!」

ついそう口にしてしまった。

真堀は怒りで顔を赤くしたが、結局は事実なので

何も言い返せないようだった。

しばらく亮をじっと睨んだ後、真堀は足早に

立ち去っていった。